5/13 ②知って得するファクタリング

ファクタリングのメリット・デメリット

ファクタリングにはメリットとデメリットがあります。きちんと理解した上で、利用しましょう。

ファクタリングのメリット

(1)スピーディーに資金調達が出来る

ファクタリング最大のメリットは、資金調達のスピードです。売上によって発生した手形や売掛金等は、通常であれば数ヶ月後に入金される場合が多いですが、それでは運転資金が回らないという会社もあるでしょう。

そういった場合にも、ファクタリングを使う事で入金日よりも早く資金を調達出来るというのがファクタリングの最大のメリットになります。ファクタリング会社によっては、最短1日で振込してくれるところもあります。

(2)返済負担がない

資金調達方法としてまず思い浮かぶのは「借入」でしょう。銀行借入、事業性のローンや消費者金融のカードローンなどその形は様々です。しかし借入はあくまでも返済義務があり、毎月の返済負担が伴うという点がデメリットとしてあげられます。

完済するまで毎月一定の金額を返済し続けなければならず、支払いが終わるまで利息も払い続けなければなりません。

しかし、ファクタリングは借入ではありません。手数料を払って売掛債権を買い取ってもらうという仕組みの資金調達方法です。そのため、「毎月の返済」や「利息負担」に悩まされることはありません。

(3)柔軟な審査対応

ファクタリングを利用する方の中には、他の資金調達手段を試してうまくいかなかった方も多いと思います。銀行借入等の資金調達では、基本的にその方や企業の返済能力や財務状況が鍵になってきます。

そのため、過去の借入の返済状況や財務状況によって、借入の審査が通らないケースがあります。一方で、ファクタリングは売掛債権の買取りであるため、売掛先の信用度を中心に審査が行われます。ですので、売掛先の信用力が高ければ資金調達出来る可能性は十分にあります。

ファクタリングのデメリット

(1)手数料が掛かる

ファクタリングの最大のデメリットは、「手数料」が発生することです。債権を買い取ってくれる業者は、もちろんリスクを抱えるわけですから、当然といえば当然です。借入やローンを組む際も、利息を払わなければいけないのと同じ事です。

ただ、気をつけたいことは、他の借入手段よりも基本的に手数料が高いことです。スピーディーに資金を調達でき、他の手段が使えない場合には有効なファクタリングですが、手数料には注意が必要です。

(2)業者が多いため選定が大変

ファクタリングを事業として行うためには、特別な資格や許可は必要ありません。そのため、とても多くの企業がこの分野に参入しており、中には悪徳業者も混じっています。ファクタリングを利用するにあたっては、本書の内容等を踏まえて、しっかり業者を選ばれることをお勧めします。

(3)ファクタリングから抜け出せない

これは特に注意が必要です。ファクタリングはスピーディーに資金調達が可能であるため、一度その便利さを味わってしまうと、毎回ファクタリングを利用してしまうケースがあります。

しかし、上述の通りファクタリングは手数料が高いため、長い目で見ると確実に財務状況を悪化させてしまいます。ファクタリングはあくまで緊急的な措置として利用して、ファクタリングを利用せずに済む経営努力が必要です。

ファクタリングの活用シーンについて [資金繰り]

すぐに資金調達が可能で便利なファクタリングですが、実際どういった場面で活用されているのか、その活用シーンをいくつか紹介したいと思います。

事業拡大や設備投資などで、まとまった現金が必要

企業が成長していくためには、事業拡大や設備投資が重要になってきます。今うまくいっている事業であっても、今後継続して成長出来るかは分かりませんので、事業拡大や設備投資が必要なケースも出てくるでしょう。

通常であれば、利益を積み上げた内部留保から資金を拠出したいところですが、タイミングによってはすぐにこういった対応が必要なケースもあります。その際に、ファクタリングを利用すればスピーディーにまとまった現金を手に入れることができます。

急な受注増加に伴い、材料を大量に仕入れる

季節的な要因や、流行、環境の変化によって、急激に受注が高まることも考えられます。ある意味業界にとっては、バブルのようなもので、その波に乗れば大きく売上を伸ばすことが出来るでしょう。

ただ、受注増加に対応するためには、前提として大量の材料が必要となり、先に仕入れが発生します。仕入れに対応出来る余力が無い場合は、ファクタリングを利用して当座の仕入れ資金を確保するケースも出てくるでしょう。

入金までのスパンが長く、その間の資金繰りに困っている

一番多いケースがこのシーンではないでしょうか。特に事業を始めたばかりの頃は、売上が発生しても入金は数ヶ月後で、先に仕入れ資金等の支出が発生するケースがほとんどです。

売上が立っているのに倒産してしまうという、黒字倒産と呼ばれるケースもありますので、資金繰りには注意して、ファクタリングを有効活用していきましょう。

融資の審査を待っている時間がなく、早期に現金が必要

一般的に、資金調達といえば銀行や消費者金融から融資、つまり借入となります。ただ、融資には審査があり、売上計画や資金計画、財務諸表等、たくさんの書類の準備が必要なケースがほとんどです。さらに、これらの書類を提出しても必ず融資してもらえるとは限りません。審査結果を待つ余裕が無い場合は、ファクリタリングを利用してまず当座の資金を確保するというケースが出てくるでしょう。

