1⃣年金不安時代
「年金不安」という言葉を聞いたことがあると思います。少子化と高齢化が同時に進むことで、私たちが老後に受け取る年金の額がどんどん減っています。これで不安にならないほうがオカシイというものです。
年金って確か100年安心って言ってなかったっけ?と思ったあなたは正しい。
以前政府は「年金の他に2000万円必要」と言い出すまで、「年金は100年大丈夫」そう言ってきました。それがどうして老後の面倒は自分でなんとかしなさい、なんていうことになっているのでしょうか?これをオカシイと思わないわけがありません。
頑張って働けば老後は年金でなんとかなる、国はこれまでそう連想させてきましたし、訂正もしませんでした。日本における新卒一括採用、年功序列、終身雇用という労働制度、教育制度は、私たちを「社会を支える良い構成員」とすべく採用してきたものです。
誤解を恐れずに言えば、今も連綿と続く「良い子教育」は、良い歯車をつくるためのシステムなのです。良い学校、良い会社に入れば勝ち組、そうでなければ負け組、そうやって刷り込んできたのは、国と既得権益層です。
しかし高度成長が終わってバブルが弾けた後、失われた20年を通して社会の仕組みはガラリと変わってしまいました。
新卒一括採用はまだ多少残っていますが、年功序列、終身雇用はもうほとんど終わったとも言えます。経済のグローバル化による産業の空洞化とやらのおかげで、コロナショックが始まるずっと前から給料が上がる要素はなくなってしまいました。
コロナによって雇い止めされる非正規の方が増えていますので、正規、非正規の違いはまだあります。しかしコロナ禍によって経済はすでに大打撃を受けてしまっています。
有効求人倍率が低下するのと同時に、失業率はジリジリ上昇を続けています。新卒の就職事情も一変してしまいました。これまで日本経済を支えてきた超大手企業であっても、売上が維持できないなら、あっという間にキャッシュが回らなくなります。
企業は赤字でも現金がある限り倒産しませんが、手許現金がなくなってしまえば終わりです。いわゆる黒字倒産は手許現金がなくなることで起こります。つまり売上がなくなってキャッシュが尽きれば企業は倒産するのです。
超優良企業トヨタでも売上が半分減れば2.4ヶ月でキャッシュがなくなると言います。これは別にトヨタだけの話ではありません。日産、神戸製鋼、住友商事、丸紅、ANA、JR東日本、近鉄、三越伊勢丹、高島屋、イオン・・・・・・、名だたる大企業も、売上が半分減れば3ヶ月でキャッシュがなくなると言います。
国はもちろんこれらの企業が倒れないよう、死力を尽くすことになると思います。
先に挙げた企業のうち、たったひとつでも倒れたならとんでもない事になりますから、これから先、メガバンクもキャッシュをつぎ込むことになるでしょう。
私が北海道へ配属されたのは1997年ですが、その年の11月に拓銀が破綻しました。そしてそれ以降北海道は未曾有の不景気に陥っていくことになりました。
拓銀が破綻した「だけ」で、です。そして先に名前を挙げた企業は銀行ではありませんが、多くの雇用と事業規模を持った企業です。たったひとつでも倒れてしまえば大惨事です。
そしてもう一つ重要なことは、国も銀行も倒れそうになる企業の「すべて」を支えることは難しいということです。すでにコロナ関連倒産も自己破産も増えていますし、政府の財政審はこの機会に中小企業の新陳代謝をすすめるべきと提言しています。
アメリカの公式発表によれば、失業率は2020年4月に14.7%に達した後、9月には7.9%にまで低下していると言います。しかし一時的に求職活動を取りやめ人を含めると、実質の失業率は26%を超えているとの研究報告もあります。
そして新自由主義とやらのおかげで、世界で起きたことは全て日本にも大きな影響があります。それはかつてのオイルショックの比ではありません。
日本の国内だけ見ても、2020年の4月以降、外食や旅行を「自粛」してきたと思います。また私も含め、皆さん不要不急の買い物を控えるようになったと思いますし、不要不急の引っ越しもしなかったと思います。不要不急の外出を避け、不要不急の散髪も減らし、会議もオンライン、取引先との打ち合わせもオンラインでする機会が増えたと思います。
緊急事態宣言が解除された後、やっぱり顔を合わせて仕事という職場も多いようですが、だからといって「不要不急」マインドがなくなってしまったわけではありません。
もちろんテレワークをそのまま継続している企業も、オフィス面積を大きく削減し始めた企業もあります。
パソナなどは、本社を淡路島へ移転すると言います。コロナ以降、国も銀行に積極的な融資を要請していますし、コロナ対策としてのGotoキャンペーンも行っていますが、だからといって容易にどうにかなるものでもありません。
年金だけを考えても、2019年の合計特殊出生率は1.36でずっと1.5を下回ったままです。団塊ジュニア世代が、結婚、育児をする時期にちょうど「失われた20年」がぶつかることで、「これからの世代」が圧倒的に少なくなってしまったのです。そして2020年は2019年以上に出生数が落ち込むと予想されています。
これが意味するところは、たとえ出生率が今すぐに2以上に戻ったとしても、人口は増えず少子化は進むということです。つまるところ私たちが年金を受け取る年金世代になった時、それだけではもう生活は成り立たないことです。
少子化が進むことは以前から国の諮問機関も言ってきましたし、トヨタの社長もコロナショックが始まる前から「トヨタでも終身雇用はもうできません」と宣言していました。
