参考資料:特定複合観光施設区域整備法案(仮称)~IR実施法案~に関する基本的な考え方(案)
平成5年1月2日国際觀光產業振興議員連盟
1、カジノを含むIRの実現、実施に関する基本的な考え方
- IRは観光振興、地域振興に資する成長戦略の一つのツールである
統合型リゾート(IntegratedResort,略称IR)とは宿泊施設、会議施設、飲食施設、物品販売施設等とともに、カジノやその他のエンターテイメント施設等を含む複合的な観光施設をいい、都市や観光地において、観光客、ビジネス客、一般市民等を顧客とする高規格、集合的な集客施設群である。IRは、都市や観光地の魅力を高め、観光客、ビジネス旅客の集客を可能にし、施設整備に伴う建設需要、整備・運営に伴う雇用効果、運営に伴う税収効果、集客に伴う消費効果等の様々なシナジーにより地域経済を活性化し、再生する効果をもたらすことが期待されている。
- カジノ・エンターテイメントを、適切に管理することにより健全、安心、安全な成人の娯楽の場を提供する
IRの一部を構成するカジノ・エンターテイメント施設は、現行の刑法では禁止されている賭博行為を提供する施設となるが、適切な規制と監視の仕組みを制度として設け、その施行を厳格に管理することにより、健全、安心、安全な成人の遊興とすることができることが先進国の事例では立証されている。健全、安心、安全なエンターテイメントとしてのカジノを提供できる制度的な枠組みを設け、そのもたらすデメリットを管理しつつ、最大限のメリットを国や地方自治体、地域社会が享受できることを立法の目的とする。
- IRの設置総数・設置区域は限定し、慎重かつ段階的な導入を図る
「カジノを含むIRは、全国津々浦々に設置すべき施設ではない。わが国におけるその施設総数・設置区域を明確に限定し、かつ、その着実な施行を確認して、段階的に設置することを基本とする。その際、「大都市型」、「地方型」の二類型が構想されることが望ましい。
- 地方公共団体の申請に基づき、国がIRの設置区域・地点を指定する
カジノを含むIRが設置される区域・地点の指定は、地方公共団体による提案・申請をもとに、国がこれを評価・判断し、指定する。カジノはこのIRの内部でのみ、その施行が可能となる。
- カジノの施行は民設民営を基本とし、区域指定を受けた地方公共団体が民間事業者を選定する
指定を受けた地方公共団体は、IRを自らの費用とリスクによって整備し、運営する民間事業者を公募により選定することを基本とする。
- 選定された民間事業者は別途、国から免許を取得する必要がある
選定された民間事業者は、別途、国に対し申請し、廉潔性、適格性等の審査を経て、免許を取得できた場合、初めてカジノ施設の運営ができることとし、民間事業者による運営行為は国による厳格な規制と監視の対象とする。
- 規制と監視のために国の規制機関を新たに設ける
カジノ運営を規制し、監視するために、国の規制機関としてカジノ管理委員会を設ける。カジノ管理委員会は、国家行政組織法第3条に基づく行政委員会とし、内閣府の外局に設置する。同委員会は、立法府・行政府から独立した権限を保持する国の機関として、運営詳細に関する規制を制定し、カジノ施設とその運営に関与する主体の免許・認証付与、認可及びカジノの施行の監視、監督、違法行為摘発等を担う。
- 国民の懸念を払拭し、国民の理解と支持を得られる制度構築を図る
実施法の策定に際しては、賭博行為が社会にもたらしうる危害やリスク等を徹底的に排除する考えや、危害を最小化する、あるいはたとえ危害が生じてもその影響をできる限り縮小化する様々な考えや手法を採用することを前提とする。特に、不正や組織悪等を完璧に排除すること、地域環境の健全化や公秩序の安全を維持すること、青少年への否定的な影響を断ち切ること、賭博依存症患者等に対する積極的な対応措置を講じることを前提とする。
2、IR実施法制定へ向けての基本的な考え方
- 観光振興と国・地方の経済の活性化、財政への寄与を目的とする
国際競争力のある魅力ある観光地の形成により、内外の観光客数を増大し、地域経済の振興を図るために、国により指定された地域に限り、金銭を賭すエンターテイメントとしてのカジノを提供する施設を核とした複合観光施設(統合型リゾート、IR)の整備を図り、その収益の一部をもって地域経済の振興と少子高齢化に直面した国の財政に資することのほか、社会保障の充実や文化芸術の振興、ならびにその発信力の強化に資することを目的とする。
