第5章
専業トレーダーの過ごし方
【第5章専業トレーダーとしての過ごし方】
「独立・起業」がゴールではありません。ここからが本当のスタートです。
独立したからといって、周りや世の中がガラリと変わるわけではありません。
結局は、どんなライフスタイルを送るのかは、自分次第になります。
それでは現役の専業トレーダーである私が考える、専業トレーダーとして理想的な過ごし方をご紹介します。
1.ライフスタイルを確立させる
【1、ライフスタイルを確立させる】
晴れて専業トレーダーになったわけですが、ここで落とし穴があります。
「トレード時間がありすぎて、かえって余計なことをしてしまい、損失を出す。疲弊する。」ということです。私も最初の頃失敗しました。
兼業トレーダーの方も、「普段はNY時間しかやらないけど、今日は祝日で会社が休みだから、昼間からやってみるか!」と慣れない時間にトレードして、思わぬ損失をしてしまうなどという経験がある方もいらっしゃるかもしれません。
専用トレーダーになったばかりの頃は、まさにそのような現象に直面してしまう可能性がありますから注意が必要です。
専業だと、それこそ朝から晩まで一日中チャートを見る時間があります。
すると、今まではやらなかったような場面もチャンスに思えてきて、余計なことをしてしまいがちです。
ご存知の通り、特に短期売買においては、チャートを見ているとあっという間に時間が過ぎてしまいます。結局朝から晩までチャートを見ていて1日が終わった。
でも結局あまり稼げていない。疲労感と虚無感だけが残ってしまった。・・・そんな日々が続いてしまう可能性があるのです。
この原因は、自分のライフスタイルを確立できていないことにあります。ライフスタイルとは、「人生観」や「価値観」などを含めた「生き方」のことです。
忘れてはいけないのが、FXはあくまでお金を稼ぐ手段に過ぎないということです。大切なのは自分の人生です。「自分はこれが大切。」「この時間は大切にしたい。」という自分の軸があれば、FXに掻き乱されることがなくなります。
「この時間はFXをする」「この時間はFXはしない」と、自分のライフスタイルにうまくFXを組み込んでいくことが重要になってきます。
ご参考までに、私が人生で大切に思う時間は、「家族で過ごす時間」と「自由時間」です。家族で過ごす時間というのはお分かりいただけると思いますが、「自由時間」というのは何かというと、何物にも束縛されない自由時間です。
私は昔から人から指示されたり束縛されたりするのが苦手でした。ですから自由時間は、一人で好きなことをする時間です。漫画を読んだり、ボーっとしたり、筋トレをしたりします。この時間を大切にしています。
ですからその時はFXのことは忘れていました。たとえ、狙っていたチャンスがその時間に出現したとしても諦める前提なので、チャートも見ません。
思うに、FX専業トレーダーというのは、一歩間違えると破滅する、「FXという魔物との共同生活」です。自分のライフスタイルが確立していないと、成立させられない特殊な職業だと考えています。
これまたご参考までに、今の私の大体のライフスタイルやルーティーンをご紹介します。
まず朝起きたら子供を幼稚園に送る準備をします。朝食は必ず家族で食卓を囲みます。私は朝は食べないことが多いですが、食べなくても座って会話します。
子供をバスに乗せて一息ついたら、相場を見てブログを書きます。この時がFXに触れる時間です。
そのあとは自由時間です。その日によって、筋トレをしたり、妻とランチに出かけたりします。個人的に、昼は相場が動かないことが多いので、ほとんどトレードはしません。
夕方、子供が帰ってきたら、一緒に遊んでお風呂に入って夕食を食べて寝かせて、と、バタバタと夜になります。ポジションを持ってしまうとどちらにも集中できなくなってしまうので、夕方のロンドン時間もトレードはほぼしません。
いよいよ夜は、相場を見てトレードしたり、本を書いたりしています。トレードはこの時間がメインということです。24時頃には寝ます。
土日は仕事はしないので、家族で出かけたり、家で映画を観たりして過ごしています。
このように、専業トレーダーでありながら、1日の中でほとんどFXが登場する時間がありません。これがFXが長続きしている理由の一つだと思っています。
このライフスタイルが自分にはちょうどよく、ストレスもないので、今はこれで確立しています。
