第4章日々行うこと
毎日の行いが今の自分である
われわれ人間の体は昨日まで飲食してきた物で成り立っています。そして五感を通して入ってきた情報から思考が構築されていきます。定期的に筋トレをしている人とそうでない人を比べた場合、当然ながら筋トレをしている人の方が筋肉質であり力も強いでしょう。
毎日練習をしている格闘家とまったく練習をしない格闘家が試合をしたらどちらが勝つかは言うまでもありません。それと同じように、毎日練習をしているトレーダーとまったく練習をしていないトレーダーが試合をしたらどちらが勝つかは言うまでもありません。
トレードは宝くじを買うことやパチンコとは違い、対人間相手の作業です。あなたが買うということは、どこかで誰かが売ったのです。その相手が誰なのかを知ることはできませんが、その買った物が「誰かが不要になったから売りに出したもの」だとしたら…。そしてその「誰か」は、あなたよりも格上の人だとしたら、あなたが買ったそれは高確率で下がります。
毎日練習や研究する時間があるかないかは人それぞれですが、その事実だけは覚えておいてください。
「俺は仕事が忙しいから練習する時間も研究する時間も、そして仕事で疲れて帰宅してくるからそんな気力も無いけれど、なんとかしてFXトレードで稼ぎたい。プロに勝ちたい。」
もし本気でそう思うなら私ははっきりいいます。
「わかりました。あなたがそうしたいのなら、そうしてください。では失礼します」と。
今日まで歩んできたことが今現在の状況ではありますが、これから先の未来とは必ずしも関連しません。今日まで成功したことがないから、これからも成功しない、そんなことはありません。過去の先に未来があるのではなく、現在の先に未来があるのです。
今日から定期的に練習を続けたら、数ヶ月後、数年後にはどのように自分は成長しているのか。すぐに数値的な結果だけを考えず、取組んだ自分の姿勢や思考そのものの成長した姿をイメージしてみてください。
.
練習内容がすぐに思いつかない、何から練習していいのかわからない、という人は「練習内容を考える」という事から始めてみてはいかがでしょうか。
定期的な研究 検証・ 練習が必要
どんな職業でも同じようなことが言えるのですが、 毎日それを繰り返すとその技術は磨かれ、無駄な動き が省かれていきその道のプロになります。
トレードも同じです。 手法が確立したら完成ではなく、 その手法を使い日々練習するのです。 過去のチャート から似たようなパターンを探し、 何度も何度も繰り返し見て体に染み込ませるのです。 リアルチャートで毎日トレードするからその必要はない、というわけではないのです。
自動車免許でも同じように、 免許を取得したら終わりではありません。 そこから日々、 車やバイクを運転して 技術や認識力が磨かれていくのです。 できるようになったら終わりではなく、 できるようになったら始まるので す。
「練習の 「練」 「習」 とそれぞれの意味を辞書で引くと、
練・・・ 繰り返し手をかけ、質のよいものにする。
習・・・繰り返しまねをして身につける。
ということが書かれています。 もしかしたら、 今現在のトレードの中でも、 それだけを繰り返し練習していれば、その数ヶ月先には歩くのと同じくらい、当たり前のように行動できるトレード手法が存在しているかもしれませんね。
自分だけの練習メニューを考えよう
前項に関係しますが、どんな練習をすればよいのかを自分なりに考えることをお勧めします。そしてここで重要なのは、練習方法も一度で完成されるものではないということです。
様々なスポーツの練習方法や勉強方法が長い歴史の中で試行錯誤して改良され、その結果として、過去の記録を塗り替えたり、新しい発見、技術が生み出されてきました。トレードの練習方法も同じです。
私自身、色々な練習方法を考え、改良し、時には破棄し、今に至ります。
実際にどのように考えればいいかわからない。というのは言い訳です。わからないからやらないのか、誰かに支持を貰わないと動けないのか。少し厳しく書きましたが、もしそう思ったのなら考えを改めてください。誰かの練習方法を参考にするのは多いに結構です。最初は真似から始まるのもいいと思います。しかしいずれは自分流の自分に合った練習メニュー、内容を考えていただきたいのです。