ファクタリング手数料の相場

ファクタリング業者は、ファクタリング手数料を徴収することで運営されています。例えば、100万円分の売掛債権を、90万円で買い取ってもらう場合は、差額の10万円分がファクタリング手数料となります。

一口に手数料と言っても、その中には

  • ファクタリング会社の人件費、光熱費等
  • 登記費用
  • 振込等の手数料

などの経費が含まれています。

また、売掛債権を買い取るということは当然リスクを伴うわけですから、こういったリスクに対する手数料も発生します。これらの経費をファクタリング手数料として、利用者から徴収することでファクタリング会社は運営されています。

利用者側は、どういった手数料が発生するのかを正しく理解して、業者の比較を行うことをお勧めします。ここでは、ファクタリング手数料の中身を紹介します。

ファクタリング手数料の中身

(1)買取り手数料

これは「ファクタリング会社の利益+契約に対するリスク対価」といえます。ファクタリング会社も企業である以上、経営していくためには利益が必要です。この利益分が買取り手数料として発生します。

また、売掛債権を買い取るということは、最悪の場合、回収できずに不良債権となる可能性があります。そういったリスクを一緒に買い取るわけですから、当然そのリスクに見合う対価が求められます。そのリスク対価もこの、買取り手数料に含まれています。

(2)着手金

ファクタリング契約を結ぶ前の「相談」や「仮審査」に対して掛かります。

(3)事務手数料

契約に係る人件費等

(4)審査手数料

審査に掛かる人件費等

(5)印紙代

契約書を交わす際、契約金額に応じて印紙税が発生します。その印紙税を印紙代として支払います。

(6)債権譲渡登記費用

登記を行うことで、債権が譲渡されたことを対外的にも認められることになります。この登記は後々のトラブルを回避するためにも、必須となります。債権譲渡登記は司法書士が行いますが、通常はファクタリング業者が委託している司法書士に、委託料と登記費用をまとめて支払います。

(7)振込手数料

売掛債権を売却し、手数料等を引かれた金額が利用者の口座に振り込まれます。その際、振込手数料を負担する場合があります。

(8)交通費

ファクタリング契約を結ぶにあたって面談が必要な場合に、ファクタリング会社の社員が訪問してくるケースがあります。この際の移動交通費を、利用者側が負担する場合があります。

(9)その他

切手代、諸経費等手数料の相場

現在のところ、ファクタリング手数料に関する内容を明確に定めた法律は存在しておらず、手数料は各ファクタリング会社の裁量に任されています。そのため、中には非常に高額な手数料を要求してくる、悪徳なファクタリング会社も存在しています。

そうはいっても、ファクタリングを利用した事のない方にとっては、どの程度の手数料が相場なのか分からないと思います。そこで、一般的なファクタリング手数料の相場をまとめてみたので、ファクタリング業者を選ぶ際には、こちらの表を参考してみてください。

内容/相場

  • 着手金:¥0~¥5,000
  • 事務手数料:¥0~¥5,000
  • 審査手数料:¥0~¥5,000
  • 印紙代:¥0~¥2001
  • 債権譲渡登記費用:¥50,000~¥80,000
  • 振込手数料:¥0~¥1,000
  • 交通費:地域による

上記を踏まえて、おおよそどの程度のファクタリング手数料が目安となるかをまとめてみました。

2社間ファクタリング利用時の相場:売却する債権に対して10%~30%

3社間ファクタリング利用時の相場:売却する債権に対して2%~8%

これが、現在の相場の目安となるので、この金額を基準にファクタリング業者を選んでみてはいかがでしょうか?

ファクタリング会社の選び方と見極め方

一口にファクタリングと言っても、実は多種多様な内容となっています。正しくファクタリングを利用するためには、下記の様に債権の種類によって使い分けが重要です。

  • 買取ファクタリング
  • 医療報酬ファクタリング
  • 国際ファクタリング
  • 家賃収入ファクタリング
  • 給料ファクタリング
  • 保証ファクタリング

など

買取る債権の種類によって、必要な専門知識や手続きが異なります。そのためファクタリング業者によって、扱えるサービスが異なり、利用者側のニーズに応えられないケースがあります。

こういったミスマッチを無くすためにも、まずは利用者側が自分のニーズを明確にする必要があるでしょう。

ニーズをまとめよう

ファクタリング業者を選ぶには、まず自分のニーズを明確にする必要があります。以下の質問の答えをまとめることで、ニーズが明確にしましょう。

(1)ファクタリングをする理由

この質問には大きく分けて2つのパターンの回答があります。

1つ目は、「資金を調達するため」

2つ目は、「債権に対する保証が欲しいため」

3の場合は、買取りファクタリング、2の場合は保証ファクタリングが適しています。

(2)売却したい債権の種類

ファクタリングによって売却したい債権の種類によって、利用すべきファクタリングの種類が変わってきます。

一般的な国内の企業同士の商取引によって発生する債権であればそれほど問題はありませんが、国際取引や医療報酬債権・家賃等の特殊な債権の場合は、それぞれに対応するファクタリングを扱える業者を選ぶ必要があります。