2.コスパ・タイパを意識する
【2、コスパ・タイパを意識する】
専業FXトレーダーは経営者ですので、何事も「コスパ(費用対効果)」を考えることが大切です。
お金も時間も有限です。ですから、トレードもそうですし、普段の買い物や経験でも、「このお金を払うと、どれくらいのリターンがあるか?」を考えていくべきです。
このコスパの考えがないと、長期的に資産を築いていくことは難しいと考えています。
また、忘れがちなのが、「タイパ(時間対効果)」です。
専業FXトレーダーは、「時給」の考えから完全に脱却する必要があります。
FXは「働けば働くほど稼げる」という世界ではありません。
であるならば、「いかに時間と労力を割かないで儲けるか」という「タイパ(時間対効果)」が重要になってきます。
「1日10時間トレードして10万円稼いだ。」というのと、「5分で10万円稼いだ」というのとでは、後者の方がタイパがいいということになります。
専業トレーダーといっても、朝から晩まで一日中FXをするわけではありません。
むしろ個人的には、FXをしなければしないほどいいとすら考えています。
専業トレーダーになっている時点で、「生活費を稼がなくては。」という段階は卒業しているはずで、生きていけ
るだけの余裕資金がもうすでにあって、余剰資金で運用している状態であるはずです。
よって、「チャンスの時」かつ「やりたい時」だけトレードする、というのが正解だと考えています。
お金とは不思議なもので、むしろそういう状態の方が、増えていくものです。
「時間」「労力」「精神力」は有限です。年齢を重ねるごとに、それら全てが消耗し枯渇していきます。
これから一生FXトレーダーとして生きていくなら、消耗しない戦いをしていくべきです。
これら「コスパ」「タイパ」の考えは、慣れると染み付きます。瞬時に、「これは買わない」「この時間は使わない」と判断ができるようになります。
3.贅沢はしない
【3、贅沢はしない】
FXで稼げるようになると、お金に余裕ができます。ですが「贅沢」はしないべきです。
人の欲望にはキリがありません。隣の芝は、いつだって青いものです。「もっと、もっと」と次から次へとグレードアップしたくなるのが人のサガです。
例えば私も、賃貸に住んでいた頃は、「マイホームが欲しいな」と思っていました。ところが実際に家を建てたら建てたで、最初の頃こそ喜んでいましたが、しばらくして「もっと大きい家にすればよかったな」「もっといい土地にすればよかったな」と思ったものです。この時に、「つくづく、キリがないんだな」とハッとしました。
どうせどんな家に住んでも、「もっと大きい家・・」「豪邸・・・」「もう一軒・!」と次から次へと欲が出てくることでしょう。私のライフスタイルからして、普通に家族が不自由なく生活できる家なら、問題ないはずです。
家に限らず、何をするにしても、どこかで折り合いをつける必要があります。贅沢にはキリがないということです。
また、金銭感覚を狂わせてはいけません。私もFXをしていると数万円、数十万円が一瞬で動くので、冷静に考えたら頭がおかしくなりそうですが、それはそれです。日常生活でショッピングする時は、普通に値段を見ます。
ところで、「贅沢はしない」と言いましたが、ここで、注意があります。これは「我慢」や「節約」とは違うということです。
人には誰でも、「ここは譲れない」「これが生き甲斐」というものがあると思います。そのような自分が人生で大切にしている部分には、お金と時間をたっぷりとかけるべきです。それにより、精神的にも満たされて、QOL(クオリティオブライフ)が向上します。
そもそも我慢の人生から抜け出して、自由を求めてFXトレーダーになったはずですから、本当にやりたいことを「我慢」していては本末転倒です。
例えば私は家族旅行が好きなので、旅行にはお金をかけます。新幹線も必ずグリーン車に乗りますし、ホテルや宿、食事代も惜しみません。
また、「節約」もする必要がありません。「節約」というのは、サラリーマンの考えです。サラリーマンは給料が一定なので、つまり入ってくる量が決まっています。そこで、お金を残すためには、出ていく量を減らして節約するしかありません。