ここでは、少しそのヒントを書きます。まず自分がトレードをする時に、何を見て判断してトレードをしているかを考えてみてください。第3章の「自分はどういうトレードをしたいのか考えてみよう」の時に判断した物から選ぶことも良いアイデアです。紙に書いてリスト化することをお勧めします。
例えば「何を見て」の項目が「水平線」「トレンドライン」「移動平均線」というようにリスト化できたら、そ
れぞれ一つずつ、トレードの時に行っていることを考えてみます。水平線を引く作業を例に挙げますと、何を基準に引いているのか。どの足を見て引いているのかなど、線を引く練習だけを行います。
前項でも書きましたが、練習という言葉の意味は、繰り返し行い、質の良い物にしていくことです。ざらざらした金属の表面も繰り返し研磨していけば鏡面になるのと同じで、一つの作業を繰り返し行っていくと研ぎ澄まされていきます。
練習にも慣れてくると次第に違う事を考えながら作業をしてしまいがちです。車の運転に慣れてくるのと同じような感じです。そのようなことからも時々は「ここにラインを引く理由は本当にこれでいいのだろうか」など自問自答をしていきましょう。
次はトレード方法に関連した「練習すべきこと」を絞っていきます。
例えば「水平線を抜ける時のローソク足の形状に注目する練習」や「押し戻りが止まる場所に注目する練習」などです。
あなたがエントリーの判断をする時、何かを見てエントリーの判断をするわけですが、その「何か」をすべて一つずつ練習対象にしていくのです。
使っている道具(移動平均線ボリンジャーバンドなど)が多いほど、練習する事も多くなります。そのような場合は、今一度「本当にこのインジケーターは必要なのか」と自問自答し、整理してみましょう。
最終的には、個々に練習している物を組み合わせた総合練習を行います。
また、練習する場面選びはどこを選ぶのがベストなのか。
それは前章に書いた「過去に、良い形で成功したトレード」あるいは「自分はどういうトレードをしたいのか考えてみよう」で説明しました、ご自身が望む形が出来ている場面から選べばいいのです。
くどいようですが、手法と同じように練習方法も一夜にして完成されるものではありません。時には数ヶ月、
数年かかる場合もあります。
また長く続けてきた練習方法もそれを辞めて、新しい練習方法に切り替える時も来ることを覚えておいてくだ
さい。
私の練習方法の一つを、前章で使用した図を用いて解説します。(2022年4月現在)
この形を認識してエントリーしたいのです。だからこの映像を何度も見ます。この形に似た場面を過去から抜粋し、その日時をエクセルに保存してあります。
そして練習する日を「日曜日はEURGBPとEURJPY。月曜日はEURUSDとGBPJPY」 というように決めています。エクセルのリストから日時(過去から抜粋した日時)をコピーしてMT4に張り付け、その場面にして集中して見る練習をしています。つまりパターン認識のスキルを上げているのです。
▲左の画像は日々の練習帳。右の画像は認識したいパターンを抜粋したリスト帳
ある本に書かれていたのですが、優秀なチェスプレーヤーと普通のチェスプレーヤーに対してある実験が行われました。チェスの駒を「実際のゲームの一場面」のように配置し、各プレーヤーに5秒間見せ、駒の配置を覚えてもらう記憶力のテストを行いました。結果は予想通りで、優秀なプレーヤーは、普通のプレーヤーよりも4~5倍、駒の配置を正しく記憶していたそうです。
次に、実際のゲームのパターンではなく、まったく「でたらめに駒を配置したもの」を、各プレーヤーに5秒間見せ、覚えてもらいました。結果は、優秀なプレーヤーと普通のプレーヤーの差はなかったそうです。
優秀なプレーヤーは、最初のテストでは個々の駒を見ていたのではなく、全体のパターンを認識していたことを告白しました。
うすうす気づいていると思いますが、トレードはパターン認識ゲームです。同じパターンを毎日見ていれば次第にそれに似たパターンを認識できるようになっていき、その数も増えていきます。
リアルトレードの時だけパターンを認識するのでは数が足りません。プロ野球ですら、一試合で5回打順が回ってくるかどうかのために何千回もの素振りをするのです。
これは脳科学系やスピリチュアル系の本に多く書かれていることですが、脳は実際に起こったことと脳内で起きたことの区別をするのが苦手と言われています。
例えばあなたが誰かから頭にくる言葉を言われたとします。実際に言われた回数は一度だけですが、そのことを思い出すとそのつど頭にきます。
