5/14 ③知って得するファクタリング

2⃣.ファクタリングの種類

一括ファクタリング

一括ファクタリングは、銀行によって考案されたサービスで、これまでの手形決済に代わる決済システムです。このシステムに登録し、発注した売掛債権であれば、銀行がいつでも売掛債権を買い取ります。手形の代わりに支払いの保証を行うのです。

手形は代金の支払いを銀行が保証して、実際の支払いを先延ばしする手段ですが、手形の発行には煩雑な事務手続きや印紙税などのコストがかかります。

このような事務コストを削減したい売掛先と、なるべく早く売掛金を回収したい売掛債権保有会社の取引を合理化する為のサービスになります。銀行が売掛債権を売掛債権保有会社から買い取り、売掛先からの回収までを行います。

一括ファクタリング契約は、銀行と売掛先の会社、売掛債権保有会社の3社間契約が基本になります。このファクタリング契約はメガバンクや地方銀行等の金融機関が提供しており、手数料は一般的な買取ファクタリングよりも低く設定されています。

一括ファクタリングの売掛債権保有会社のメリットとしては、売掛債権の支払期日を待たずに資金化が早期に出来て、貸し倒れリスクが回避できるという点です。手形決済をしていた売掛先は、手形発行事務の合理化や手形の紛失や盗難リスクの回避、印紙税などのコスト削減などのメリットがあります。

一括ファクタリングは金融機関が契約当事者になるため、売掛先はある程度信用力がないと利用することが出来ません。そのため、対外的に信用力のある企業としての実績が付くため、将来的にも信用取引や融資を受ける場合のアドバンテージになります。

一括ファクタリングのデメリットは、手形の振り出しを回避する為の意味合いが強くなり、売掛債権保有会社の都合では利用ができません。売掛先が一括ファクタリングシステムを導入判断しますが、3社間のファクタリング契約を締結するまでの調整が容易ではありません。

売掛先からすると、手形決済の方が支払実行までの猶予期間が長いので、資金繰りの点で見ると、一括ファクタリングには適しません。

 

保証ファクタリング

保証ファクタリングは、買取型のファクタリングとは違い、資金の調達を目的としていません。簡単に言うと、保険のようなサービスです。売掛先の倒産などにより、売掛金の回収ができなくなった場合には、保証ファクタリング会社が保証金を支払ってくれるシステムです。

特定の取引先に売り上げが集中していたり、取引先の信用力について不安がある会社との取引で、売掛先の支払能力を調査、管理してもらえるため、売掛債権の貸し倒れのリスクを回避できます。

保証ファクタリングサービス会社が取引先を信用調査、与信して保証金額のリミットを決定、そのリミット内の金額で売掛債権の保証をしてくれます。建設業界のように1案件の単価が高額で、売掛金での取引が多いというビジネスシーンで多く利用されています。

規模が大きな案件の場合、契約から引き渡しまで年単位となることも珍しくありません。そのため、売掛先の倒産などによる売掛金回収の焦げ付きを回避できるという意味で、保証ファクタリングは安心で使い勝手のいいサービスです。

保証ファクタリングのメリットは、売掛先の与信審査を代行してもらえて、貸し倒れリスクの回避をしつつ、資金繰りが改善出来ることです。もちろん、売掛先に知られずに利用出来ます。

保証ファクタリング会社が独自のノウハウを使い、売掛先のリスクを判定します。売掛先のリスクの大小に応じて手数料は変動しますので、それを元に取引額を決定することが出来ます。

保証ファクタリングのデメリットは、ある程度高額な取引に限定され、保証料をファクタリング会社に支払わなければいけないことです。保証料の金額は取引先によって変わるので、一概には言えませんが、相場は売掛債権額の1%から4%くらいの範囲です。

売掛先の信用力が著しく低い場合は、保証ファクタリング会社から利用を断られるケースもあります。

 

医療ファクタリング

医療ファクタリングは、病院やクリニック、調剤薬局、介護事業者の経営者やオーナーが対象となります。国民健康保険団体連合会や国民健康保険・全国健康保険協会・健康保険組合から支払われる診療報酬を債権としてファクタリング会社が買取る資金調達方法です。

診療報酬は、請求してから入金されるまで、診療行為が保険診療のルール(療養担当規則、診療報酬点数表等)と照らし合わせ、適正であるかどうかの審査を行うため、2~3ヶ月かかってしまいますが、医療ファクタリングを利用することで、入金までの期間を短縮することが出来ます。

医療ファクタリングは、契約者(医療機関)、ファクタリング会社、「国民健康保険・全国健康保険協会・健康保険組合」の3社間ファクタリングになります。医療ファクタリングのメリットは、借り入れ等の負債の支払いを早期にすることで、バランスシートの健全化を図ることができます。

キャッシュフローが良くなることにより、医療機関の財務状況が改善されます。医療ファクタリングの手数料は、通常のファクタリングよりも低く設定されているため、銀行等のローンで融資を受けるよりもリーズナブルに利用出来ます。

一般のファクタリングでは、手数料は3%くらいですが、医療ファクタリングは1%未満で利用出来ます。ノンバンク系からの借り入れや、カードローンを利用した場合は、金利はさらに上がります。加えて担保も保証人も必要になる場合があります。

医療ファクタリングの手数料が低い理由としては、国民健康保険・全国健康保険協会・健康保険組合は、貸し倒れの心配がなく、きちんと期日に支払いが実行される低リスク債権のためです。