- 特定複合観光施設と特定複合観光施設区域の指定
カジノ施設、宿泊施設、会議場施設、展示施設、リクリエーション施設、飲食施設、物品販売施設等地域の観光振興に資する集客施設群を「特定複合観光施設」(これがIRとなる。但し、IRは法律上の定義ではない)と定義し、一定の条件の下にかかる施設を設置できる区域として、地方公共団体ないしはその一部事務組合の申請に基づき、主務大臣が指定する区域を「特定複合観光施設区域」と定義する。この区域・施設の内部においてのみ、カジノ施設の設置と施行ができる。
- 特定複合観光施設区域の数と指定の在り方
特定複合観光施設区域及びその中に設置されるカジノを含む特定複合観光施設は、カジノ施行の安全性、安定性、健全性を担保し、その政策的効果を確実にするために、設置される区域総数及び施設総数を限定する。かつ、当面の間、国際的、全国的な視点から、観光振興並びに経済振興の効果を発揮できる可能性の高い地域を優先し、地理的な分散を考慮した上で、施行区域を限定し、その着実な施行を確認した後に、段階的に施行数を増やしていく考え方を基本とする。
区域・施設の総数を限定する施策は、公平性、透明性のある判断基準、手続きにより、地方公共団体に不公平感が生じない配慮をした制度設計が必要である。
- 地方公共団体による民間事業者の選定
地方公共団体は、競争性、公平性を具備した公募手順に基づき、特定複合観光施設区域において特定複合観光施設の開発、整備、運営を自らの費用とリスクで担う民間事業者を選定し、当該区域にかかる施設を設置させることができる。その際、設置の条件を地方公共団体と民間事業者との間で取り決める。地方公共団体と民間事業者の関連する協定は、国の規制機関の認証を必要とする。
- 国の規制機関としてのカジノ管理委員会の役割
カジノ管理委員会は3条委員会として、内閣府の外局として設置され、国民に安全、健全、公正なゲームを提供するために、カジノの運営に関する詳細規則等を制定するほか、悪、組織悪、不正等の介在を防止し、地域社会の公序良俗を保持するために必要な施策を講ずる。かつ、健全、安全なカジノの施行が確保できるように、カジノの運営等に直接的、間接的に関与する民間主体等を審査し、免許、許可、認証等を付与し、運営の監視、検査、監督、関連しうる違法行為の摘発等を担うことを主たる任務とする。
- カジノを施行する民間事業者は免許を取得しなければならない
地方公共団体より選定された民間事業者が、特定複合観光施設にてカジノの施行を要望する場合には、国際基準と同等の所定の書式、手続きに基づき、別途、国の規制機関となるカジノ管理委員会に申請し、免許を取得しなければならない。カジノ管理委員会は、民間事業者による費用負担に基づき、背面調査、審査を実施し、当該民間事業者の適格性を検証の上、免許を与えるか、この申請を拒否できる。
同様に、当該民間主体の5%以上の有効議決権を保持する主要株主、経営者、主要管理職及び、直接的・間接的にゲームの運営に関与する職員は、すべからくこれら業に従事するに際し、国際基準と同等の所定の書式、手続きに基づき、カジノ管理委員会に申請し、その背面調査・審査を受け、免許を取得しなければならない。
- 免許の前提として、欠格要件と適格要件を定義する
カジノの施行を担う民間事業者に関しては、不適切な者を排除するために欠格要件を定義するが、同時に法遵守の組織内体制や、高い社会的責任、高潔な倫理観、社会的信用度、財政的資力や資金調達力、運営・経営能力経験等の適格要件が国の機関となるカジノ管理委員会により定められ、これを満たすことが免許付与の前提となる。
- 民間事業者に付与された免許は違法行為等の場合には取り消す
カジノ管理委員会は、法が定める一定の事象が生じた場合、催告をもって施行者に対し、その是正、修復と求めたり、適切な履行を求めたりすることができるとともに、施行者に対する免許を一時的に停止したり、取り消すことができる。
カジノ管理委員会により、施行者の免許が取り消され、地方公共団体と当該施行者との協定が解除される場合には、地方公共団体は、カジノ管理委員会の許可を得て、施行者の資産を第三者に継承させることを前提に、新たな施行者を選定する手順を踏むことができる。
- 査察監制度を設け、特別司法警察官としての権限を与える
カジノ管理委員会に専任の事務局を設けるとともに、その職員のうちから内閣総理大臣が、査察官を任命する。同査察官はカジノ管理委員会の長の指揮監督を受け、カジノに係る犯罪につき、刑事訴訟法の規定により特別司法警察官として職務を担うものとする。査察官は施行者の施設等への立ち入り、運営・警備・監視システムの閲覧・監視、財務・会計資料等の閲覧等のカジノの運営全般に関する包括的な監視を実施し、カジノに係わる不正行為・違法行為等を摘発し、器具等の一時停止や現状保全命令を出せるとともに、逮捕特権を保持することとする。
- 施行に使用する関連機械、システム、器具等の製造事業者、施行に係わるサービス提供事業者等も免許の対象とする
施行に使用される関連機械、システム、器具等を製造し、販売する事業者、施行に関するサービス提供事業者は、当該企業及び関連する役職員は、企業及び個人いずれもが、カジノ管理委員会が定める国際基準と同等の書式、手順に基づき、別途カジノ管理委員会に申請し、その審査を経て、免許を取得しなければ、当該業務に従事することはできないことを基本とする。
- 施行に使用する機械、システム、器具等は全て認証の対象とする
カジノ管理委員会は、カジノ施設内でゲームに用いられる機械、器具、用具、システム等の形式、技術標準、技術上の規格等を規則として定めるものとし、施行者はカジノ管理委員会が定める技術標準、技術上の規格に準拠し、同委員会が認証する以外の機械、器具、用具、システム等を用いてはならないことを基本とする。
- 運営に関するあらゆる行為は規制と認証の対象とする
カジノ施設内で規制の対象となるゲーミング区域におけるあらゆる行為は原則規制の対象となり、カジノ管理委員会による認可、認証の対象となる。かつ、これら行為は全て監視の対象とする。また、カジノ管理委員会は、施行者、施行に直接的に関与する者、及び顧客が遵守すべきカジノ施設の運営等に関する詳細規則を定めることができる。但し、カジノ管理委員会が定める規則は、国際的慣行・標準に適う内容であることを基本とす
- 施行に伴う納付金等及びその使途
施行を担う民間事業者は、少子高齢化に直面した国の財政に資することを目的に、また国民がその便益を享受できるように、施行に伴う施行者勝ち分売り上げの一定率を納付金として、国に納付しなければならない。国は、この納付金の一部を社会保障の充実や文化芸術の振興等のために当てることができるものとする。
地方公共団体は、国とは別個に、施行者勝ち分売り上げの一定率を国の取り分率を上限にして、別途条例で定めることにより、納付金として徴収できる。この場合、立法の趣旨に則り、予め条例にて、納付金の使途を定めなければならないものとする。
- 入場料を賦課できるものとする
国及び地方公共団体は、各々政令ないしは条例で定めることにより、カジノ施設の入場者から入場料を徴収することができるものとする。諸外国に事例があるように、内国人に限って入場料を課する施策には、一定の抑止効果を期待することができる。
3、社会的関心事への対応
エンターテイメントとしてのカジノの楽しさと面白さを損ねることなく、過度の賭博消費を促すことを抑制し、健全性、安全性を担保したバランスの取れた健全な施行を心がけることが、国民の信頼と信任を得ることに繋がる。
- 暴力団組織の介入や犯罪の温床になること等を断固、排除する
カジノ施行に係わる参入要件と行為規制を厳格に規制し、関与する個人・法人の清廉潔癖性と違法性を厳格に要求することにより、暴力団組織等による介入を完璧に排除することができる。また、施行に係わる規則等も厳格にその履行と遵守・監視を担保する仕組みを構築すれば、カジノが犯罪の温床になるということはあり得ない。
また、カジノ管理委員会との連携により、入場者全員の本人確認を義務付けることにより、暴力団組織等に関係する者の入場を完全に排除するものとする。
- マネーロンダリング(資金洗浄)を防止する
カジノ施設は諸外国では国際機関であるFATF(金融行動タスクフォース)勧告に基づき、疑似金融機関と位置付けられており、一定金額以上の賭け金行動をする個人の本人確認、疑わしい行為等の規制当局に対する報告義務等マネーロンダリングを防止する枠組みが法定されている。わが国もFATF勧告に基づく制度が存在し、カジノ施設をこの中に追加することにより、先進諸外国と同等の規制によりマネーロンダリングを防止することとする。また、マネーロンダリング対策として有効とされるカジノ施設内での現金、チップを使用しないキャッシュレスシステムについて、導入を検討することとする。
- 地域風俗環境悪化、公序良俗の乱れを防止する
カジノにてゲームが行われる区域は、厳格な管理規制区域となり、この区域におけるあらゆる行為は規制と監視の対象となる。IRは高規格の施設群となり、カジノはその一部を構成する遊興施設となるため、カジノの存在自体が、地域風俗環境の悪化をもたらしたり、公序良俗の乱れをもたらしたりするということは、想定しにくい。施設内外は、当然のことながら、監視、警備の対象となり、地方警察組織との連携、協力により、施設内外の地域の環境悪化を防止し、秩序を維持することが全ての基本となる。
- 青少年への悪影響を防止する
カジノとは成人が自己責任の下で為す遊興でもあり、制限区域に顧客が入場する際、施行者に対し、入場者全員の本人確認を義務付けることにより、青少年による入場を完全に排除するものとする。
- 賭博依存症患者の増大を防止し、その対策のための機関を創設する
我が国では、既存の公営賭博等や遊技にも既に同じ社会事象が存在することが知られており、これらをも含む形での国としての対応を早急に措置することが必要である。制度として賭博行為を認めている以上、一定の社会的セーフティーネットを構築することが当然である。このため、公営賭博分野を含めた調査の実施と実態の把握、依存症問題対応のための国の機関を創設し、中長期的な対応策や短期的対処プログラムの策定、調査研究の奨励、治療やカウンセリング体制具備のための支援を行うこととし、その財源にはカジノからの納付金収益の一部をあてるものとする。
また、先進諸外国で制度化されている賭博依存症の症状にある顧客本人ないしはその家族の要請に基づき、当該顧客をカジノに立ち入らせることを禁止する予防措置(自己排除プログラムならびに家族強制排除プログラム)については、導入を積極的に検討するものとする。
参考資料:特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案
目次
第一章 総則(第一条第五条)
第二章 特定複合観光施設区域の整備の推進に関し基本となる事項
第一節 特定複合観光施設区域の整備の推進に関する基本方針(第六条…第十条)
第二節 カジノ管理委員会の基本的な性格及び任務(第十一条)
第三節 納付金等(第十二条・第十三条)
第三章 特定複合観光施設区域整備推進本部(第十四条——第二十三条)附則
第一章総則
(目的)
第一条 この法律は、特定複合観光施設区域の整備の推進が、観光及び地域経済の振興に寄与するとともに、財政の改善に資するものであることに鑑み、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する基本理念及び基本方針その他の基本となる事項を定めるとともに、特定複合観光施設区域整備推進本部を設置することにより、これを総合的かつ集中的に行うことを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「特定複合観光施設」とは、カジノ施設(別に法律で定めるところにより第十一条のカジノ管理委員会の許可を受けた民間事業者により特定複合観光施設区域において設置され、及び運営されるものに限る。以下同じ。)及び会議場施設、レクリエーション施設、展示施設、宿泊施設その他の観光の振興に寄与すると認められる施設が一体となっている施設であって、民間事業者が設置及び運営をするものをいう。
2.この法律において「特定複合観光施設区域」とは、特定複合観光施設を設置することができる区域として、別に法律で定めるところにより地方公共団体の申請に基づき国の認定を受けた区域をいう。
(基本理念)
第三条 特定複合観光施設区域の整備の推進は、地域の創意工夫及び民間の活力を生かした国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現し、地域経済の振興に寄与するとともに、適切な国の監視及び管理の下で運営される健全なカジノ施設の収益が社会に還元されることを基本として行われるものとする。
(国の責務)
第四条 国は、前条の基本理念にのっとり、特定複合観光施設区域の整備を推進する責務を有する。
(法制上の措置等)
第五条 政府は、次章の規定に基づき、特定複合観光施設区域の整備の推進を行うものとし、このために必要な措置を講ずるものとする。この場合において、必要となる法制上の措置については、この法律の施行後一年以内を目途として講じなければならない。
第二章 特定複合観光施設区域の整備の推進に関し基本となる事項
第一節 特定複合観光施設区域の整備の推進に関する基本方針
(国際競争力の高い魅力ある観光地の形成等)
第六条 政府は、特定複合観光施設区域が地域の特性を生かしつつ真に国際競争力の高い魅力ある観光地の形成の中核としての機能を備えたものとなるよう、必要な措置を講ずるものとする。
(観光産業等の国際競争力の強化及び地域経済の振興)
第七条 政府は、特定複合観光施設区域の整備により我が国の観光産業等の国際競争力の強化及び就業機会の増大その他の地域における経済の活性化が図られるよう、民間の資金、経営能力及び技術的能力の活用その他の必要な措置を講ずるものとする。
(地方公共団体の構想の尊重)
第八条 政府は、地方公共団体による特定複合観光施設区域の整備(特定複合観光施設の設置及び運営をする事業者の選定を含む。)に係る構想のうち優れたものを、特定複合観光施設区域の整備の推進に反映するため必要な措置を講ずるものとする。
(カジノ施設関係者に対する規制)
第九条 カジノ施設の設置及び運営をしようとする者(当該カジノ施設の設置及び運営に係る事業に従事しようとする者を含む。)、カジノ関連機器の製造、輸入又は販売をしようとする者並びにカジノ施設において入場者に対する役務の提供を行おうとする者(以下「カジノ施設関係者」という。)は、別に法律で定めるところにより、第十一条のカジノ管理委員会の行う規制に従わなければならない。
(カジノ施設の設置及び運営に関する規制)
第十条 政府は、カジノ施設の設置及び運営に関し、カジノ施設における不正行為の防止並びにカジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除を適切に行う観点から、次に掲げる事項について必要な措置を講ずるものとする。
一、カジノ施設において行われるゲームの公正性の確保のために必要な基準の作成に関する事項
二、カジノ施設において用いられるチップその他の金銭の代替物の適正な利用に関する事項
三、カジノ施設関係者及びカジノ施設の入場者から暴力団員その他カジノ施設に対する関与が不適当な者を排除するために必要な規制に関する事項
四、犯罪の発生の予防及び通報のためのカジノ施設の設置及び運営をする者による監視及び防犯に係る設備、組織の他の体制の整備に関する事項
五、風俗環境の保持等のために必要な規制に関する事項
六、広告及び宣伝の規制に関する事項
七、青少年の保護のため必要な知識の普及その他の青少年の健全育成のために必要な措置に関する事項
八、カジノ施設に入場した者がカジノ施設を利用したことに伴い悪影響を受けることを防止するための必要な措置に関する事項
第十一条 カジノ管理委員会は、内閣府に外局として置かれるものとし、カジノ施設の設置及び運営に関する秩序の維持及び安全の確保を図るため、カジノ施設関係者に対する規制を行うものとする。
第三節 納付金等
(納付金)
第十二条 国及び地方公共団体は、別に法律で定めるところにより、カジノ施設の設置及び運営をする者から納付金を徴収することができるものとする。
(入場料)
第十三条 国及び地方公共団体は、別に法律で定めるところにより、カジノ施設の入場者から入場料を徴収することができるものとする。
第三章 特定複合観光施設区域整備推進本部
(設置)
第十四条 特定複合観光施設区域の整備の推進を総合的かつ集中的に行うため、内閣に、特定複合観光施設区域整備推進本部(以下「本部」という。)を置く。
(所掌事務)
第十五条 本部は、次に掲げる事務をつかさどる。
一、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する総合調整に関すること。