つまり経験した回数は一度でも、繰り返し思いだすことにより、同じ経験をしているのと同じ状態になるのです。
練習を何度やっても1円も稼げませんが、逆に言えば損することなく、経験を積むことができるのです。
エントリーを見送った後、思惑の方向に続伸したら肯定する
エントリーに悩んだ結果、見送り、しかしその後は思惑の方向に停滞した状況を見て後悔する人は多いのではないでしょうか。エントリーしておけば稼げたのに、みすみすチャンスを見送ったその思いは損失と同等の精神的ダメージになる時があります。
また、エントリーを見送った事だけに限らず、最初に設定しておいた利益確定位置まで続伸するのを待てずに途中で決済をした後、結局は最初に設定しておいた利確位置まで続伸した場合も同じことが言えます。
しかしここで後悔したり自分を責めたりするのは大きな間違いです。なぜなら、見送りはしたものの、エントリーしようと考えた部分は正しかったということが証明されたことには間違いがないからです。
単にエントリーしていないだけであり、あなたの考えは正しかったと、チャートが証明してくれたのです。よってここでは自分を肯定するべきなのです。「あの時エントリーしておけば・・・」なんて自分を否定しても自分を嫌いになっていくだけで何もいいことはありません。
否定すれば否定するほど言うことが利かなくなります。
もう一度書きますが、ここでは自分を称賛すべきなのです。単にエントリーしていない、単に数字が残っていないだけで、あなた自身がそれまで築き上げてきた知識と認識力、見識は正しい事が証明されたのです。
そしてそれは未来に、あなたの願いが叶うことに繋がる思考回路があるということも証明されたのです。
損失したトレードは必要以上に見返さず、成功体験を繰り返し思い出す。または見る
結論から書きますと、損失したトレードを何度も見直すことはやめましょう。かといって全く見直さないこともやめましょう。つまり、1、2回見直し、そこから情報を得たらそれ以上は見返す必要は無いということです。
これは料理に例えるとわかりやすいでしょう。ある料理を作る時、そのお手本となる動画を見てチャレンジをします。不慣れな場合、見本と同じようにできませんでした。では、再度チャレンジする時はどうしますか?きっとまた、お手本となる動画を再度見て挑戦すると思います。
つまり、成功している動画を何度も見て真似をしようとするはずです。その料理の難易度が高いほど、何度も見て、細部まで真似をしてお手本のような仕上がりを目指すはずです。
もし、失敗している動画を見ながら料理にチャレンジするとしたらどうでしょうか。結果は言うまでもありません。それどころか前に進みません。
もうお分かりかと思いますが、そのような理由から損失のトレードを必要以上に見直すことにはあまり意味がないのです。
人は失敗から色々なことを学びますが、失敗の中に存在する情報を得られればそれでいいのです。それよりも重要なのは、成功からも学ぶことです。上手くいったトレードを何十回も見直してみましょう。数週間後、数ヶ月後、そのトレードを見て、もしも「プラスではあるが、ここでエントリーしたのは今見ると良いエントリーとは言え「ないな・・・」と思えたのなら、それはあなたが大きく成長した証です。
出来ることを何度も見直して意味があるのかと思われる人もいるのではないでしょうか。その答えは「あります」です。世界的に有名なサッカー選手も、県大会に出場するサッカー選手も、既にドリブルは出来ますがほぼ毎日ドリブルの練習をしています。
もう見なくてもできる、ということを練習し続けているのです。それがプロなのです。例えあなたが「私はプロトレーダーになるつもりはない」と思っても、あなたの相手はプロです。
有名スポーツ選手に限らず、音楽の発表会、大学入試、自動車免許の取得など、何かの成果を目指す時、その成果とは日々の行いの現れではないでしょうか。
あなたが「もう見なくてもできる」というレベルに達した時、あなたは相当な経験と実績を積んできた状態なのです。(実際にはチャートを見ないとトレードができないので、「見なくても」は表現の一部としてご理解ください)
衝動的な行動(トレード)について考えてみる
チャートを見ているとついついエントリーしたくなる衝動に駆られる時があると思います。しかし自分の方法ではないので見送らなきゃならない・・・。でも上がりそうな気がする・・・。
時には「まてよ・・・、自分の形に似ているよな・・・」など、エントリーをしていい理由を探しだしてまでもエントリーをしたい時があります。