医療ファクタリングのデメリットは、医療ファクタリングを利用することにより、手数料が引かれてしまうため、本来受け取れる医療報酬よりも金額が少なくなってしまうことです。

手数料以外にも、債権譲渡登記に関しての契約時の内容証明、書留郵便代、振込手数料、印紙代等の諸費用が必要になります。

国際ファクタリングとは、貿易取引をする日本国内の輸出企業が、海外の輸入企業に輸出するときに、輸入企業からの代金回収を確実にするために行うファクタリングのことです。ファクタリング会社は世界各国のファクタリング会社と連携し、海外の輸入企業の信用調査を行い、その信用リスクを保証し、安全に代金回収、資金化を手助けしま

一般的に貿易取引を安全かつスムーズに行うためには、通常、信用状(L/C)や保証状(LG)が使われ、輸出国における輸出貿易保険等を利用するのが一般的ですが、信用状を開設するためには手間とコストがかかります。輸入国の制度により信用状等の発行が難しい場合もあります。

国際ファクタリングを利用した場合、世界各国のファクタリング会社がお互いに協力して輸出債権を保証するので、輸入業者の信用リスクを回避して、送金ベースによる代金の回収を安全、かつ確実に行うことができます。

国際ファクタリングでは、世界各国のファクタリング会社が連携して国際的な組織を作りあげています。有力な組織としてはFactorsChainInternationalやFactorInternationalGroupがあり、日本はメガバンク系のファクタリング会社が参加しています。

国際ファクタリングのメリットは、売掛債権がすべて保証されることです。通常のファクタリングのように資金調達が目的ではなく、事前に輸入業者の調査を行い、出荷した証明を提出した時点で売上請求が可能となるので、保証料を払うだけで売掛債権が100%保証され、早期入金が可能になることです。

信用状(LC)を利用して貿易取引を行う場合、船積書類(B/L等)の信用状を発行している銀行を経由して送付するので、どうしても時間がかかってしまいます。

国際ファクタリングのデメリットは、ファクタリングは比較的大口の取引にしか利用できないことや利用可能な国に制限があることです。

そしてコストがかかることです。信用状(LC)を利用して貿易取引を行う場合と比較すると、与信を通すのに必要な費用がかかる関係で、最大で約4倍ほど高くなります。

 

給料ファクタリング

給料ファクタリングとは、将来支払われる給料を給料債権として買取してもらうサービスです。会社から支払いが約束された給与を「債権」として、これを給料ファクタリング会社に買取してもらうことで、給料日前に給料を手に入れるということです。

給料ファクタリングは、一般のファクタリング同様に2社間契約が主流で、勤務している会社に知られずに実質、給料を前借りすることが出来るというシステムです。

2020年2月28日に金融庁より「給料ファクタリングは、貸金業にあたる」という見解が発表されました。そのため、給料ファクタリングは、貸金業の登録をしている会社以外は取り扱いができません。

ファクタリング手数料も利息制限法に準じた形となりました。ファクタリング手数料は下記の通りで、金額に応じて上限手数料が変わります。そしてそれを超えた手数料は貸金業法違反になります。

10万円未満の給料債権→年率20%以下

10万円以上、100万円未満の給料債権→年率18%以下

100万円以上の給料債権→年率15%以下

給料ファクタリングのメリットは、給料を前借りするような感覚で、給料日を待たずに現金を手にすることが出来るという点です。デメリットは、貸金業と同じ扱いになったことにより、取り扱っている会社が少なく、信用情報機関でキャッシング等の借り入れ状況や事故状況を調べられるため、多重債務や長期延滞などの履歴がある場合は利用出来ないことです。

 

家賃収入ファクタリング

家賃収入ファクタリングは、自分が所有しているアパートやマンションなどの賃貸物件の入居者から支払われる毎月の家賃収入債権を買取してもらうサービスです。

もちろん物件を所有しているだけではなく、入居者がいて、将来的に家賃収入があり、それを売掛債権として扱うというのが、家賃収入ファクタリングの基本となります。ファクタリング業者にこれまでの家賃の支払実績などの資料を渡して審査を受け、審査に通ればファクタリング契約は成立します。

ファクタリング契約が成立すると、信用度に応じた手数料が引かれるものの、将来的な家賃収入が先取りすることが出来ます。家賃収入ファクタリングの手数料は、その物件の内容によって変動するという特徴があります。

定期的に安定した家賃収入があると考えられる先の信用は、高いと判定されれば手数料は下がりますし、逆に安定性があまり高くないと判断されると上がります。

ファクタリング契約に必要な書類は、土地・建物の不動産登記簿謄本・評価証明書、賃貸借契約書、家賃用の振込口座のコピーなど家賃収入を証明できるものです。

家賃収入ファクタリングのメリットとしては、急に資金が必要になったときに、最短即日で迅速に調達が出来るという点や、キャッシングやローンとは違い、現金を借入するのではなく家賃収入という売掛債権を買い取ってもらう取引のため、保証人や担保が不要なことです。

基本的にファクタリング会社との2社間の契約のため、居住者先への通知はなく、信用調査のみが行なわれるため、ファクタリングの利用を知られることなく資金調達が出来ます。

家賃収入ファクタリングのデメリットは、ファクタリングの手数料は銀行融資よりもかなり高めに設定されているという点です。信用度が高い優良な先であったとしても手数料は10%前後となっています。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました