3/10 ⑤FX入門

第6章:主要トレンドは3段階からなる

先ほどのダウ理論の5つ目の法則では、主要トレンドと二次トレンドと小トレンドと3つのトレンドの話をしましたが、ここで扱うメインテーマは主要トレンドです。

ここでは、主要トレンドの始まりから終わりまでがどのような変遷をたどって行くのかを見ていきます。

主要トレンドの話なので、実際のチャートで言えば日足以上の週足や月足でみた時に、この考え方は適用される、ということです。

間違えても1時間足や15分足などの短期足で考えないように注意してください。

日足以上の主要トレンドが時間と共に、どのようにチャートを形成していき、現在地がトレンドの中のどこなのかがわかれば、好きなところを自由自在に狙って獲ることができるのです。

ポジションを長く保有して1回で1000pips以上狙うスタイルなら、主要トレンドの初期段階からポジションを仕込んでおくことで頭から狙う超損小利大のトレードができますし、デイトレくらいで考えるなら、主要トレンドの一部分をうまく切り取ることで、主要トレンドに乗った損小利大のトレードが実現可能なのです。

それこそ、投資の格言で「頭と尻尾はくれてやれ、狙うな」というリスクは背負わず確実な利益を狙う事を促すための意味を持つこの言葉に逆らった「頭から尻尾までを狙う」という上級者レベルのトレード領域まで目指す事ができます。

では「主要トレンドは3段階からなる」についてまずはウィキペディアの原文を見ていきましょう。

◆「主要トレンドは3段階からなる」を原文で確認する

ウィキペディアには以下のような記述があります。

主要トレンドは3段階からなる

また、主要トレンドは買い手の動向によって3つの段階からなるとしている。先行期:市場価格が下落し全ての悪材料は織り込み済みと判断した少数の投資家が、いわゆる”底値買い”をする時期。価格は、下落しているか底値圏で上下している。

追随期:市場価格の上昇を見て追随者が買いを入れる時期。価格は、上昇局面にある。

利食い期価格が充分に上昇したところを見て、先行期に買いを入れた投資家が売りに出て利益を確定する時期。価格は既にその前から上昇局面にあるものの、その上昇する値幅は小さくなっている。(引用元:Wikipediaダウ理論)

主要トレンドは3つの段階があり、それぞれを「先行期」「追随期」「利「食い期」と名付けています。

この辺りは相場参加者と、参加者の心理を読み解いていくと、とてもよく分かります。

まずは先行期、追随期、利食い期が主要トレンドのどの場面のことを指しているのかを図で確認しましょう。

まず最初にあるのが先行期ですね。この先行期はまだ相場に方向感のない時期です。

多くのトレーダーはこの先行期のチャートを見ても「もみ合っていて方向感がないあ」程度にしか感じません。

しかし、一部の嗅覚の優れたトレーダーは様々な分析の結果、「売りの判材料は出尽くしたし、安値の更新もないから、ここが底だ!」と判断し買いを入れます。

このように「今の値段が底値圏だ」と判断するトレーダーが徐々に増えて買いが増すことで、相場は少しずつ上昇し始め、追随期へと突入します。

追随期は高値と安値の更新がはっきり確認できている(トレンドが発生している)ため、先行期では様子を見ていたトレーダーたちが買いを入れてきます。

先行期から買い目線でいる嗅覚の優れているトレーダーたちも、上昇に合わせて買いポジションを増やし、多くのトレーダーが買いを入れるので相場は一気に上昇していきます。

これが追随期です。

そして追随期で上昇してある程度の時間が経った次にやってくるのは、先行期から買っていた嗅覚の優れているトレーダーの利確です。

「そろそろ利益の乗ってるポジションの利確をしていこう」と利益確定の注文を入れていきます。

買い持ちしているポジションの利確の注文は、市場に売り注文として出るので、相場を押し下げる力が働きます。

しかし一方で追随期から入ってきたトレーダーたちは依然として「まだまだ上がるはず!」と注文を入れている人がほとんどです。

先行期で早い段階から買っていたトレーダーたちが利益確定をすることで、上昇の圧力が弱まっていき、高値を更新することなく追随期が終了し利食い期に入ります。

利食い期では、大きく新規のポジションが入るよりも、持っている買いポジションを利食いたいと思っているトレーダーが多く、売りのオーダーが出ることから、上昇よりも下落圧力が強くなります。