そしていざエントリーをして損失となってしまった場合、非常にマイナスな心理状態になってしまう。なぜエントリーしてしまったのかと・・・。
仮に利益になった場合でも悪く作用します。その時は結果良しでとらえているかもしれませんが、次回似たような場面が来た時、同じようにルールを破ってしまう可能性があるかもしれないのです。そこでプラスになった場合、それが続くとそれをルール化したくなるかもしれませんが、その可能性は滅多にありません。
そして何より重大なのは、「自分は臨機応変にルールを破るトレーダーである」という思考回路が自然と構築されてしまうことです。それは今後のトレーダー人生に悪影響を及ぼすのはいうまでもありません。
では、この衝動的な行動を抑えるには何か対策はあるのでしょうか?まずは方法ではなく、衝動的な行動をしてしまう原因について考えてみます。
まず衝動的な行動(以降、衝動的なエントリー)の引き金になっているのは感情です。感情というと怒りや喜びなど様々なものをイメージすると思いますが、何の感情が引き金となって行動に走らせたのかは人によって異なるので一概にこれです、とは書けません。
ただ覚えておいていただきたいのは「悪意はない」ということです。純粋にそこでエントリーすれば良いと思ったから反応したのです。過去に似たような形や動き方などを見て、良いと思えた経験をし、気持ちが高ぶったので、似たような形が発生したため体が反応しエントリーしたのです。
もし衝動的なエントリーで散々な結果になってしまった場合、またそれが何度目かでまたやってしまった・・・という気持ちになると、自分を責めたり自分に対して怒りがわきます。
ではここで次のように考えてみて下さい。これが5歳くらいの子供の行動だったとしてもあなたは攻めたり怒ったりしますか?「悪意はない」のです。それでも責めて怒りますか?
我々人間が持つ感情というのは、幼いころの自分と言われています。感情は何かがきっかけで発生するのですが、その感情を抑えるのは、ほんとうは良くないのです。沸騰しているのにそのままにしてずっと蓋をしたまま火をかけておくのと同じです。
ではどうすればいいのか。その方法は「認めて理解してあげる」ことです。あなたが何かの出来事に対して納得いかず、怒りに満ちあふれた時、どうされたら次第に落ち着いていきますか?きっとあなたの意見を聞いてくれて、理解されて、共感までしてくれた時ではないでしょうか?
ということで、衝動的なエントリーをしてしまいマイナス感情に襲われたら、まず何故それをしてしまったのかその理由を紙に書きましょう。次にその書いた事に対して子供に伝えるように「なるほど、そうだったんだね。その思いわかるよ」というような、理解してあげるセリフを書き足してあげましょう。
認めてあげて、理解してあげることで、沸き上がった感情は次第に落ち着いていきます。これを何回も続けることにより衝動的なエントリーが少しずつ減っていきます。
この作業をする上で覚えておいてほしい事がもう一つあります。何かを破壊したくなるような強い怒りの場合は、まずは深呼吸を6秒以上してから気持ちを落ち着かせ、それから始めてください。
書いた紙は処分して結構なので、必ず、紙に書いて行って下さい。紙に書いて行わないと効果はゼロです。
他にも衝動的なエントリーを減らす方法として私の例で書きますと、第2章でも書きましたが、チャートを見る時間を減らすのです。私がしたように4時間に一度にしましょう、というつもりはありません。
当然ながらチャートを見ているからトレードをしたくなるのです。あなたが無意識に反応してしまう動きを見たのでエントリーをしたくなるのです。
私は「衝動的なエントリーを減らす方法はないか?」と自分に質問した結果、「4時間に一度にしよう」という答えが出てきたのですが、そのようにした理由はもう一つあります。それは「待つスキル」を鍛えるためにも4時間に一度にしたのです。1時間足や5分足でトレードをしていた時、ここに来たらエントリーと決めていてもフライングをしてしまった経験は数え切れません。
チャンスが発生するまで待つのはトレーダーには必要な能力です。1時間足や5分足で自分のパターンが発生するまで待てないのなら、他の時間足でも待つことはできないと自分で判断したのです。これは私自身が私自身に出した答えです。
