4/6 ④トレーダーになる方法

第4章

起業する方法

【第4章起業する方法】

いよいよ兼業トレーダーは卒業です。

独立して、専業のプロトレーダーになります。

私は個人事業主の開業の経験も、株式会社の設立の経験もあります。

今回はその経験も踏まえて、FXトレーダーはどのように起業すればいいのかを解説します。

なお、今回もあくまで「私はこうした」という個人的な体験談となります。正確な情報については、詳しくは専門家にお尋ねください。

 

1.起業前夜の過ごし方

【1.起業前夜の過ごし方】

いよいよFXで生計を立てていける目処が立ち、会社を辞めることを決めたら、まずはスムーズに辞める計画を立てます。これは各々が置かれている状況によって一概にはアドバイスはできないので、ご自身でイメージしてみてください。

辞める時にトラブルに巻き込まれると、独立後に影響が出ます。独立すると何も保証されない自己責任の世界なので、余計なトラブルのタネは作らないに越したことはありません。

「辞める理由」として、「FXで成功した」というのは言わない方がいいです。会社員でありながら副業でFXをしていたということがバレ、トラブルの原因となります。

「自慢したい」「見返したい」という気持ちは分かりますが、そんなことをしても1円にもなりませんので我慢しましょう。起業したらあなたは社長です。お金にならないことはやらないでください。

引き継ぎもして、人間関係も円満であることに越したことはありません。「こんな会社辞めてやるぜ!」と退職届を叩きつける妄想は誰もが一度はしたことがあると思いますが、恨みを買うだけなのでやらない方が良いと思います。

「退職代行」などを利用すると、最後の月の給料が未払いになるトラブルもあるそうです。

退職金を受け取るまでがミッションです。

会社の備品も忘れずに全て返却しましょう。例えボールペン1本でも、会社の経費で買ったものは会社の財産です。持ち帰って私用にするとトラブルの原因となります。

また、起業あるあるとして、「いつか役に立つかも」と会社関係の連絡先や名刺を保管しておく人は多いですが、ほぼ役に立つことはありませんので、捨ててしまって問題ありません。

退職後のスケジュールや日程、必要な行政手続きなども事前に調べておきましょう。

必要な行政手続きについてはこのあと解説します。

 

2.個人事業主になる方法

【2、個人事業主になる方法】

起業には二つあり、「個人事業主」になるか、「会社を設立して社長になるか」があります。すでに税理士さんと顧問契約を結んでいれば、このような手続きもアドバイスしてもらえます。

まずは個人事業主について解説します。

個人事業主(自営業)になる方法は、税務署に「開業届」を提出することです。

これは新しく「事業」をスタートさせたということを報告するということです。ところが、前述したように、「FXトレード」は「事業」として認めてもらえません。

よって開業届を提出しても受理してもらえない可能性が高いです。

要するに、個人FXトレーダーというのは、世間的には無職なのです!!!

ではFXトレードができないのかというと、そうではありません。

FXトレードという「雑所得」がある無職、ということで、1年に1回確定申告すれば問題ありません。

デメリットとしては、青色申告ができない。従業員を雇えない。などがあります。

また、無職なので賃貸の契約やローンの審査は難しくなります。必ずサラリーマン時代に契約は済ましておきましょう。

要するに、FXトレーダーとして独立する場合には、資格も手続きも何も必要ありません。

その日から「自称」でOKです。

 

【必要な行政手続き】

退職後に考えなくてはいけないのは次の二つです。

①社会保険

②年金

順に解説します。

 

①社会保険について

日本は国民皆保険制度なので、「社会保険」か「国民健康保険」かのどちらかには必ず加入しなくてはいけないことになっています。

会社員の場合、社会保険に加入しています。退職した日に効力を失うので、保険証は会社に返却しなくてはいけません。よって退職後はそのままだと保険に未加入の状態になってしまいます。

退職後の選択肢は二つです。会社の社会保険を「任意継続」するか、新規で国民健康保険に加入するかです。

任意継続というのは、本人が希望すれば2年間に限り社会保険に延長して加入することができる仕組みです。

会社員時代に支払っていた保険料がそのまま継続されます。(なお、会社員時代は会社と折半して保険料を納めているシステムなので、任意継続の場合、支払額は単純にそれまでの2倍になります。)

任意継続と国民健康保険は保険料が違い、扶養家族や年収などによっても前後するので、迷いどころです。

結論から言うと、独立して会社員時代よりも年収がアップするなら、任意継続の方がお得で、年収がダウンするなら国民健康保険の方がお得です。

任意継続は、有効期限が2年間です。2年間は、今まで払っていた保険料のまま一定です。年収が上がろうと下がろうと一定です。

本来、年収(月収)に合わせて保険料がアップするので、年収が上がったとしても保険料が一定なのはお得です。任意継続は扶養家族がいても大丈夫です。

FXトレーダーとして独立するなら、どう考えても会社員時代よりも年収がアップするはずです。

よって任意継続の方がお得である可能性が高いです。

なお分からないことは窓口で教えてもらえます。社会保険は「全国健康保険協会(協会けんぽ)」の窓口で加入します。大企業の場合は保健組合があるので「組合けんぽ」となります。

