第2章整理と確認
現在使用しているテクニカルを整理し見直してみる
今現在、あなたが取引している通貨ペア、使用している時間足、足(バー、ローソク、ライン)の種類、移動平均線、ボリンジャーバンド、RSIMACDなどの項目を書き出してみましょう。この作業は必ず紙面上で行うことをお勧めします。
これに限らず、どんなことも頭の中だけで考えて整理するのではなく、紙に書いて整理、分析することを強くお勧めします。
話は少し反れますが、その理由を説明させていただきます。私は以前メンタルケアカウンセラーの勉強をしていた時期があり、何人かに心のケアをするワーク(施術方法)を教えました。
そのうちの一つに比較的簡単にできるワーク「嫌な感情は紙に書いて吐き出し、破ってすてる」という方法があります。
カウンセリングをした数名のうち、高校生は素直に私の支持に従い、嫌な感情を紙に書いて吐き出し心のケアをして効果を体感していました。
しかし大人(社会人)は一名を除き、誰も紙に書きませんでした。
「紙に書いた?」と尋ねると「書いてない」という返答だったのです。面倒なのか、あるいは書かなくても解決
できると思っているのか理由はわかりませんが、大人ほど紙に書かないのです。
例えばですが、84637+68782-9385を頭の中で計算してください。と言われたら、スッと答えはでるでしょうか。もちろん、珠算検定などを有している方などでは答えがスッと出る人もいますが、たいていの人はスッと答えは出てこないと思いますし、頭の中で計算するのにも時間が掛かりそうです。
しかし紙に書いて計算することにより格段に計算しやすくなるでしょう。そして何よりも視覚化することは、目で見て頭で考えるため、頭の中だけで考えるより効率も良ければ回答も出やすいのです。
数字には曖昧な表現、回答はありませんが、言葉にはそれがあります。
つまり言葉は数字よりも何倍も複雑なのです。このような理由も含め、必ず紙に書いて分析することを強くお勧めしているのです。
では、現在取引している通貨や使用している時間足などを紙に書いたら、それを使っている理由、使い始めた理由などを簡単でいいので書き出していきましょう。
例えば、通貨ペアがポンド円であった場合、なぜその通貨を選んだのかです。その理由が、
・ボラティリティが大きくよく動くから。
・動画やブログでよく扱われているから。
・友人に勧められたから。
ここで考えてみてください。自分で自分なりの理由がありその通貨ペアを選んだのならいいのですが、本や動画などでよく動くから・・・などのように、他者視点で選んでいないかどうかです。
最初に選んだ理由が他者視点で、今は自分なりの理由があるのならいいのですが、その理由が無く、今も「ポンド系がいい」と、言われたまま使い続けているのなら今一度考えなおしてみましょう。
確かにポンド系に関してはよく動きますが、その動きはあなたに合っていますか?やりやすいですか?
もし「あっているかは分からないが、よく動くしトレード機会も多いからいいんだ」など、本気でそう思えるのならいいのです。
私の場合をお話しますと、私は主に6種類の通貨ペアを取引しています。それを選んだ理由は、取引量の上位6つという理由で選びました。なぜ取引量で選んだかというと、取引されている量が多いほど、テクニカルがパターン通りになりやすい傾向にあるからです。
そしてこれは通貨ペアだけに限らず、使用している時間足も同じです。私が主に見ている時間足は、日足、1時間足、15分足です。
過去に見た動画の中で「マルチタイムで組み合わせて見るのなら、4時間足と15分足の組み合わせの相性がい「い」と言っている人がいましたが、なぜその二つの相性が良いのか理由までは説明しておらず、私もいまいちパッとしなかったのでその組み合わせを使うのをやめました。
他にも通貨ペア、時間足に限らず、使用している物すべてを見直し自問していきました。いくらFXで稼げている(と思われる人)が良いと言っていたとしても、それが自分に合うかどうかは別の話です。合わない物を使い続けるのは合わない靴を履き続けて歩き続けるのと同じようなものです。
誤解を防ぐため言いますが、動画や本の中で「これが良い」と伝えているものを使うのをやめなさい、といっているわけではありません。
自分に合っているかどうかを今一度見直し、考えてみることをお勧めします。
もう一度、自分が使いやすいかを考えてみる
突然ですが、上昇トレンドラインを引いている方、どことどこを結んで引いていますか?