トヨタが無理ならいったいどこが終身雇用できるのでしょうか。公務員なら、親方日の丸なら大丈夫と言う人もいるでしょう。しかしリーマンショックで景気が悪化し税収が減った時、国も自治体も手っ取り早く削減した予算は「人件費」だったのです。
ユニクロの店頭にセルフレジが導入されてからもう随分経ちます。私が就職活動をしていた頃は、いわゆるテレビ局、新聞社は高給取りで人気でしたが、ネットの隆盛とともに業績は悪化し、ボーナスカット給与カットを繰り返しています。朝日新聞を始め、人員の整理を始めたところもあります。
これからAIやロボットによって、定型業務と言われる仕事は置き換わっていくでしょうし、大手メディアはネットやSNSにその役割を奪われかけています。大手だから、公務員だから大丈夫なんてことはもうない、と思って間違いありません。
現役世代であっても、年金世代であっても、この流れから逃れられる人はもういません。年金で老後の生活が成り立ったのは「これまで」であって「これからも」ではないのです。
これからの時代はもはや共働きの時代ではないでしょう。ひとりひとりが自分の得意分野を活かした自分のビジネスを持つ時代になります。だからこそ、この本を手にしていただいたあなたには、余計なリスクを取らずにレバレッジの効くビジネスモデルを知って、活かしてほしいと思います。
ダブルワークか副業で始める
今の時期に「独立起業」をする人がやってはいけないことは、イチかバチかのギャンブルのような起業です。それは仕事と収入を完全に捨てて、24時間365日使う起業法です。
まったく新しい仕事を始めた時、収入が発生するまでにはある程度の時間がかかるものです。それが3ヶ月なのか半年なのかは人によって違いますが、今ある収入を捨ててしまった場合、収入が発生するまで今の預貯金でやりくりすることになります。
生活を切り詰めるにしても限界があります。水だけで一ヶ月暮らすのは現実的に無理ですし、家賃、光熱費、食費など毎月必要になるお金もあるものです。それがいくらになるかは別途計算するとして、もしできるなら今の収入を得ながら新しい収入の流れを作ったほうが良いのです。
2018年は副業元年と言われましたが、業種業態を問わず多くの企業が副業解禁へ舵を切っています。平日夜や週末にアルバイトをする人も増えています。月に3万でも5万でも、収入が増えることはもちろん良いことですが、アルバイトでは稼げる額の上限がスグに来てしまいます。
自分の時間をお金に交換しているのですからある意味仕方のないことです。
こうした働き方はレバレッジが効きません。レバレッジが効くからこそ、月100万、200万と稼げるようになるのです。もっと稼ぎたいと思うなら、アルバイトに精を出すよりも最初から収入に上限のないビジネスを始めた方が良いのは当然です。
紹介しているビジネスモデルは月一回から始めることができ、レバレッジも効きます。今の仕事に大きな不満がある場合は、スッパリいきなり辞めて新しいことを始めたくなるものですし、お気持ちはよくわかります。
でもそこでイキナリ退職届を出してしまうのではなく、ちょっと踏みとどまって冷静に考えてみましょう。月一回から始められるなら、ダブルワークか副業で始めるのがリスクなく自分のビジネスを立ち上げられるというものです。
脱サラして蕎麦屋を始める危険
サラリーマンの方が起業すると、イメージしやすいからか飲食業で起業する方が多いそうです。しかしコロナのことを抜きにしても、飲食業は廃業率が一番高い業種です。
原因はいくつかあります。
1)初期投資が大きく
2)客単価が高くなりにくく
3)固定費も高くなりやすい
これは仕方のないことですが、一般的なイメージよりもはるかにリスクが高いのです。雑誌で田舎の手打ちそば、海の見えるレストラン、小洒落たカフェなどで上手くいった人の記事を見ることがありますが、実情はなかなか厳しい場合の方が多いものです。
どうしても飲食業でなければならない場合を除いて、イメージだけで飲食業を選ぶとトンデモナイことになります。「飲食業を始めてみたい」というのと「飲食業でなければならない」というのは、動機もモチベーションも違います。
飲食業を始める場合、月一回から始めるという訳には行きません。つまり初めてであっても、オールオアナッシングの結果にしかならないため、起業がほぼギャンブルに近くなります。
そしてほとんどの場合、開業前の計画通りにはいかないものです。特に今の時期を考えると、脱サラして蕎麦屋を始めるのは辞めた方が良いと思います。蕎麦屋やレストランなど、お客様とのやり取りを想像しやすいため起業に夢を持ちやすいのですが、開業当初から背負う課題も大きいのです。
一般的に飲食業の粗利率はそれほど低くはありません。一般的な原価率は30%、粗利率は70%と言われます。また販管費率の目安は人件費30%、家賃10%、水道光熱費5%です。
飲食業の大きな課題は、一日の中でも大きく変動しやすい売上を平準化し、固定費率を低く抑えることになります。
しかし初期投資が大きいため、「おためし」的にビジネスをスタートすることができません。もちろんテイクアウトやデリバリーの導入によって、売上の平準化も図れますし、居抜きで借りることで初期投資を抑えることもできます。
しかし店舗ビジネスであるため、賃貸契約締結時の敷金や保証金が平均的に家賃の半年分必要ですので、やはり大きな資金が寝てしまうことになります。トライアル期間を作りにくいにもかかわらず、開店当初から売上が必要になりますので、どうしてもリスクは大きくならざるを得ないのです。
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