他の人が「私なら4時間は待てないけど、1時間なら待てる」という人がいても私には関係ありません。私はあなたではないので、あなたができても私にはできないことがあるのです。
そして4時間に一度、待つことができるトレーダーになれば、1時間足や30分足の短い時間足でも待つことができるトレーダーになれるだろうと判断したのです。
今度はあなたの番です。「どうすれば衝動的なエントリーを無くすことができるだろうか?」と自分に問いかけてみましょう。
さて、ここまで衝動的な行動に対してそれを認める方法を説明したり、防いだりする方法を書きましたが、それをしなければならないのは「その結果や、その行動に苦しめられている場合は取り入れる必要がある」ということです。では、その必要がない場合というのはどういうことかを説明します。
トレードでお金を稼ぎ続ける最終的な姿というのは、この「衝動的な行動と判断」で望む結果を得られる状態です。衝動的な行動というと、衝動買いなどの、あまり良いイメージを持てない人もいると思いますが、無意識に自分を守る行動をするのも衝動的な行動のひとつです。
現在の認識力がずれているので変なところでエントリーをしたり、利益確定をしたりするのです。よってこの認識を訂正していけば、衝動的なエントリーも、それは適切な場所でのエントリーであり、最適な場所で利益確定が出来るようになっていきます。その姿こそ目指すべき最終的な行動なのです。
その手法を続けた先に未来はあるのか
それでも「どうしても衝動的なエントリーやルール外のエントリーをしてしまう。でも稼げる時もあるからそれはそれでいい」と正当化する前に考えてみてください。
数年後、どのようなトレーダーになっていたいのか。そしてどのようなトレードをして稼いでいるのか。単に稼げればいい、というだけでは設計図も完成予定図も無く、道路や橋を作っていくようなものです。
その行動、すなわちそのトレード方法を続けていった先に、あなたのなりたい姿があるのかどうかです。
あなたが目指す、なりたい姿のトレーダーはルール無用の衝動的なエントリーを繰り広げながら大金を稼いで
いるのでしょうか?
それを続けた先に、あなたの望む未来があるのですか?ぜひもう一度考え直してみましょう。
損失の解釈を変える
「損切は設定しなくていい」と言っている人を見たことがあります。
これが「あとで手動で行うから、今はしなくていい」という意味なら話は別ですが、「買ったら必ず上昇していくから」というような理由なら、正直私の意見としてはかなり危険かと思います。ましてや、損失に悩まされている人がそれを真似することは強くお勧めしません。
損切の決済が確定しなければマイナス状態が続くだけで証拠金が許すかぎり決済されませんし、形としては「損失中」が続くだけで、元に戻る事もあるかもしれません。
しかし、前項でも書きましたが、そのようなトレードを続けていった先に未来はあるのでしょうか?
さて、残念なお知らせをしますと「この方法をすれば損失の苦しさから解放され、楽な気持ちでトレードできますよ」という方法はありません。
ただ、解釈を変える例を色々と書きますので、是非参考にしてみてください。
「損失を「授業料」や「必要経費」などの言葉で言い換えている人はたくさんいます。私自身も損失に対する解釈を変えたく本当に色々と考えてきました。
例えば、損失ではなく「エントリーした時点で先にお金を支払ったのだ」と解釈したり、「今はチャートの向こうの人に一時的にお金を預けただけ」と思ったり。
効果があったものをいくつか挙げますと、
・この損失は自分専用の教材。
・今日まで体験した損失が自分の心を動かし、今の自分を創った。
・「それは通用しない」と「損失」という形でチャートが教えてくれた。
などです。
損失の時、または損失継続中の時、マイナスなのは数字だけではなく、精神的にもマイナス状態になっている人は多いと思います。そのマイナスのエネルギーというのはプラスのエネルギーよりも爆発力があり、まさに核爆発と同じです。
しかし核爆発も電気として利用するのか、兵器として利用するのかによってその価値はかなり変わってきます。核爆発自体はプラスでもマイナスでもなく、利用の仕方がプラスかマイナスかだけなのです。そしてそれは自分で決めていいのです。
頭にきて何かを破壊するエネルギーとして利用するのか。それとも勉強するエネルギーに利用するのか。ここで覚えておいていただきたいのは、心の状態までプラス思考にしなさいということではないのです。プラスのエネルギーとして利用したいからといって心の状態もプラスの状態、つまりポジティブになりましょうというわけではありません。
