他のセミナーや講座から定性調査する
カテゴリーを見て考える他に、実際に開催されている他のセミナーを参考にする方法があります。わかりやすく言えば真似をするということですね。セミナーや講座、資格が多く掲載されているサイトがありますので、いくつかご紹介しておきましょう。
- セミナーズ (http://www.seminars.jp/)
- こくちーず (https://www.kokuchpro.com/s/)
- ビジネスセミナーガイド (http://www.crosslink.co.jp/seminar/)
- セミナー情報.COM (https://www.seminarjyoho.com/)
- セミナーバンク (http://seminarbank.net/)
- TAC (https://www.tac-school.co.jp/)
- 資格の大原 (https://www.o-hara.jp)
- ユーキャン (https://www.u-can.co.jp/)
- SARAスクール資格講座(https://www.saraschool.net/)
- 資格のキャリカレ (https://WWW.C-c-j.com)
実際に開催されているセミナーのテーマを、こうしたサイトで見て参考にするのは良い方法です。特に継続的に開催されているテーマについてはニーズがあります。
同時に、継続的に開催されているセミナーテーマは集客もうまく行っているから継続できているという事も言えます。副業、独立起業、新規事業などで失敗を避ける一番良い方法は「うまく行っている方法を真似る」ことです。
先に書きましたが、ターゲットを絞りポジショニングを明確にしていくと、同じテーマであっても全く違う企画になります。
つまり企画コンセプトで異なっていれば、仕組みづくりの部分は大いにマネをしても良いということです。「誰も聞いたことのない企画」にする必要はありません。
またそもそも「誰も聞いたことのない企画」は少資本ビジネスが行うものではありません。そういった企画は認知のためのコストが莫大にかかります。
それは大企業が大量の資金を使って行うビジネスの作り方です。少資本ビジネスにとって重要なのは1にも2にも大きな失敗をしないことなのです。
ターゲティングやセグメンテーションの項目でもお話しましたが、ビジネスは基本的にライバルのいない場所で戦うのが最も良い方法です。少資本ビジネスにおいて、競合が多数いる場所でビジネスを行うのはオススメできません。
ビジネスにおける最も大きなコストは新規顧客獲得コストです。ですからターゲット顧客が明確であることが重要です。ターゲット顧客を明確にし、キチンとニーズを拾っていけば、後は勝手に差別化された企画になるのです。
ニーズの定量調査をする
それぞれのテーマにいったいどれくらいのニーズがあるのか、ネットを使って数値で確認する方法をお話します。ネットにはキーワードがどのくらいの量、検索されているかを調べるリサーチツールがあります。一般的に「英語」や「ダイエット」はビッグキーワードと言われマーケットも大きいのですが、ではいったいどのくらいの検索ボリュームがあるのでしょう?
ツールはいくつかありますが、ひとまずGoogleのキーワードプランナーを使ってみましょう。(https://ads.google.com/intl/ja_jp/home/tools/keywordplanner/)
英語の検索ボリュームを調べてみると、英語10万~100万になります。ちなみに他の言語を調べてみますと、
- アラビア語1万~10万
- インドネシア語1万~10万
- スペイン語1万~10万
- タイ語1万~10万
- タガログ語1万~10万
- ドイツ語1万~10万
- フランス語1万~10万
- ベトナム語1万~10万
- ロシア語1万~10万
- 中国語1万~10万
- 手話1万~10万
- カンボジア語1000~1万
- トルコ語1000~1万
- フィリピン語1000~1万
になります。
言語を比較すると英語のニーズが圧倒的に多いですね。しかしここで検索ボリュームが少なくても、ニーズがないということではありません。日本のGDPは550兆円もありますから、検索ボリュームが小さく見えても実際は相当大きなマーケットであることが多いのです。
仮に飲食店向けにセミナーを企画する場合について考えてみましょう。飲食店は日本国内だけで70万店もあります。そのうちたった0.1%のクライアントを獲得するだけで700店、その半分の0.05%でも350店になります。そのたった350店が月1万円の講座を申し込んだだけで毎月350万円、5000円の講座であっても毎月175万円です。
重要なのは全てのヒト、全ての事業者を顧客にしようとするのではなく、対象もコンセプトも絞った企画を作ることです。つまり「英語」のようなもっと巨大なマーケットでは、市場をもっと細分化してターゲットを絞った方が良いということです。
例えば英語を勉強したいヒトでも、
- 来月からアメリカに出張するヒト
- アメリカに転勤するヒト
- 会社から言われてTOEICを受けるヒト
- 大学受験のために英語を勉強するヒト
では学習する内容も学習方法も違います。
また受験にしても、旧帝大を受けるヒトとMARCHを受けるヒトでは勉強のポイントは違います。つまり検索ボリュームが大きければ良いというものではなく、マーケットを細分化し、ターゲットを絞り込むと同時に、その絞り込んだクライアントに響く企画にすることが重要だということです。
先のGoogleのツールでは「英語」の検索ボリュームが10万~100万と結構な幅がある様に見えますが、最初の調査の段階ではそれほど気にする必要はありません。ちなみにですが、Googleで広告を出稿してある程度の金額を使うと、もっと正確な数字がわかるようになります。
またその他のツールを参考にすることで、Googleでは見えない数字も見ることもできます。
英語の検索の話に戻りますが、英語と言っても、TOEIC、英検、英会話など多様なニーズがあるのですから、それぞれどのくらいのニーズがあるのか、Googleで見てみましょう。
同じくキーワードプランナーを使ってみると
- TOEIC10万~100万
- 英検10万~100万
- 英会話1万~10万
となっています。
実際に英語を話すよりも、「資格」としての英語のニーズが高いことがわかります。このあたりはいかにも日本的と言えるでしょうか。こういったニーズをもっと絞っていくとだいたいの規模感がわかりますので、それを参考に媒体や集客を考えていけば良いのです。
Google以外にもいくつか検索ボリュームを調べるツー ルがありますので、使い勝手の良いサイトを2つほどご 紹介します。
- aramakijake (http://aramakijake.jp/)
- Ubersuggest(ウーバーサジェスト) (https://neilpatel.com/jp/ubersuggest/)
このウーバーサジェストですが、ネット界隈にでも非 常に評判の良いツールです。参考までに先程Googleキー ワードプランナーで調べた検索ボリュームを調べてみま しょう。
- 英語 301,000
- アラビア語 27,100
- インドネシア語 18,100
- スペイン語 49,500
- タイ語 27,100
- タガログ語 22,200
- ドイツ語 40,500
- フランス語 74,000
- ベトナム語 40,500
- ロシア語 33,100
- 中国語 110,000
- 手話 49,500
- カンボジア語 1,600
- トルコ語 5,400
- フィリピン語 8,100
- TOEIC 301,000
- 英検 183,400
- 英会話 60,500
かなり具体的な数字になりました。最初から具体的な 数字の方が良いということもあるでしょうから、そうい う場合はウーバーサジェストを使えば良いと思います。 どこから集客するかによりますが、月間検索1万あるか どうかが立ち上げやすさの一つの目安になると思います。
とりあえずの企画
セミナーや講座のコンセプトを考えても、なかなか具体的なテーマが思いつかないことがあります。そういった場合はとりあえずの企画として、「ビジネス系」「趣味系」「女性誌系」での企画から考えてみると良いです。主婦(主夫)の方含め、社会人は基本「仕事」をしていますので仕事ニーズは拾いやすいのです。女性のニーズを拾いやすい企画としては、女性誌が参考になります。
- ダイエット
- 節約
- 掃除
- 貯金
- 料理
- ファッション
- コスメ
は女性向け雑誌の鉄板企画と言われます。
「自分が講師をしなければならない」という決まりはありません。企画によっては、自分ではないヒトが講師をした方が良い場合もあると思います。そういった場合は、自分がプロモーターとして企画を回し、講師は外部講師に依頼するのが良いですね。
ビジネス系でのテーマは大きく分ければ
- ビジネススキルに関するもの
- 投資に関するもの
- 資格に関するもの
の3つになります。
もちろんコンテンツを細分化すればどこまでも細かくできるものですが、どちらかと言えばニーズや見込み客の属性を絞るほうが重要です。
例えば、
新宿で働く開業5年未満の整体師さん向けとか、ネット通販をこれから始めようと思っている名古屋の店舗経営者向けとか、オーガニック食品の取り扱いを始めたばかりの店舗向けECとか、
ターゲットを絞れば絞るほど対象となる顧客が限定されますから、集客も容易になります。
こうやってターゲットを絞ることで、サービスを提供する競合も減ります。そして絞れば絞るほど競合のいないオンリーワンのマーケットが現れます。
基本大手企業はそういったニッチには入ってきませんので、顧客ターゲットを絞って競争を回避するほど、事業リスクも少なくなります。
ちなみにですが、私の教育事業におけるターゲット基準は「すでにある程度の経験とスキルのある30~50代の社会人(男女問わず)で、これからの時代を考えると自分でどうにかする必要があると考えている『自立』思考のあるヒト」になります。
私がこのターゲット基準を作る際に、年齢性別といった「デモグラフィック」だけではなく、考え方といった「サイコグラフィック」も併用する理由は次の2つです。
- 意欲や思考、行動の似ているヒトが顧客になる
- モチベーションとやる気のあるヒトが受講するため
結果が出やすい。
おそらく、今この本を読んでいただいている「あなた」は、先に書いた基準に結構当てはまっているのではないでしょうか。もし「当てはまっている」と思われるなら、あなたは自立思考のある成功しやすいヒトですから、この本を手にとっていただいてとても嬉しく思います。
商品コンテンツの拡充方法
さて、ここまで顧客ターゲットを絞って、その顧客のニーズを満たすセミナーや講座のコンテンツを提供するという流れまでご理解いただけたと思います。ここで少し考えておきたいのはスタート時に企画したコンセプトを未来永劫やり続ける必要はないということです。
ある特定の企画だけで顧客のニーズすべて満たすことはできません。新規獲得コストが最も大きなコストですから、獲得した顧客のニーズを満たしうる企画を順に提案することが好ましいのです。重要なのは「商品」ではなく「顧客」であるというのはそういう意味です。
セミナーや講座を継続するにつれ、顧客との対話も増えていきます。そうすると企画のスタート時には気付かなかったような顧客ニーズにも気付くでしょう。
また時代の変化に合わせてニーズも変化するものです。ですから未対応のニーズや新たなニーズに対応したコンテンツを提供することで事業はより安定化します。
私のビジネススクールではスタート当初のテーマは①WEB戦略マーケティング、これを一年半行いました。その後、国際情勢がこれまで以上に動いていましたので②インテリジェンスと国際関係論、そして今度は③マーケティングと事業構築の手法論をベースに、テーマを組み立てています。
巻末に私のスクールで取り扱ったテーマ一覧を掲載しておきますので参考にしてください。
一応補足しますと、「業界ニュース」のような適時性あるコンテンツを提供しているなど、企画コンセプトを大きく変えない方が良いこともあります。しかしそうでない場合はニーズを追い続けることも必要だと認識ください。
商品コンテンツの拡充方法は大きく分けて2つの方向性があります。一つは深くするもの、そしてもう一つは広くするものです。
深くする方向としては、ひとつのテーマに対する理解と実践のための情報を事細かに伝えるもの。広くする方向としては、テーマから広がる興味関心の範囲を広げていくものです。
例えばWEBマーケティングで言えば、深くする方向性は「一年を通してGoogleアドワーズ広告の運用を学ぶ」もの、広くする方向性としては、「Googleの他、Yahoo、Facebook、Twitterなど広告媒体を広げる、ブログやSNSの運用方法など無料ソーシャル媒体の活用方法へ広げる、商品開発やWEBツール、決済など事業の構成要素全体へ広げる」もの、になります。
深くする方向と広くする方向はどちらでも構いません。ターゲット顧客の興味関心はひとつのテーマのみに限られているわけではないからです。
先にも少し書きましたが、スタート当初から以降の方向性について明確に決めておく必要はありません。事業規模がさほど大きくなるまでは、講師、主催者と受講生の関係が近くなる傾向がありますので、実際の運営をしながらニーズを掘り起こしていけば良いのです。
具体的に言えば、当初設定したコンセプトが「相続」だったとしても、「税金」から入って「不動産」へ移動しても良いわけです。新規顧客獲得コストがビジネスにおける最大のコストですから、常に新規客を探し続ける事業にしないことで、利益率は高くなります。
だからこそターゲット顧客は絞ることから始めたほうが良いということです。それが差別化にも繋がり、ビジネスとして安定した収益をもたらすのです。
日本では、これまで「顧客志向」と言いながら顧客から考えてビジネスをつくることが多くありませんでした。そのため先に売る商品を考え、その後どうやって売るか、の順で考えてしまっている方が多く見受けられます。
しかし先に商品を決めることで、「誰が」その商品を買うのかわからないということがよく起こります。ビジネスの相談の場では、たまに「この商品はどうやって売ればよいですか?」という質問を受けることがあります。
そういった時、「誰に」買ってもらいたいですか?と尋ねると、「誰にでも」とか「できるだけ沢山のヒト」という答えがよく返ってきます。
しかし考えてみてください。「みんな」というヒトはいないのです。東京に住んでいる40代の地方出身、大卒の既婚男性、という属性のヒトはいます。しかし「みんな」というヒトはいないのです。
顧客ターゲットを不明確な「みんな」に設定すると、見込み客を獲得する媒体が絞れません。だからといってゴールデンタイムにテレビCMをバンバン打てば良いというものでもありません。
少資本で始めるビジネスは興味関心の高い見込み客を少ない資金で集めることが重要ですから、媒体も絞る必要があります。そうすることで少ない資金で見込み客が集まり、ビジネスの立ち上げが容易になるのです。
つまるところこのビジネスにおいては「何を」売るかというのは一番目に考えることではないということです。繰り返しますが、もっとも重要なのは顧客ターゲットが「誰か」、「誰」の「どんなニーズ」に売るかということです。
「誰」の「どんなニーズ」かが明確になると、ソリューションとして提供する商品サービスは対になって決まりやすいものです。
ゴキブリで困っているヒトは虫取り網よりゴキブリホイホイを買うでしょうし、疲れ目で困っているヒトは頭痛薬ではなく疲れ目に効く目薬を買うでしょう。「誰か」が明確にすることで、差別化も競合対策もできるということです。
コメント