国民健康保険は、市役所の窓口です。どちらに加入するか迷っていると言えば見積もりも出してもらえます。

私は社会保険の任意継続を選び、退職した翌日に「協会けんぽ」に足を運び、契約しました。

家族もいましたが、そのまま条件は同じで、家族分の保険証が発行されました。

(大企業にお勤めの方で独自の保健組合がある場合は、会社にお問い合わせください。)

 

②年金について

次に年金です。会社員の場合、給料から天引きされるので、すでに払っています。独立後は、自分で払う必要があります。

社会保険と年金は全く別物なので、手続きも別です。

「会社を退職したので、国民年金に加入したいのですが」と市役所の窓口に行けば手続きができます。

その後は自宅に納付書が届くので、それで納めます。

 

退職後に必要な行政手続き

①健康保険に加入

会社の社会保険を任意継続するか、

国民健康保険に加入するかのどちらか。

必須。

② 年金に加入

市役所の窓口で手続き。

 

【失業保険は出る?】

「会社を辞める=失業保険がもらえる」と考えていた私は、「貰えるものは貰っておこう」と考えてハローワークに行きました。

ところが話を聞くと、失業保険はあくまで、「再就職を目指している人が、再就職の準備としてもらうもの」であり、「収入がない人」というのが前提ですので、条件からは外れていました。よって失業保険の手続きはしませんでした。

ですが、退職後にハローワークに行くと、「失業認定」が発行されます。有効期限は1年間なので、もし1年後にやっぱり再就職したい。と考えたときに役に立つ可能性はあります。

【住民税について】

住民税というのは、前年度の収入に対して、次の年に納めるものです。

よって、退職後、仮に無収入であったとしても、前年の会社員時代の年収に応じて、課税されます。

会社を退職すると、会社から市役所に情報が伝わるので、後日、住民税の納付書が自宅に届きます。それで納付すればOKです。手続きは不要です。

翌年からは、確定申告をするので、いずれにせよ住民税の申告は不要です。

以上が、 退職後にやることです。 要するに、 FX個人トレーダーは個人事業主にはなれず、 無職だということです。

 

3.会社を作る方法

【3、会社を作る方法】

個人と法人、どちらが良いのか?という疑問があると思いますが、結論から言うと、儲かれば儲かるほど法人の方が有利になります。

よって独立後、どこかのタイミングで法人を設立することをおすすめします。

会社には「合同会社」や「合資会社」など様々な種類がありますが、私は「株式会社」にしました。かっこいいからです。

会社の設立方法は、専門知識が必要なので、プロに代行してもらう必要があります。

顧問税理士がいる場合は、そのまま税理士さんにお願いするのが簡単です。「法人化プラン」などを用意している税理士事務所も多いです。

また、ネットで検索すると会社設立代行サービスもあります。

お金を払ってハンコを押すだけで、いつでも誰でも会社の社長になれます。

会社設立費用は、印紙代などもあり約25万円ほどです。

さて、法人化すると、いよいよ「FXトレード」が事業として認められます。

「外国為替取引業」をする法人として登記することが可能だからです。FXの実績の審査などはありません。

これによりFX口座も法人アカウントが作れるようになります。今私は会社の事業として、FXトレードをしています。

妻を役員にして役員報酬を払ったり、経費で車を買ったりすることもできます。購入した本や文房具、パソコン代、通信費などあらゆるものが経費にできます。

また、マイホームを事務所にしているため、自分に家賃を払うことができます。(そうすると、家賃収入があるということで、それはそれで確定申告が必要になりますが。)

このように、有利になる点が多い一方で、手続きも個人とは比べ物にならないほど複雑になりますし、役員報酬をいくらにするかなど、考えることも増えるので、やはり税理士や専門家に依頼しましょう。

ちなみに個人的に苦労したのが、銀行口座の開設です。信用がない会社なため、銀行の審査がなかなか通らず、口座が作れませんでした。結局3ヶ月後にネット銀行の口座が1つ作れました。

【必要な行政手続きについて】

会社が社会保険に加入すれば、役員や社員に社会保険の保険証が出ます。厚生年金にも加入できます。これも協会けんぽに行けば加入できます。

あとは会社の給料から天引きして支払いますので、会社員時代と同じイメージです。

以上が株式会社の社長となり、FXをするという方法でした。

「起業が夢です」という人は多いですが、実際はお金を払ってハンコを押すだけで、誰でも社長になれます。起業したからといって、それだけで日常の何かが変わるということではありません。

ちなみにサラリーマンでも会社を所有することは可能です。

結論、FXプロトレーダーになるということはFX取引をする会社の社長になるということです。

 

 

 

 

 

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