ところがビジネスをしている人は、お金が入ってくる量を自分で増やせます。ですから節約して出ていく量を減らすことにエネルギーを注ぐよりも、もっと稼いだ方が、結局は手元に残ります。節約志向は稼げません。無駄遣いは良くありませんが、我慢して節約することに意味はないということです。
「贅沢」「我慢」「節約」をする必要はなく、本当に自分が価値を感じるところにだけお金を使うことが大切だということです。
4.健康を大切にする
【4、健康を大切にする】
人生でお金よりも大切なことは「健康」です。
お金があっても健康ではなかったら使えませんし、お金がなくても健康ならまた稼げます。
FXトレーダーや会社の社長は休業補償や失業保険はありませんので、体を壊してしまうと誰からも守ってもらえません。体調管理も仕事のうちになります。
「もっと稼ごう!」睡眠時間や休息時間を削って無理をすると、体調を崩してしまいます。結局、病院に通ったり寝込んだりと、時間もお金も損失となるので、トータルでマイナスになります。
私も健康には気をつけているので、ご参考までに私の健康法をご紹介します。
まず、食事ですが、少食です。そしてゆっくり食べます。時間があるのでできることですが、一口ごとに箸を置いているので、1食に1時間はかかります。大食い、早食いは体に悪いです。
ただし、筋トレもするので、筋トレをした時は筋肉に栄養を補給するために、かなり食べます。食事というよりは摂取補給のイメージですが。
断食も肯定派で、昔から定期的に取り入れています。断食をすると体の悪いものが抜けて、生命力が上がるのを感じます。正しいやり方をすれば筋肉も落ちません。
断食未経験の方は、「フルーツだけ食べる」「一日一食生「活」などという、「プチ断食」から初めてみることをおすすめします。
お酒についてですが、お酒は体に毒ですから、飲まないなら飲まないに越したことはありません。私も以前はよく飲んでいましたが、今は盆と正月の集まりなど、機会があった時だけ飲む「機会飲酒」です。
お酒を控えるコツとして、お酒の代わりに炭酸水を飲むとスッキリして満足することが多いです。
私も炭酸水を箱買いして常備しています。ジュースやお酒の代わりに飲んでいます。
運動についてですが、私も定期的に行っています。自宅にジムがあるので、週2,3回筋トレしています。専業になってからは体力低下をヒシヒシと感じましたので、エアロバイクは毎日漕いでいます。
ところで、運動が大切だということはわかっていても、「忙しくて運動する時間がない」「疲れていてやる気が出ない」というサラリーマン時代の気持ちも分かります。
その場合はあらかじめ運動する時間をスケジュールに組み込んでおいたり、ワークライフバランスを見直したりすることをおすすめします。
また、いきなり運動するとかえって疲れますし怪我の原因になります。慣れるまでは1日5分でもいいので、コツコツと運動することをおすすめします。
ストレッチや腕立て伏せくらいだったら、床があればいつでもどこでもできます。筋トレ器具もネットで安く揃えられます。
そして一番大切なのが、睡眠です。睡眠が不足すると全てのパフォーマンスが下がります。睡眠時間を削って頑張るくらいなら、たっぷり寝てから取り組んだ方が効率が良いものです。
今は目覚まし時計がない生活をしているので、たっぷり眠っています。明らかに、サラリーマン時代よりも調子がいいです。もし昼に眠くなったら、迷わずに昼寝しています。
「忙しくて寝る暇がない」という気持ちは十分わかりますが、「寝る時間を確保する」というところから戦いは始まっているように思えます。
また、健康に関連して、美容にも気を配っています。髭も脱毛しているので、いつも実年齢よりも若く見られます。もっと言うと実は全身脱毛しています。
日焼け止めや保湿も欠かせません。最近はボトックス注射で小顔になりました。月一で美容室にも通っています。
自己満足の世界ですが、自己肯定感が上がるので、精神衛生上も健康になると考えています。
5.日々勉強する
【5、日々勉強する】
専業トレーダーになった後も、FXの勉強は欠かすことはできません。
相場の情勢は日々変わりますし、トレンドや通用する手法も変わっていきます。
「一生勉強中の身」という考えが理想だと思います。
私も日々勉強中の身ですから、利確後も「もっと上手く取るためにはどうすればいいか」と考えますし、損切り後も「もっと良い損切りはなかったか」と手法を見直しています。
また、世界情勢のチェックや、為替以外の株や債券市場の動向などのチェックも欠かしません。