チャートで見ると、利食い期は横ばいのもみ合いになるか、もしくは下落していきます。

こうして一つの相場(トレンド)が終了して、またどこかのタイミングで嗅覚の優れたトレーダーが「売り材料は出尽くしているから、そろそろ買いを入れておこう」と買いあさりはじめ、先行期が形成されるのです。

また、利食い期と先行期ははっきりと区別できるものではなく、利食い期の途中から先行期に突入して、どこかのタイミングで追随期にはいるケースもあります。

このように利食い期と先行期ははっきり区別できるわけではなくグラデーションになっているのです。

先ほどの図でまとめると以下のようになります。

それでは、ダウ理論の3つ目の法則である主要トレンドができる3段階において実際の以下の白紙チャートを使いながら1つ1つ見て行きましょう。

折角なので続きを読む前に3つの期がどこに該当するのか?2,3分考えてみてください。

まず全体像を掴むために、どこが先行期で、どこが追随で、どこが利食い期なのかを載せておきます。

これらの考え方を実際のトレードで活かすためには、それぞれの期間でどういう値動きの特徴があるのか?を見ていくことですね。

なので、このチャートを使って、それぞれの期間の値動きの特徴を見ていきましょう。

 

◆先行期###

この段階で注文する人というのは、目先の流れと逆行をした注文を入れる場所になり、一回のトレードでの利益を最大できる場所とも言えるし、負けやすい時期とも言えます。

普通に考えれば

「下がっているのにこれから上がると思って買うなんて頭おかしいんじゃないの?ギャンブルでしょ?」

と思ってしまうものですが、為替相場の場合は、冷静に考えて見ると以下の思考を持った人達が多く集まる場所なのです。

・売り注文を利益確定するために買い戻す

想定外のことがなければここが底で、これ以上下がることはないから新規に買い注文を入れる

・これ以上下がったら困る事情がある個人ではない大きい組織による買い支え

などです。

こういうストーリーは言われればなんとなく納得できると思うのですが、

チャート上でどうやって確認すればいいのか?

「こういう値動きが確認できれば先行期の可能性が高い」と見極めるヒントは2つあります。

先行期を見極める2つ方法

1:反転のチャートパターンが出来上がる

2:反発しそうなラインが近くにある

こうした、ここから相場が反転して上昇しそうな下落の場合は逆)

グナルを複数見つけることが先行期を見極める方法です。

具体的に2つの方法を見ていきましょう。

 

◆反転のチャートパターンを見つける

1つ目の方法は、ダブルトップ(ボトム)やヘッド&ショルダー、N字やペナントやボックス圏形成、ロウソク足のコマ足包み線などの反転のチャートパターンを見つけることです。

先ほども図で表しましたが、このようなチャートパターンです。

こういったサインは他にもありますが、これらを複数の時間足で分析をするマルチタイムフレーム分析をする事で、より正確に先行期の判断が出来、慎重にエントリーを考える事に繋がります。

ではこれらのチャートパターンを先ほどのチャートに当てはめてみましょう。

先ほどのチャートのこの部分を拡大して見ていきます。

拡大したチャートがこちら。

このチャートから、反転のチャートパターンを探してみてください。

僕はこのように分析しました。

この様に、複数のサインを見つけることで、このチャートの場合は下に動く可能性は低いと判断出来る消去法の考え方ですが、もみ合うかアップトレンドが発生するかもしれないと見ていく事が出来るのです。

では次に2つ目のラインについて見ていきましょう。

 

◆反発しそうなラインが近くにある

これは簡単に言うと、日足以上の時間足で引けるラインが先行期付近にないか?を見ることです。

ラインの詳しい説明はここではしませんが、例えば週足の安値が先行期の値動きをいているちょうど下にある場合、そこで反発して上昇する可能性があると判断できます。

例えば先ほどチャートで言うと、ここです。

こうした反発するかもしれない、抜けたら大きく伸びるところに引くのがラインなのですから。

こうしたラインをどういうところに引けばいいのか?はこちらの記事で詳しく解説しています。

FXで損小利大トレードを実践するためのライン(水平線)の使い方

https://f-pedia.jp/fx-loss-small-profit-large-line-how-to/

こういったラインを引いた分析から他の高度な分析を合わせて行い、底だと判断したトレーダーや投資家が、反転する動きの理由となる注文をし始め(下降時は買い注文)、もうこれ以上はなかなか伸びないと判断した売り注文を買い戻すトレーダーが徐々に増えて、値動きが下げ止まり上下に動く「揉み合い」の相場を作るのです。