数日前の損失を思い出してその時と同じようにカッとなる人は少ないと思います。決まってしまったことは次第に諦め感情も落ち着いてきます。
ここではいくつかの例を書きましたが、損失が発生した時、または損失状態の時、自分自身を落ち着かせる方法を考えるのもトレーダーが身につけるべきスキルの一つなのです。
失ったもの以上に得られたものは何かを考える
FXトレードで今日までいくら使ったのか、その金額や時間に目が行きがちですが、使ったからには代償として得た物もあるはずです。経験や知識を得たと単純には書けますが、お金を払って手に入れた物が望んでいないものばかりだと、いくら経験や知識を得てもその充実感は薄く、失ったという喪失感の方を強く感じるものです。
ノートや紙などでメモを取っている方はまだいいのですが、それらをまったくしておらず、日々お金の増減だけを見ていると本当に何も残った気がしません。
「失った」と見出しに書いてありますが、「使った」という言葉に置き換えて考えてみましょう。
ピアノや書道などの習い事をしている人は、入学金や授業料を支払ったことがあると思います。お金を払って知識や技術を身につけ磨いていき、その延長上にコンテストの参加や発表会があります。
それ(コンテストや発表会の参加)を目的として習い事を始めた人もいると思いますが、それ自体(コンテストや発表会の参加)は、お金で買った権利ではありません。
お金を払って買ったのは「指導していただく権利」です。
その権利によって得られた物は「知識と技術」です。そしてその知識と技術の成果を表せる場所としてコンテストや発表会の参加があるわけです。
つまり、損失の解釈を「お金を支払った」ことに置き換えると、得られたものは「何かを指導された」ということになります。
当然ながら一人でFXに取組んでいる以上は、何を指導されたのかはご自身で見つけ出す必要があります。それが技術面なのか心理面なのかはわかりませんが、何も指導されていないということは絶対にありません。
FXトレードでの損失とはお金を失ったのではなくお金を支払ったのです。エントリーした時点でクジ引きを引き、「指導料の引換券」が当たるのか。「5000円(金額は例え)との引換券」が当たるのかは分かりませんがハズレは存在しないクジ引きを引いた状態なのです。
それを、損失したら「お金が減ってしまった!」と解釈しているから失ったものばかりに目がいってしまい辛く苦しく怒りがわくのです。
あなたが働いて得た給料の一部をFXに使用し、マイナスとなってしまったら「失った」と捉えがちです。しかし給料の一部を使い、行きたかった有料展望台に入場し壮大な景色を見た時は、お金を「失った」事は重要視せず、良い思い出が経験として残ります。手元からお金が減ったことに違いはありません。違うのは解釈の仕方です。
「指導料の引換券はいらないから5000円が当たる引換券だけがほしい!」と思うでしょうが、そちらを多く手に入れられる人は、これまで多くの「指導料の引換券」を手に入れて、それを有効活用してきた人たちなのです。
輝かしい成績を残した体操の内村航平選手の奥さんが、あるテレビ番組で明かしたことがありました。交際中にデートしたのは一度だけだそうです。どのくらいの期間交際をして結婚に至ったのかはわかりませんが、それだけ体操にすべてを注いでいたことが想像できます。
他にも偉大な成績を残したスポーツ選手の背景には、未経験者では想像もできないほどそれに注ぎ込んだ時間と労力、精神力が隠れています。プロ野球選手のほとんどは学生時代野球をしており、放課後や休日の殆どを費やしています。
そして輝かしい成果をした人に、一部の人は「才能がある」「彼は持っている」など、安っぽい言葉で称賛します。
彼らはその成果を得るだけのことをしてきたのです。決して持って生まれた何かがあったわけではないのです。恐らく本人たちに言わせれば殆どの人がそのように答えるでしょう。(表向きは謙虚なセリフで答えると思いますが)
世の中には年間数千万円から数億円を稼ぎ出すトレーダーが存在します。彼らも最初から大きい金額を稼いだわけではありません。そこに至るまでの過程で「知識と経験」を得て、その成果として今に至るのです。話が脱線してしまいましたが、「失った」と解釈するのではなく支払った」と解釈し、その代償に何を得たのかを考えていきましょう。