(3)希望調達額

希望する資金調達額によっても、最適なファクタリング業者は変わってきます。一般的に「100万円未満」は小口、「1,000万円以上」は大口と判断されます。

小口の債権の買取りは小口ファクタリング業者、大口の債権の買取りは大口ファクタリング業者を利用するのが望ましいでしょう。

(4)取引先に知られてもよいか

ファクタリングには、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングがあります。

その違いは下記の通りです。

2社間ファクタリング…自社とファクタリング会社だけで契約を交わす

3社間ファクタリング…自社と売掛先・ファクタリング会社の3社で契約を交わす

2社間ファクタリングの場合は、自社とファクタリング業者の間で契約を交わしますので、売掛先の企業には全く通知はいきません。

ただ、3社間はファクタリングの場合は、売掛先の企業も含めて契約を交わしますので、当然取引先企業にも知られてしまいます。この点も踏まえて、どういった契約体系・業者を選ぶかを決める必要があります。

ニーズから最適なファクタリング業者を選ぶ

これまでの質問で、自分が求めるファクタリングの内容が明確になってきたと思います。あとは、そのニーズに合ったファクタリング業者を選びましょう。

まとめると、

  • ファクタリングの目的 
  • 自分の取り扱いたい債権の種類 
  • 債権の金額 
  • 取引先を含めた契約内容

これらを踏まえて、ファクタリング業者を選んでください。

悪質なファクタリング会社

ファクタリングという資金調達サービスが普及したのは、2000年頃と言われています。その後、経済産業省がファクタリングを推進したことで、認知度が一気に高まり利用者が増える一方で、ファクタリングを生業とする、ファクタリング業者も増えてきました。

当初は、銀行やリース会社等、金融業の関連サービスとしてファクタリングが普及していましたが、今では多種多様な業者がこの分野に参入しており、なかには悪質なファクタリング業者も含まれています。

悪質なファクタリング業者に騙されない様に、その特徴や狙われやすい人をまとめました。

こんな人は狙われやすい

悪質なファクタリング業者の被害にあう人の多くは、「ファクタリングの知識が無い」、「他の資金調達手段が取れない」という人達です。

そもそも「ファクタリングの知識が無い」人は、手数料の相場を知らないため、法外な手数料を要求されても支払ってしまいます。自己防衛の為にも、最低限の知識は身につけておくべきでしょう。

また、「他の資金調達手段が取れない」人は、もう自分にはこれしかないと思い込み、足元をみられてしまいがちです。ファクタリング業者にも様々な業者がいますので、焦って悪質な業者につかまらないようにしましょう。

悪質な業者の見分け方

では、優良な業者と悪質な業者を見分けるにはどうしたらよいのでしょうか?ここでは、見分ける上で最低限必要なポイントをまとめたので、参考にしてください。

(1)事務所が存在していない

まずは、その業者の事務所が本当に存在しているかどうかをホームページで確認しましょう。

悪質な業者は、摘発を逃れるために事務所を転々としていて、きちんと住所を構えていないケースがあります。また、住所が掲載されていても、それがバーチャルオフィスやシェアオフィスである場合は、注意が必要です。

(2)固定電話がない

これも住所と同じで、きちんと事務所を構えていない業者に見られます。まともな企業であれば、代表電話を引いていて、きちんと事務所を構えているはずですので、問い合わせ先が携帯電話等になっている企業は注意しましょう。

(3)契約書の控えを渡さない

これはかなり危険なケースです。契約書の控えを渡さないということは、契約書の文言にかなり問題がある内容が含まれている可能性があります。またあとでいかようにも書き換えられるため、後日法外な手数料を要求される可能性もあります。

(4)金銭消費貸借で契約しようとする

ファクタリングは売掛債権の譲渡なので、債権譲渡契約を結ぶことになります。金銭消費貸借契約とは、融資やローン等、借入を行い元本と金利を返済していくという契約になります。資金調達という意味では同じでも、全く異なる契約ですので、注意が必要です。

(5)現金で渡そうとする

悪徳業者は取引履歴を残さないために、振込ではなく現金での受け渡しを行うケースもあります。反社会的勢力等、そもそも銀行口座が開設出来ない場合もありますので、現金での受け渡しを求める業者とは取引しないようにしましょう。

(6)金利、担保、保証人という言葉が出てくる

金利、担保、保証という言葉は、融資等の金銭消費貸借契約で出てくる言葉です。ファクタリング契約には不要ですので、これらの言葉が相談で出てきたり、契約書の文言に記載されている場合は、取引をしないようにしてください。

他にも、「契約事務手数料」や、「ノンリコース手数料」等と、もっともらしい名目で、多額の手数料を請求してくる業者もいますので、予め手数料の相場を調べておき、悪徳業者に引っかからないようにしましょう。

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