二、特定複合観光施設区域の整備の推進を総合的かつ集中的に行うために必要な法律案及び政令案の立案に関すること
三、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する関係機関及び関係団体との連絡調整に関すること。
(組織)
第十六条 本部は、特定複合観光施設区域整備推進本部長、特定複合観光施設区域整備推進副本部長及び特定複合観光施設区域整備推進本部員をもって組織する。
(特定複合観光施設区域整備推進本部長)
第十七条 本部の長は、特定複合観光施設区域整備推進本部長(以下「本部長」という。)とし、内閣総理大臣をもって充てる。
2、本部長は、本部の事務を総括し、所部の職員を指揮監督する。(特定複合観光施設区域整備推進副本部長)
第十八条 本部に、特定複合観光施設区域整備推進副本部長(以下「副本部長」という。)を置き、国務大臣をもって充てる。
2、副本部長は、本部長の職務を助ける。(特定複合観光施設区域整備推進本部員)
第十九条 本部において、特定複合観光施設区域整備推進本部員(以下「本部員」という。)を置く。
2、本部員は、本部長及び副本部長以外の全ての国務大臣をもって充てる。(資料の提出その他の協力)
第二十条 本部は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関、地方公共団体、独立行政法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)
第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。)及び地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)
第二条第一項に規定する地方独立行政法人をいう。)の長並びに特殊法人(法律により直接に設立された法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人であって、総務省設置法(平成十一年法律第九十一号)
第四条第十五号の規果の適用を受けるものをいう。)の代表者に対して、資料の提出、意見の開陳、説明その他の必要な協力を求めることができる。
2、本部は、その所掌事務を遂行するため特に必要があると認めるときは、前項に規定する者以外の者に対しても、必要な協力を依頼することができる。
(特定複合観光施設区域整備推進会議)
第二十一条 本部に、特定複合観光施設区域整備推進会議(以下「推進会議」という。)を置く。
2、推進会議は、学識経験を有する者のうちから、内閣総理大臣が任命する委員二十人以内で組織する。
3、推進会議は、特定複合観光施設区域の整備の推進のために講ぜられる施策に係る重要事項について調査審議し、本部長に意見を述べるものとする。
4、推進会議は、前項の規定により意見を述べたときは、遅滞なく、その内容を公表しなければならない。
5、本部長は、第三項の規定による意見に基づき措置を講じたときは、その旨を推進会議に通知しなければならない。
(事務局)
第二十二条 本部の事務を処理させるため、本部に、事務局を置く。
2、事務局に、事務局長のほか、所要の職員を置く。
3、事務局長は、本部長の命を受けて、局務を掌理する。
(政令への委任)
第二十三条 この法律に定めるもののほか、本部に関し必要な事項は、政令で定める。
附則この法律は、公布の日から施行する。ただし、第三章の規定は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
理由
特定複合観光施設区域の整備の推進が、観光及び地域経済の振興に寄与するとともに、財政の改善に資するものであることに鑑み、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する基本理念及び基本方針その他の基本となる事項を定めるとともに、特定複合観光施設区域整備推進本部を設置することにより、これを総合的かつ集中的に行うことが必要である。これが、この法律案を提出する理由である。
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