情報のシャワーを浴びることを意識しています。
6.新しいことをする
【6、新しいことをする】
特に専業FXトレーダーは、自宅で黙々とチャートに向かい合っているだけで、日々同じことの繰り返しですから、うっかりしていると世の中に置いていかれます。
メタバース、Web3、ChatGPTなど、世の中はどんどん変わっていきます。
気がついたら、FXしかしてこなかった人生だった。というのでは、豊かな人生は送れませんから、日々新しいことに挑戦する姿勢が大切だと考えています。
新しいことに挑戦するのはエネルギーが要りますが、案外やってみると簡単に達成できたり思わぬ発見があったりします。
「今年やりたいことリスト。」「やってみたいことリスト。」などと紙に書き出してみることをおすすめします。実際にやってみると、意外と叶うものです。
私は旅行が好きなので、行ったことがない場所に積極的に訪れるようにしています。
7.人間と接する
【7.人間と接する】
専業トレーダーは、下手したら誰とも合わないまま生きていけます。
私も妻以外と会話しない日がほとんどですし、もし妻がいなかったら本当に誰とも会わないまま毎日が過ぎると思います。
私が感じたこととして、人はやはり社会的な動物であり、他者とコミュニケーションを取るように設計されている生き物だと思うのです。
ですから他人と全く接しないまま過ごしていると、人間としての感性であったり、動物として研ぎ澄まされる感覚が失われていく感覚を覚えました。
そしてストレスが溜まります。私はここまでしか言語化できませんが、おそらく科学的にも証明することができる何かがあると思います。
また、人と会わないと、新しい刺激であったり、学びの機会が失われていきます。
私も独立後に、「このままではいけない」と思って、幼稚園のイベントに参加したり、地域行事に参加したりと、積極的に行動するようにしました。また、昔の友人に声をかけて、食事をしたりするようにもしています。
ちなみにビジネス系インフルエンサーが開催している「オンラインサロン」に入ったこともありますが、これは学校や会社のような雰囲気があり、集団行動が苦手な自分には個人的にはどれも合わず、結局全て退会しました。向き不向きはあるのでその感性は大切にしています。
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以上が、私が思う専業トレーダーとしての理想的な過ごし方でした。
「専業トレーダーの生活がイメージできない」という人もいるかもしれません。ですが簡単です。「学生時代の長期休暇をイメージしていただくと近いと思います。
人それぞれ環境は違うとは思いますが、少なくとも働いている今と比べると、仕事がない分、ストレスは圧倒的に少なかったはずです。そしてそこにあったのは自由と希望です。
「早期退職すると、暇なのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、「学生時代の長期休暇」を思い出していただければお分かりいただけるように、「なんだかんだ充実していて毎日があっという間」です。
「あのころはよかったなぁ」という人は多いですが、専業トレーダーというのは、まさにそんな「あのころ」がもう一度手に入る、そんなイメージです。
要するに何が言いたいのかというと、誰もが人生で経験しているような生活であり、専業トレーダーの生活というのは何も別世界の夢物語ではないということです。
誰にでも目指す価値がありますし、それは遠い存在でもなく、本当の自分を取り戻すに過ぎないのだと考えています。
最後に
【最後に】
最後までご覧くださいましてありがとうございました。
私もサラリーマンしか生き方を知らなかった頃は、「老後までこんな生活が続くのか。」「人生って大変だな。」と思っていました。
ですがFXと出会い、専業トレーダーとなった今は、「人生はなんて楽しく、素晴らしいものなんだ。」と心の底から思えています。
一度しかない人生ですから、せっかく生まれた以上、全力で楽しんで生きていきましょう。
少しでもお役に立ち、あなたがFX専業トレーダーとして活躍するための一助となりましたら幸いです。ありがとうございました。
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