第4 実践編
これまでの第1章から第3章までのまとめとして、具体例を挙げながら馬券購入方法を説明していきます。
大まかな流れとしては、次の通りです。
①マイルールを確認する。
②マイルールの内容に沿って、馬券購入対象のレースを選ぶ。
③ハイブリッド新聞をみて、そのレースの推定後半3ハロン1位の馬をチェックする。④その馬を軸にして、相手の馬を選ぶ。
⑤オッズを確認して、ワイド馬券を買う。
⑥馬券が的中した場合は、その払戻金をそのまま、次の対象レースに賭ける。
⑦馬券が的中しなかった場合は、①へ戻る。
転がすのは、1回だけです。どんなに自信があっても、どんなに予想が好調だと感じても、転がすのは1回までとします。また、後述しますが、転がすのはその日だけ(のレース)に限定し、翌日や翌週に持ち越さないこととします。
①から⑥または⑦を実施し、なるべく早い段階で、最初の所持金を上回ることを目指します。仮に1回目の馬券購入でそれを達成してしまえば(負けはなくなり)、残りの19回分を、より積極的な馬券(たとえば、よりオッズが高いワイド馬券や、ワイド馬券以外の馬券)で勝負することもOKです。
さすがに3連系の馬券はオススメしませんが、たとえば、ワイド馬券の購入方法で、馬連・馬単を買うなど、ここでのルールや買い方をふまえながら、ワイド馬券以外の馬券に展開していくことは有効だと思います。
ただし、仮に最初の所持金を上回ることができたとしても、その後の1回当たりの購入額を増やしたりはせずに、引き続き20分割した金額で馬券購入することをオススメします。
負けがなくなったからといって、賭ける金額を増やしたり減らしたりすると、払い戻しの金額に対する感覚やオッズに対する見方にズレが生じてくるので、長い目でみるとマイナスに働く危険性があります。
20分割したら、基本的には最後までその単位で実施することを心がけましょう。
〇マイルールの確認
改めて、私のマイルールを一覧で挙げておきますので、自分のマイルールが定まっていない方はご活用ください。
マイルール(202010版)
- 1500m以下のレースは賭けない。
- ダートのレースは賭けない。
- 障害レースは賭けない。
- 新馬戦は賭けない。
- ハンデレースは賭けない。
- 直前に騎手変更が出たレースは賭けない。
- 直前に競走除外の馬が出たレースは賭けない。
- 馬場状態が「重」か「不良」のレースは賭けない。
- 競馬場は1つに絞る。(原則として)
- 複数の競馬場を対象とするときは、購入するレース間隔を空ける。
- 競馬新聞は参考にしない。
- 予想家の印は参考にしない。
- 枠順(枠の内や外の有利不利)は参考にしない。
- 血統情報は参考にしない。
- 馬主や厩舎の情報は参考にしない。
- 調教の内容は参考にしない。
- 調教のコメントは参考にしない。
- 前走の着順は参考にしない。
- 前走の距離は参考にしない。
- 前走のタイムは参考にしない。
- 前走の人気は参考にしない。
- 前走の位置取り、ペースは参考にしない。
- 騎手は参考にしない。(原則として)
- (前走からの)騎手の乗り替わりは参考にしない。
- ネットに出ている競馬情報やコメント等は参考にしない。
- ネットに出ているデータは参考にしない。
- 競馬予想会社の予想は参考にしない。
- 過去のレースの傾向や結果は参考にしない。
- パドックの馬の様子は参考にしない。
- 馬体重の変動は参考にしない。
- オッズの動き、馬の人気はみない。(原則として)
- 購入するのは、ワイド馬券のみとする。(原則として)
- 購入するワイド馬券のオッズは、4.5倍以上を基準とする。(原則として)
- 転がしは1回までとする。
- 転がしは次週に持ち越さない。
- その日の対象レースがなくなった時点で終了とする。(原則として)
- 競走成績や能力値が近い馬2頭で迷ったときは、推定後半3ハロン順位と、馬券の売れている順位のギャップ(差)が大きい方を馬券的妙味があるとして優位とする。(原則として)
- 競走成績や能力値が近い馬2頭で迷ったときは、騎手の成績で決める。(原則として)
- 馬の取捨選択に迷うようなときは、賭けない。
- 最初の資金を上回った後も、1回当たりの賭け金は変えない。
- 1ヶ月の総資金は20万円とする。(原則として)
- 1回に賭ける金額は総資金の20分割とする。