自分を管理するスキル (技術) も身につける
体調を崩した時やちょっとした怪我をした時、 みなさんはどうしますか? その状態に応じて、 そのままでいるより早く寝る、 薬局にある薬で対処する、 または病院に行き専門家に診断してもらうなどの判断をします。
これは今日まで育ってきた環境の中で身に付いてきた判断能力です。 体の状態、 痛みは自分自身が一番良くわ かります。 言い方を変えれば自分自身しかその度合いはわかりません。
子供の頃、体調を崩したら栄養のあるものを食べさせてくれたり、薬を飲ませてくれた親もいれば、具合に よってはそのくらい大丈夫だと、 言葉だけをくれた親など様々かと思います。 その中で我々はこういう時、こう いう状況の時はこうする、という知識と技術が身に付いていきます。
では心の状態はどうでしょうか? 生まれてきてから今日までの中で多くの喜怒哀楽を味わってきたのではない でしょうか。 本当に心に染みた言葉をかけてもらった経験もあれば、 その真逆もあるかと思います。
近年では小学校などにスクールカウンセラーという人が定期的に訪れ、 生徒の悩みを聞く制度も取り入れられ ていますが、それですべてが解決するまでには至っていません。
転んで擦り傷を負ったら、 傷口を洗い消毒するのが適切な判断ということは小学生や中学生でも知っています が、誰かから悪口を言われたりして心に傷を負い、その怒りや悲しみを処理する適切な方法は知らないのです。 親や先生に相談しても正しい答えを得られるどころか、 場合によっては冗談で言った側を肯定するようなことを言う親や教師もいます。日本という国に限らず、このような状況が珍しくない現在では、自分自身で心のケアをする方法を身につける、それこそ適切な判断なのです。
そのような分野に触れたことがない人は「何をどうすればいいのかわからない」と思ってしまうのも当然です。またここまで書いてきたように、人によって合う合わない方法があるのと同じでこれがいいという物をここに書くのは無責任になるので書くことはできません。
お伝えできることはただ一つ。「何をどうすればいいのかわからない」と諦めるのではなく、「どんな方法があるのか?」と自問自答するのです。そうすればそれに関係した書籍やネットの記事などを探し出すように自然と意識が向くはずです。
もう一つお伝えするのは、これも一回でその方法を探し出そうとするのではなくトレード方法と同じように、積み重ねていき自分に合うものを築き上げていくのです。
私はFXを始めて間もなく、当時の私にとって大きな金額を短期間で失ってしまいました。それを機にFXの勉強だけではだめだと思い、読む本をFX関係に絞らず、自己啓発や心理学、脳科学などの本を読むことにしました。
「はじめに」でも書きましたが私は勉強が苦手でした。それとは関係ないかもしれませんが読書とはまったく無縁の人でした。しかしFXで成功するためにはなんでもする、という意気込みから多くの本を読むようになり、その過程で脳や心の仕組みを知り、メンタルケアの方法なども勉強し現在に至ります。
日本を代表するプロ野球選手といえば「イチロー」選手が有名です。野球に興味がない人でもその名前は知っていると思います。イチロー選手といえば、数多くのヒットを打ってきました。もちろんそれだけではなく、守備の能力や走塁の技術も私が書くと失礼になるくらい素晴らしい成績です。
そしてもう一つは、致命的な怪我をして試合を休んだことがない、ということです。チームの都合や監督の采配などで出場しない機会もありましたが、出場に影響するような怪我はなく、惜しまれつつも現役を引退しました。
野球選手としてすべてが高水準で揃っているような選手ですが、彼がもしヒットだけを量産する選手だとしたらどうでしょうか。もちろんそれでも素晴らしい選手です。
しかし、上記にも書いた通りそれ以外の要素でも素晴らしい選手なのです。
トレードの勉強を続けていき、トレード方法も練習メニューも考えました。そんな日々の中でも毎日起こる出来事などから、人の心はどうしても一定しません。特に女性の場合は体内で多くの変化が起きるため、男性には理解できない事もあります。
そのような理由からも、自己管理能力という意味で自分だけのメニューを考え、自分を管理することをお勧めします。疲れているのに無理して練習や検証をするのが本当に正しいのかどうか。あなたの美学では美しいかもしれませんが、その状態で果たして良い成果は得られるのでしょうか?