そして、時間が経過すると上記の人間の割合が増え始め上昇し始める段階(トレンドが発生する)までがこの先行期なのです。

では次に追随期を見ていきましょう。

 

◆追随期

先行期が終わる最後の段階では、値が一方向に動き出します。

その動きを見て、先行期ではポジションを持たなかったトレーダーたちも便乗して、買いの注文が増える段階が追随期です。

この時の注文の増えるスピードはチャートが示す通りかなり速くなり、かなり早く値が伸びるといっても言い過ぎではなく、一回のトレードで十分な差益、利益を狙う事ができる段階です。

また、この追随期にトレードする事が一番確実と言われ、相場の格言で出てくる「頭と尻尾はくれてやれ」の結果、残る胴体の部分がこの追随期でもあります。

そして、初心者や経験の浅いトレーダーが狙うべき場所でもあり、勝てる可能性が高いと言われる場所でもあるのです。

ぶっちゃけ、この場所を見つけられるだけでも勝ち組に仲間入りする事が出来るくらい優位性が高い場所です。

是非、まずは1つのトレンドの中の、追随期を見つけてうまく利益を上げていきましょう。

では、実際にチャート上でどうやって見つけるのか?

見つけ方はとても簡単です、ダウ理論が定義するトレンドが出ていると

ころが追随期に当たります。

追随期をチャートで見てみましょう。

ここで注意が必要なのですが、単純に高値と安値が切り上がっていればアップトレンドで、切り下がっていればダウントレンド、と判断すると混 乱が生じます。

上のチャートの追随期の中にも、一部高値と安値が切り下がる場面が出 てきますが、 どこかわかりますか?

印をつけたところですね。

一つの考え方として、アップトレンド中にこのように高値と安値の切り下がりが起こった場合、追随期から利食い期へと移行した、と判断するのも一つの方法です。

ただ、ここで大事なのは自分の中でトレンドが終了する場面の定義をしっかり持っていることです。

そしてこの場面では、僕が普段行っているダウ理論の分析方法では、この場面のように高値と安値が切り下がっても、アップトレンドは終了しておらずまだ継続中なのです。

トレンド終了の軸がぶれていて、高値と安値の切り下がりで安易に「トレンドが終わった」と判断してしまうと、相場の思うツボです。

単純な高値安値の切り下がりだけで判断すると、まだトレンドが終わっていないのにポジションを閉じることになります。

そもそも、相場は本質的に上がったら下がるものであり、急に伸びたりする分だけ深く戻る性質もあるもので、自分の分析の軸をしっかり持って、慎重にトレンドを見極める必要があるのです。

 

◆利食い期

主要トレンドの最終段階で、先ほど出てきた先行期や追随期で注文した人達が利益確定、利食いをする事が多いので、言葉が示す通りの「利食い期」になります。

正直言って、買い注文をするのには一番危険な場所です。確かに上昇はしているものの、その勢いは鈍い事が多いので大きく差益は狙えず、勝てても小さな利益である上に逆に大きく値が動く事もあるのでその分大負けしてしまうリスクがあるのです。

利食い期になったかどうかの見極め方は、最もシンプルな方法は主要トレンドのトレンド終了です。

ただ、これだけだとどうしても判断が遅れてしまうので、それまでの高値安値の切り上げ(下げ)と視覚的に比較して鈍くなったとか、揉み合いを作ってるなどの要素から総合判断するなど、感覚的な要素が多く難しいのも事実です。

判断が難しい理由は、利食い期と先行期は重なる事もある上に、再度追随期になる事もあるからです。

そのため、明確に利食い期と判断しようとすると混乱をしてしまいます。

ただ、ここでポイントになるのは、先行期と追随期がある程度わかれば消去法的に利食い期も分かってくることです。

なにか一つの分析ツールに当てはめて追随期から利食い期に入ったことを判断するのは難しく、なるべく早く利食い期に入ったと判断できれば、無駄にエントリーしたりポジションを長期で保有する意味もなくなるので、複数の要素で総合的に判断していく必要があります。

 

 

 

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