- -20回連続で外したときは、馬券購入を控え、マイルールを見直す。
- マイルールの内容は、2ヵ月に1回程度は見直す。
補足として。
梅雨の時期や秋雨前線が活発なときなど、土日とも競馬場の天気予報が雨または雨が降る確率が極めて高く、馬場コンディションがまったく読めないようなときも、(投資としての)競馬は積極的にはやりません。
そういう日は、「負けてもいいや」ぐらいの気持ちで遊びとして競馬をやります。マイルールによって、競馬をやりたいのにやらない(やれない)状況が続いてしまうと、ストレスも増え、かえって冷静な判断ができなくなりますので、そこは各自で上手く調整して(判断して)、競馬に臨むようにしてください。
それでは、マイルールに沿って、投資対象のレースをピックアップしていきましょう。
今回私がピックアップしたレースは、2020年10月18日の京都、第7レースと、第11レースの秋華賞でした。その日の京都競馬場は、次のようなレース構成でした。
第1レース_芝_1200m_対象外
第2レース_芝_1800m_OKだったが「重」馬場対象外
第3レース_ダート_対象外
第4レース_芝_1400m_対象外
第5レース_芝_2000m_新馬戦対象外
第6レース_ダート_対象外
第7レース_芝_2000m_【OK】
第8レース_ダート_対象外
第9レース_芝_1400m_対象外
第10レース_芝_1800m_ハンデ戦対象外
第11レース_芝_2000m_【OK】
第12レース_ダート_対象外
第3.6.8.12レースは、ダートなので、対象外。
第1.4.9レースは、距離が1500m以下のため、対象外。
第5レースは、新馬戦のため、対象外。
第10レースは、ハンデ戦のため、対象外。
第2レースは購入対象に該当していたのですが、馬場が「重」発表だったので残念ながらこれも見送り。(馬場は、第5レース以降からは「稍重」に変わりました)
結局、この日は、「第7レース」と「第11レース」の2つがマイルールをクリアして、購入対象レースと決まりました。
ハイブリッド新聞をみると、第7レースの推定後半3ハロン1位は、3枠3番の「カレンシュトラウス」。1倍台の断然1番人気でしたが、推定後半3ハロン1位であるので、この馬が軸で決定。
なお、相手の候補としては、原則、推定後半3ハロンの2位~6位までを対象にしています。この取捨選択は一概にはいえませんが、基本的には推定後半3ハロン2位の馬が、相手として最有力、続いて3位、4位、5位、6位の順に有力としています。
ただし、オッズとの兼ね合いもありますので、一つの目安としては、推定後半3ハロンの順位と、馬券の売れている順位(人気)とのギャップ(差)が大きい馬を優先的に相手に選ぶこととしています。
このレースにおいては、推定後半3ハロン2位は、5枠5番の「アンサンブル」(3番人気)相手候補の筆頭でしたが、軸馬「カレンシュトラウス」とのワイドの組み合わせ、「3-5」が2.3~2.6倍とオッズが低かったために見送り。
次の候補、推定後半3ハロン3位は、6枠7番「ノブフランクリン」(8番人気)
軸馬「カレンシュトラウス」とのワイド「3-7」が8.2〜9.3倍と基準としているオッズ「4.5倍以上」を大きくクリアしていたので、この馬に決定。
【購入】ワイド馬券「37」1万円
結果は、軸にした3番・カレンシュトラウスはなんとか3着に入ったものの、相手の7番・ノブフランクリンが中団から伸びきれずに、5着に終わりました。
続いて、馬券購入対象レース2つ目となる秋華賞。
ハイブリッド新聞をみると、推定後半3ハロン1位は、7枠13番の「デアリングタクト」。ご承知の通り、圧倒的な1番人気でしたが、さすがにこれには逆らえないとして、すんなりこの馬が軸として決定。
相手候補は、推定後半3ハロン2位の、4枠8番「ソフトフルート」出走馬18頭中の9番人気と、人気はそれほどありませんでしたが、推定後半3ハロン2位は馬券的妙味があると判断。
気になる「デァリングタクト」とのワイド馬券「8-13」のオッズも、6.8~7.7倍と基準「4.5倍以上」をクリアしていたので、購入馬券はこれで決定です。
【購入】ワイド馬券「8-13」1万円。
結果は、デアリングタクトが見事優勝し、初となる無敗での牝馬3冠を達成。相手馬のソフトフルートも、パラスアテナとの競り合いをハナ差制して3着に入り、的中となりました。
【払戻金】ワイド「8-13」750円。
