1/18 ③初心者でもできる穴馬の狙いと買い

第3

穴馬を選び出す基準について

第2では、馬を(A~Eまでの)グループに分けること、そして、(過去のレース結果から)どのグループが馬券に絡む可能性が高いのか見込みを付けること、までを説明しました。

続いて、見込みを付けたグループにいる3頭の馬の中から、どうやって穴馬をピックアップすればよいのかについて説明します。

その基準となるのはズバリ、【上がり3ハロン】です。

■上がり3ハロンとは…

「上がり3ハロン」とは、レースの残り600mからゴールに達するまでに要したタイムのことを指します。

1ハロンは200mですので(計600mで)「上がり3ハロン」と呼ばれています。表記としては、ハロン=「F」で表記され、競馬新聞や競馬場の掲示板などにも「3F」と表示されています。

■重要なのは、「馬ごとの上がり3ハロンタイム」

また、上がり3ハロンには、「レース全体の上がり3ハロン」と、「馬ごとの上がり3ハロン」があります。

「レース全体の上がり3ハロン」とは、レースで先頭の馬が残り600mを通過してから1着の馬がゴールするまでのタイムを指します。一方、「馬ごとの上がり3ハロン」とは、それぞれの馬が残り600mを通過してゴールするまでに要したタイムを指します。

競馬予想で重視するのは、もちろん「馬ごとの上がり3ハロン」の方です。

・JRA自身が証明している重要ファクター

レース結果(掲示板)や競馬新聞には、上がり3ハロン(3F)のタイムが必ず掲載されています

そもそも、なぜ競馬新聞や競馬場の掲示板には、この上がり3ハロン(3F)のタイムが表示されているのでしょうか。それは、馬の能力を判断するための「共通の判断材料」として、この上がり3ハロンが適しているからだと言えます。

競走馬が全力で走ることができる時間は40秒程度と言われており、「上がり3Fのタイム」=「その馬の全力での走破能力」と捉えることができます。

つまり、上がり3ハロンのタイムが速い馬は、走る能力が高い馬、すなわち、強い馬となるわけです。あくまでも強さを示す「目安」であり、絶対的な指標ではありませんが、競走馬という動物の能力を総合的に判断するものとしては有効だと思います。

馬の能力を判断する材料は、コースの走破タイムや通算の着順成績など、上がり3ハロン以外にも様々ありますが、コースの長さや馬の特徴などに関係なく、「共通の判断材料」として使える、この「上がり3ハロン」があちこちで使われているわけです。

なお、レース終了後(確定後)には、着順や走破タイムとともに、各馬の上がり3ハロンタイムも正式に掲載されますので、このデータを元に次のレースの予想を組み立てていきます。

■なぜ、「上がり3ハロン」を重視するのか。

競走馬についての情報が様々ある中で、なぜ「上がり3ハロン」を重視するのか。その理由には、中央競馬の主催者であるJRAの方向性が関係しています。日本の競馬、とりわけJRAが主催する中央競馬においては、競走馬の「スピード(速さ)」に重きが置かれています。

記憶に新しいところでは、2018年のジャパンカップ(GIレース)で、「アーモンドアイ」がたたき出した2400mの世界レコード「2分20秒6」が、まさに日本の(JRAの)スピード競馬を象徴しているといえるでしょう。

それまでの2400mの世界記録が、2分21秒98(1999年・サンイシドロ競馬場・アシデロ)ですから、その記録を一気に1.3秒も上回る驚愕のタイムを、日本の3歳牝馬がたたき出したことになります。

このタイムは、日本国内はもちろん、世界中の競馬関係者にも衝撃を与えました。

しかしながら、アーモンドアイの強さを賞賛する一方で、そのタイムがあまりにも早かったために、馬の故障を心配する声や、スピードが出過ぎるというJRAのコース設計の在り方に対して、疑問や批判的な意見も挙がることになりました。

普段競馬をやらない人でも名前ぐらいは知っているであろう、日本のトップジョッキーの一人、あの武豊騎手も、過去に自身の公式ホームページのなかで、東京競馬場の芝コンディションについて「時計の速さは異常」とコメントしたことがあり、通常は芝が荒れてタイムが落ちる傾向のある終盤を迎えたコースでも、レコードクラスの時計が連発したことに対しても、「過去にも例がない気がします」と、スピード重視に偏り過ぎているJRAのコース設計を危惧していました。

コース設計の方向性が良いか悪いかの判断は別として、世界的にみても、JRAが主催している中央競馬の芝コースは、極端ともいえるぐらいのスピード重視であり、上がり3ハロンのタイムが結果にも大きく関係しているのです。