終値同士ですか?それとも安値同士ですか?どちらが正しいのか考えたことはありますか?
そもそも何故その二点を結んでいるのですか?
トレンドラインを引いて本当にそれは生かされていますか?
もしかしたら、トレンドラインが無かったら単純にチャートを見ることができて良い判断が出来たりしませんか?
決してトレンドラインを否定しているのではありません。私も以前はトレンドラインを引いていました。しかし抜けた時の判断が苦手だったため、使用するのを思い切って辞めました。
重要なのは、自分自身がその道具を使っていて「ぎこちなさが無い」ということです。違う言い方をするとその道具を使っていて「自然に使えている」かどうかです。
本や動画などで「トレンドラインはヒゲ同士を結びましょう」と言っていたのでその通りにしている。最初はそれでもいいと思いました。しかしそれを自分の物にするのなら、理由もわからず、本に書いてあったからその通りに使い続けるのではなく、自分の中から意味を見出して使っていくようにしてみてください。これはトレンドラインに限ったことではありません。
例えばRSIを14(多くのチャートでの初期値)で使っているのならなぜ14なのか。14という数字はどこから来たのかを知ったうえで使うかどうかを考えてみてください。4時間足にRSIを14で使っているのは妥当な数字なのか。もしかしたらRSIを開発した人からすると4時間足に14か・・・」と思われるかもしれません。
決してRSIを否定しているわけではありません。その道具を使用するにあたり、自分がどんな思いで使っているのかを見直してから使ってほしいのです。使いにくい道具を無理に使っていく必要はありません。
これは使用する時間足にも同じことが言えます。マルチタイムフレームの組み合わせ、見る時間足。そしてその数。一つの通貨ペアを日足、4時間足、1時間足、15分足、5分足など、複数表示していませんか?その理由を自分でしっかり説明できますか?
説明できない物を使うなと言っているわけではありませんが、説明できるのならそれだけ理解している、つまりあなたの役に立っていることになります。その状態まで理解度を深めるべきなのです。
使用していて、いまいちパッとしない物は使うのをやめる
続きになりますが、使用するのをやめる判断基準は「成果が伴わない」は当然ながら、使っていて心が伴わないものは使用をやめるべきです。対して見てないのに表示したままの道具(ここでいう道具とはRSIやMACDなどを指します)はもちろんですが、頼りにならない、頼れると感じたことが無い物は使用するのを一度やめてみましょう。
使っていて少しでも抵抗があると心に入ってきません。また、入ってくるべき情報の邪魔をする場合もあります。逆にいうと「使いたい」と前向きに思える物、気が進むものを選ぶのです。
私がFXを始めて間もない頃、複数の移動平均線、MACD、RSIストキャスティクス、平均足、ボリンジャーバンドなどの指標を色々組み合わせて見たり、複数表示してトレードの判断をしていました。
私自身、誰からも教わった経験がないため、本やブログなどから独学で取り組んできたのですが、ある日、気が付いたのです。
「ボリンジャーバンドの形状やRSIを見て判断しているが、本質はローソク足から形成される波とその値動きが大事で、それを一番よく見なきゃいけないんじゃないのか…?」と。
表示している物が多く、本やブログなどで見た情報を自分の解釈無しで使用し続けていた結果、本来注視すべき事に気づかなかったのです。
本を読む順番を間違えたのかもしれませんが、初心者がどの本から読めばいいかなんてわからず、私自身勉強が嫌いで苦手でもあったため、また、それまで本なんてまったく読まない人間であったのでそれに気が付くまで相当な時間を要しました。
それ以降、基本かどうかはわかりませんが、流れに乗るというのがトレードの基本なら、「波(流れ)に乗る」ことと「そもそもその波とは」ということから、再度勉強を始めました。
そしてそれに直接関連すると思った事、例えばローソク足やラインチャート、移動平均線、水平線、トレンドライン、波動理論などを一つずつ、そして少しずつ勉強を進めていったのです。
今まで本に載っている図を見て「なるほど」と終わらせていたものを、紙に書いてみたりローソク足1本ができる過程を何度も紙に書いてみたりもしました。そのように認識を深めていったのです。
それまでは「本に書いてあったこと」「動画で言っていたこと」という認識で考えていました。つまりこれは与えられた答えをそのまま利用している状態です。
それを「自分の中から答えを見つけ、腑に落ちている」という状態に切り替えるため、日々勉強して訂正していました。
そうすることでライン1本引くにしても、ここに引く理由は自分の中から生み出し、解釈したものなのでその重要性もわかる、信用もできるようにもなっていきました。
当然ながら最初からすべて機能したわけではありません。いとも簡単に突破されたラインもありました。そのような時は原因を探り、認識を改めていったのです。
使っている道具の理解力を深めていく。それを続けていくことにより、数週間後、数か月後には、同じものを見ても、昨日まで気が付かなかったことに気が付いたりします。
時には訂正しなければならない、認識を改めなければならない時もありますが、それが成長しているということなのです。
長く使用してきた物でも、使うのをやめる時はくる
私のことを書きますと、FXを始めた頃は5分足や1時間足など比較的短い時間足でトレードをしていました。そしてそれが数年間続きました。
「最初は大きな時間足が良い」ということは多くの本や動画で目にしたので知っていたのですが、やはり毎日トレードがしたい、早く稼ぎたい、などの理由から大きい時間足(日足や4時間足)は使用しませんでした。
しかしその状態が数年続き、また一向に成績も上がらず、そして手法もコロコロ変わるため、ついに腹をくくる時がきたのです。
「多くトレードするから負ける回数が多い。多くトレードしても多く勝てるわけもなく、逆に多く負ける…。まずはチャートを見る回数を減らせば必然とトレード回数も減り、損失も小さくなるはず・・・」と思ったのです。そして思い切って4時間足だけにしました。しかも4時間に1回しか見ないと決めたのです。それまでは短い時間足のチャートをほぼずっと表示したままでいたので、それが4時間に1回しか見てはいけない決まりにしたので最初はとても不安になりました。チャートを見ていない時間の方が、はるかに上回るため何もしていないという感覚になり罪悪感すら抱きました。(文中の「短い時間足」を使用していた期間は約7年前後)
また時間足だけではなく、その時使用していたボリンジャーバンドやRSI、移動平均線などすべて消した値動きの特性を知るため、ラインチャートのみにしたのでチャートは相当すっきりした物になりました。
それまでラインチャートの存在は知っていましたが、それにするとローソク足が見えなくなり、ヒゲも分からなくなるという理由から使用を見送っていました。しかしここで自問自答した結果、
「長年ローソク足チャートを使ってきて稼げていないのだから、今更ローソク足チャートにこだわり、使い続けるのはおかしい。今の時点ではまず値動きの勉強をすることが最優先だ」と。
それともう一つ決め手となったことがあります。それは、本や動画で値動きについて解説している図はラインチャートが多いと思ったからです。次の図を見ていただきたいのですが、このような絵で解説をしている記事を見たことがありますか?
私はこの図を脳内でローソク足チャートに変換して見ることがとても苦手でした。その理由もあってラインチャートにしましたが、それでもまだしっくりきませんでした。
それはMT4のラインチャートでは始値と終値が非常に分かりにくいのです。そして私は必死になってインターネット上から、始値と終値に点が付けられるインジケーターを探し出したのです。ようやく本や動画と同じ目線でチャートが見れるようになり、理解を深めていったのです。
通常のラインチャート / 点を付けたラインチャート
先ほども書きましたが、最初の数週間は不安や罪悪感に悩まされましたが3週間もすると慣れ始め、そしてトレード回数は大幅に減り、当たり前なのですが成績もマイナス幅が小さくなりました。
何よりも悩み続けていた「衝動的なトレード」をすることが殆ど無くなり、その悩みからも解放され自己嫌悪に陥ることがほぼゼロになったのです。
表示されているものがラインチャートのみなので、嫌でもラインチャートを集中して見ることになります。しかしそれが功を奏し、自分自身の認識が次第に変化していきました。
そして数ヶ月が経過し、ラインチャートで波の動きがわかるようになってきたので、次は薄い色でローソク足を重ねるように表示させました。MT4ではラインチャートとローソク足チャートを同時に表示させることはできないので、移動平均線の値を1にしたものと薄い色のローソク足(陽線は薄めのピンク。陰線は薄い水色)を表示させたのです。
長々と私のことを書きましたが、長年使用してきたものを辞めることが、大きな変化のきっかけになる場合があります。
使うのを辞めたら変化が起きてきた経験はありませんか?例えば長年吸っていた煙草をやめたら少し太ってきた。でも変な咳(せき)は出なくなった、など。
よく使っていて重宝しているものを排除しろといっているわけではありません。
自分の考えを基準にして使用するかしないかを決める。時には長年使用してきたものも辞める決断をすることも大切なのです。
ちなみに今現在私はローソク足チャートと値を1にした移動平均線、つまりラインチャート、そして値を20にしたEMA(指数平滑移動平均線)のみです。このチャートでは、水平線とフィボナッチリトレースメントを時々使用しているだけです。
書いて考える
私自身、卒業した高校の学力はかなり低く、大学には行っていませんので受験勉強というものをしたことがありません。しかし、FXを始めてから「書いて勉強する」ということが身に染みてわかるようになりました。
本気で入りたい大学の受験勉強を頭の中だけでする人は滅多にいないと思います。漢字の書き取りをパソコンのキーボードで入力し学んできた小学生はいないと思います。
人間は指先を動かすことにより、神経が刺激され脳に焼き付くのです。ごく一部の人を除き、多くの人は食事では箸を使ったり、動物と触れ合う時は手を使い感触を味わうなどして、手や指先から多くの情報を得ます。
書かなければならない仕事などについている人は書くことに慣れているかもしれませんが、普段そのようなことをしない人がノートなどに書いて色々分析したりすることは面倒かもしれません。スマートフォンが普及している現在ではなおさら物を書く機会が減ってきていると思います。
ちょっと厳しい事、もしかしたら頭にくるかもしれないことを書きます。もし本や動画で学んできたものを頭の中だけで考え、理解して分かったつもりでトレードしているのなら、あなたは既に納得のいく成果を得ていると思いませんか?
ここまで「書くこと」を勧めていますが、それでも書くことが面倒ならば仕方ありません。後の章にも書きますが、稼げている人たちは、損失してくれる人がいるから稼げているのです。つまり損失してくれる人たちがい
ないとそれはそれで困るのです。
「毎日ノートや、印刷したチャートに線を引いたりメモを書いたりして勉強している!」という人は読み流してください。
パソコンやスマートフォンの画面(チャート)を眺めて、頭の中だけで考えている人。本当にそれしか見ていないのならば考えを改める時がいつかきます。
「はじめに」でも書きましたが、覚える方法、身につける方法は体で覚えるのが私の持論です。定規をあてて、ラインを引く作業は、画面の中でラインを引く作業よりも脳に染み込みやすいです。
目で見るだけというのは、単にインプットしているだけです。しかし、見た物を書くということは脳内で認識していることをアウトプットする事にもなるのです。
学校の先生、中でも年配の先生はたいして教科書も見ずにその内容を話したり黒板に書いたりしています。疑問を感じたことはありませんか?
仮にその人が大学を卒業後、すぐに教職についたとしたら数十年が経過しています。学生時代に習ったことを数十年が経過した現在でも、的確に生徒に伝えることができています。
何故でしょうか。その理由は、ほぼ毎日、授業中にアウトプットをしているからなのです。
画面内のチャート上にラインを引くことは手軽にできます。しかし、画面内のチャートの余白に、その時、気づいたことをメモすることは手軽にできません。この場合は、紙に書く方が手軽にできます。
更に書くことによって、自分の考えている思考が視覚化されます。当然ながら指先を動かしたことによって脳が活発になり認識力も高まります。
余談ですが私は最初の頃、なるべく目が疲れないように画面上のチャートの背景色は黒にしていました。印刷する時はインクを節約するため背景を白にして印刷をしていました。
しかし「同じチャートでも、モニター側は黒、紙は白だと少し違和感がある・・・」と思い、少しでもその違和感を無くすために色は印刷する側に統一しました。
少し話が脱線してしまいましたが、現在使用しているもの。例えば単純移動平均線ならば、何故それを使っているのか。その値にした理由も書いてみましょう。
使っている道具の数が多いと大変な作業になるかもしれませんが、本当に自分にとって必要なのかを見直す機会でもあるので是非行ってみましょう。
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