1万円×7.5倍=7万5000円。
本日は、この2レースで終了。(投資:2万円払戻:7万5000円利益5万5000円)
本来はここから転がし(1回)を狙っていくので、実際には、7万5000円の払戻金を次のレースにそのまま全額賭けますが、次週にまたがってしまうような転がしはやらないと定めているので、この日はこれで終了となりました。
もちろん、ここまでの取り組みをもって、今月の取り組み自体も終了として、今月の利益(5万5000円)を確定させてしまっても問題はありません。冒頭で掲げていた(目標としていた)5万円の収入はこれでクリアできているわけですから、過度な賭け方はせずに、確実に利を重ねていくことをオススメします。
じつは以前は、とにかく稼ぎを増やすこと、転がしをすることを最優先にしており、日が変わっても(次の週になっても)転がしを実行していた時期がありました。日が変わって、レースや馬券のリズムも変わってしまうせいなのか、(同じ日のうちに転がすよりも)的中率が悪いことが多かったので、現在の私のマイルールとしては、「転がしは(次週に)持ち越さない」と定めています。
ざっとですが、以上のような流れで馬券購入を行っています。
補足として。
私のルールでは、ワイド馬券を購入する際の目安オッズを「4.5倍以上」としていますが、これは、所持金を20分割したときの資金で、2回的中すると(1回転がすと)最初の所持金を上回る倍率として設定しているものです。
ですので、たとえば、1回目の馬券購入では、もう少し高いオッズのワイド馬券を狙って、的中した場合の次の馬券購入では、低いオッズのワイド馬券を狙い、最初の所持金を上回るという狙い方も考えられます。
例1回目7.0倍のワイド馬券1万円購入→的中した場合7万円
2回目2.9倍のワイド馬券7万円購入→的中した場合20万3000円
また、その反対に、1回目は低めのオッズのワイドを狙い、的中したら、2回目は高めのオッズを狙う、といった方法もあります。
4.5倍以上というのは、2回の馬券購入を平均的にみた場合のオッズの目安ですので、ご参考まで。
最後に
いかがでしたか?
一般的な競馬予想スタイルや、これまでにやってきた馬券購入スタイルとは、異なる部分がかなり多いかと思います。
ここで改めて確認します。
あなたが競馬をやる一番の目的は何ですか?
「純粋に競馬を楽しみたい。」
もし、これが一番の目的ならば、馬券の収支には一切目を向けないで、好きな馬や血統などに注目しながら競馬を楽しむべきだと思います。
「競馬で少しでも稼ぎたい。」
もし、これが一番の目的ならば、これまで持っていた競馬予想や馬券購入方法に対するイメージをいったん捨てて、より戦略的に、より投資的に競馬に取り組んでみることをオススメします。
学ぶことは「真似る」ことから始まります。
「学ぶ」(まなぶ)の語源が「まねぶ」(学ぶ)であり、「真似ぶ」(まねぶ)も同じ語源であると言われています。(諸説あり)
日本の文化として歴史を重ねている武道や芸事においては、まず、師匠から基本となる「型」を教えてもらい、その型を真似してみることから始まります。それが、学びのスタートです。
武道や芸事に限らず、仕事や技量が求められる場面でも、「先輩の動きをよく見て、真似て、(技を)盗め」などと言われます。
真似ることによって、自分以外の「型」(考え方や動き方)を感じ取ることができます。その「型」の内容と、自分が持っている考え方を混ぜ合わせることによって、さらに洗練されたオリジナルの「型」が生み出されていきます。
まずはあなた自身の馬券購入の「型」をつくることを目指しましょう。それが的中率アップに繋がり、回収率アップに繋がります。
最後に、進化論の提唱者、チャールズ・ダーウィンの有名な言葉をご紹介します。
「生き残る種とは、最も強いものではない。最も知的なものでもない。それは、変化に最もよく適応したものである」
競馬にも同じことが言えると思います。
競馬で勝つために重要なのは、資金力ではありません。また、情報量でもありません。
いかにJRAの運営を理解し、何に重きを置いているのかを読み取り、その活動内容や変更内容に柔軟に対応しながら、競馬予想と馬券購入を展開していくことができる人こそが、さらなる収入アップにたどり着けるのだと思います。
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