問題なく取り組める状況下にいるのにサボるのは怠けです。しかし、そうではない状態なら休息をとり、心身の状態を整えることも重要なスキルの一つです。またその判断を下すことも必要なスキルの一つです。
年代や育ってきた環境によっては、休まず働くことが素晴らしい、と認識している方もいますが、休みもしっかりととり、心身共に体調を整え、継続して働き続けるということが素晴らしいのです。
「5時間ぶっ通して車の運転をしてきたから早く到着した」などは結果論です。胃の調子が悪いのに、胃に良いと思う食べ物を大量に食べているのと同じです。
睡眠時間を削り、勉強や仕事をするのを止められる立場ではありませんが、睡眠時間が6時間以下の状態が5日続くと、徹夜と同じような脳の状態になるといいます。
イチロー選手の例になりますが、彼は「休まなかった」のではなく「休む機会がとても少なかった」から多くのヒットを打つことができたことにもなります。
「私はイチロー選手と違って、トレードの成績がプラスではないからプロではない」と思うのではありません。
真剣に考え、本気で取り組んでいる姿はプロとさほど変わらないのです。
プロ意識とは何なのかを考えていただき、是非プロと同じように考え、行動してみてください。
試合とは、練習の成果を表す舞台
勉強やスポーツ、習い事など、日ごろの成果を発表する機会というのは多いものです。趣味で何かの勉強や読書をされている人も、何かの時に「この知識が役にたった」という場面はあるかと思います。
勉強やスポーツの場合では試合の成績や受験結果など、目標としている望むものが明確になっているパターンが多いと思うので、その結果が分かりやすいと思います。
その結果次第では、自分は何を強化していけばいいのか、何を勉強すればいいのかも、明確な結果があるからこそ判断できます。そしてその判断したことから練習内容を工夫したり、意識する部分を変えてみたり、勉強する科目や時間を増やしたりなどしていきます。
FXでは、トレード結果から何を訂正すればいいのか。何を改めればいいのかは自分で判断していく必要があります。トレードスクールやセミナーなどで指導者がいる方は良いアドバイスをいただいたり、自分では気づかないことを教えてくれる指導者もいるでしょう。
指導者によっては的確に指摘してくれる人もいれば、本人に考えさせるため、ヒントだけを教えてくれる指導者もいると思います。
独学でトレードをされている方は、その時に気が付かなくても、時間が経過すれば気が付くことがあります。よって必ずしも指導者がいないと気が付かない、ということはないのです。
毎日、あるいは定期的に何かを継続するということはその内容によって難しいこともあります。しかしそれを続けた場合と、続けなかった場合とでは、その先、どのように変化しているのかを考えてみてください。
では、どのくらい続ければいいのか。FXを続ける限りはずっとなのですが、まずは三ヶ月!「えっ?三週間とかじゃなく、いきなり三ヶ月?」と思われましたか?
今年中に成果が出なければ引退する、現在の証拠金が無くなったら引退する、など期限や条件を設定しており、三ヶ月が経過する前に引退しなければならない人には厳しいことかもしれませんが、そうではない人。何もしなくても、何かをしても三ヶ月という時間は経過するのです。
三ヶ月という期間を書いた理由はいくつかあり、一つは3の倍数であること。三日、三週間、三ヶ月、三年などを用いた期限をよく耳にします。
「習慣が身に付き始めるのは三週間継続した時」などや「脳がそれを不要と判断するのは21日(三週間)が経過したら」「石の上にも三年」「三日坊主」「中学・高校は何事も無ければ三年間」「大・中・小」など様々です。カメラの三脚なども、二本足では独立して立ち続けられませんが、三本足なら独立して立ち続けることができます。人間は二本足で立ち続けているように思われがちですが、爪先(つまさき)があるので立ち続けることができるのです。
長くなりましたが、そのような事から3という数字に重きを置いているので三か月と書かせていただきました。
有名なFX総合情報サイト(ザイFX!初心者必見のFX総合情報サイト)で、専業トレーダーの「きゃりーぱふぱふ」さんのインタビュー記事を読みました。
その方は既に10億円以上稼いでいるトレーダーなのですが、この記事の中で「今もテスターは使い続けている」と言っていました。つまり過去検証や練習をしているという意味です。
プロスポーツ選手はプロになれたら終わりではなく、そこからまた始まるのです。そして生き続けるために今まで以上の練習やトレーニングを行うのです。
我々トレーダーも同じであることを覚えておいてください。
コメント