競馬の結果に、上がり3ハロン(のタイム)が大きく影響を及ぼしていることは理解できたと思います。

とはいえ、レース前に、そのレースにおいて、どの馬が(上がり3ハロンが)速いのかは、誰も知ることはできません。あくまでも、馬券を購入する段階では、レースにおける各馬の3ハロンタイムを「推測する」しかないのです。

素人だろうと、競馬関係者だろうと、厩舎のスタッフだろうと、その馬のオーナー(馬主)だろうと、その立場に関係なく、全員が家各馬がどのくらいの3ハロンタイムを出すのかは、「推測するしかないのです」。

私も以前、出走馬の過去のレースを参考にしながら、今回のレースの上がり3ハロンのタイムがどのくらいになるのかをシミュレーションしたことがありますが、1頭2頭ならまだしも、18頭など全頭の分析となると、さらに複数のレースの分析となると、とにかく多大な時間を要します。

しかも、それぞれのレースは、馬場状態やレース展開、他の出走馬との力関係などによって状況や状態がまったく違ってくるので、単純に上がり3ハロンのタイムだけを比べても意味はなく、タイムを補正したり調整したりする必要も出てきます。

上がり3ハロンのタイムが重要な項目であることは間違いないのですが、この項目を競馬予想に利用するためには、多大な手間と時間がかかってしまうのが課題なのです。

そこで、推定タイムとして「3ハロンのタイム」を提供している媒体を一つご紹介します。

それは、「ハイブリッド新聞」という媒体です。http://blog.cyber-mm.jp/

「ハイブリッド新聞」が提供している「推定(後半)上がり3ハロン」というデータを利用することで、自分で分析する時間や手間を省き、効率的に競馬予想を進めていきます。ハイブリッド新聞では、2種類の(推定)3ハロンデータを掲載しています。

一つは、今まで話してきた、レースの残り600mからゴールに達するまでに要したタイム、「(推定)後半3ハロン」。

もう一つは、スタートから600mに達するまでに要したタイム、「(推定)前半3ハロン」です。

推定前半3ハロンのデータも、レースによっては有効に機能しますが、ここで重視しているのは、(推定)後半3ハロンの方です。もちろん、ハイブリッド新聞が掲載している3ハロンタイムも、あくまでも「推定」のものであり、実際のレース結果における上がり3ハロンのタイムとはズレが生じることもあります。

しかし、同じように3ハロンタイムを推測して取り扱っている他の媒体と比べると、データ量も豊富で活用しやすいことから、総合的に判断して、ここではこのハイブリッド新聞の情報を利用することにしています。

既にあなたがどこかの媒体を利用していて、そこにも同じようなデータが掲載されているならば、そちらのデータを利用しても構いません。

ハイブリッド新聞だけしか利用してはいけない、という意味ではないので、こちらが推奨する媒体の一つとして「ハイブリッド新聞」というものもあるということを把握していただければと思います。

参考までに、ハイブリッド新聞「推定後半3ハロン」のデータとレースの結果の例を載せておきます。

秋華賞(2020年10月18日)

1着デァリングタクトハイブリッド新開の推定後半3ハロン「1位」:実際の人気「1位」

2着マジックキャッスルハイブリッド新開の推定後半3ハロン「5位」:実際の人気「10位」

3着ソフトフルートハイブリッド新聞の推定後半3ハロン「2位」:実際の人気「9位」

菊花賞(2020年10月25日)

1着コントレイルハイブリッド新聞の推定後半3ハロン「1位」:実際の人気「1位」

2着アリストテレスハイブリッド新開の推定後半3ハロン「3位」:実際の人気「4位」

3着サトノフラッグハイブリッド新聞の推定後半3ハロン「4位」:実際の人気「5位」

ご承知の通り、1着馬はどちらのレースも無敗の3冠馬で(人気も実力も)抜けていたのでこれには逆らえないとして、2着3着に入っているような馬、人気はそれほどでもないけど、ハイブリッド新聞における推定後半3ハロンの順位では上位に入っているような馬が、馬券的に妙味がある馬、いわゆる「穴馬」と判断することができます。

この2レースの結果だけを見せて、「どうだ、やっぱり上がり3ハロンは凄いだろう」ということが言いたいのではなく、あくまでも、客観的に判断して、「上がり3ハロンを重視することは馬券予想には有効であり、また、ハイブリッド新聞が提供している推定後半3ハロンは、検討材料として参考にできる」ということを認識してもらいたいのです。

繰り返しになりますが、もし、既にあなたが(ハイブリッド新聞以外の)別の媒体を利用していて、そこにも同じようなデータが掲載されているならば、そちらのデータを利用しても構いません。

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