5/20 ⑧カジノは日本を救うのか?

◆大きな利権が見え隠れする

数多くあるはずの日本の魅力を武器にせず、カジノという「ギャンブル」を観光の目玉にしようというのには、何かからくりがありそうです。

最もシンプルに考えられるのが、「利権」です。何度も言うように、カジノ市場には誰でも自由に参加できるわけではありません。

ごく一部の「利権」をもった人たち(政治家、官僚ら)が、もっともらしい理由をつけて、自分たちに都合のいい業者を選んで、許可を与えます。

許可をもらえた企業だけが参入でき、許可されなかった企業は参入することができません。

極端に言えば、ごく一部の利権者が恣意的に参入企業を選ぶことができるということです。

案の定と言いますが、すでに献金(賄賂)合戦は始まっているようで、海外のカジノ施設に視察と称して出掛けて行く政治家もいるようです。

私は、カジノができることになるにしても、具体的なことはかなりギリギリになるまで決まらないだろうと思っています。

利権者たちにとっては、具体的な決定を引き延ばせば延ばすほど、賄賂がもらえることになるからです。

賄賂をもらうときに一番いいのは、複数の相手に対して、できるだけ長い間、可能性をちらつかせることです。

「もしかしたら、ここでもうひと押し、政治献金をしておけば、自分たちに有利な決定をしてくれるかもしれない」と思わせ、そう思わせる期間が長ければ長いほど、賄賂がもらえるわけです。

もし早々に具体的なことが決まってしまったら、選定から漏れた企業は諦めてしまって、賄賂など払うはずがありませんし、決定した企業も、すでに自分たちに決定してしまっているのですから、あえて賄賂を贈る必要がありません。

利権者は、カジノ解禁について、あるいは業者選定についてどっちつかずの態度を取り続けるだけで、多額の賄賂をもらい続けることができるのです。

これに対して、もし政治家や官僚が、先ほど挙げた観光立国日本としてのさまざまな魅力を海外にアピールしたとしたら、これほどまでの賄賂がもらえるでしょうか。まず、もらえないでしょう。

政治家や官僚が、日本の魅力を海外にアピールしても、自分自身の財布にはまったくお金が入ってこないのです。

日本という国、あるいは日本国民全体にとっては、非常にメリットがあることですが、自分の懐に、直接、お金が入ってくる「カジノ」との比較においては、残念ながら、勝負になりません。それほどまでに大きな利権があるのでしょう。

第2で書いたように、海外で成功している外資のカジノ運営企業の中には、1兆円という、とてつもない金額を設備投資のために用意するというところもあります。

それでも採算が取れる、いや大儲けできると踏んでいるからです。これほど多額のお金が用意できる企業にとって、政治家への献金など、微々たるものに違いありません。

設備投資用に用意したお金の100分の1を政治家への献金に使ったとしても、かなりの人数の政治家を味方に付けることができるでしょう。

巨大な利権、巨大な献金が、特に海外の企業からの献金が、すでに動いているということも、議論の材料となるべき要素だと思います。

◆「納付金」のワナ

お金の問題で言いますと、もう一つ、気になることがあります。

「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」(IR法案)の「第三節納付金等」には、こう書かれています。

第十二条国及び地方公共団体は、別に法律で定めるところにより、カジノ施設の設置及び運営をする者から納付金を徴収することができるものとする。

第十三条国及び地方公共団体は、別に法律で定めるところにより、カジノ施設の入場者から入場料を徴収することができるものとする。

さて、どこが問題かおわかりでしょうか。カジノ施設の設置及び運営をする者からお金を徴収できることと、カジノ入場者から入場料を徴収することができるという内容で、特に問題ないと思うかもしれません。

前に少しだけ触れましたが、私が問題にしたいのは「税」という文字がどこにもないことです。「納付金」「入場料」となっており、「税」とは書かれていません。

つまり、「税」として徴収しない可能性も残した表現になっているわけです。

「税かそうでないかで何が違うのか」と思うかもしれませんが、実は大違いなのです。

税であれば、徴収したお金は基本的にそっくりそのまま、一般会計に繰り入れられます。

一般会計のお金は、国会審議で精査され、国民の目にもはっきりと晒されることになります。

ところが、「税」ではなく「納付金」の場合は、一般会計ではなく、特別会計に繰り入れられるはずです。

一般会計と特別会計の違いについては、ここでは詳しくは述べませんが、簡単に言えば、国会でしっかり審議して、国民が監視できるのが一般会計国会で審議はするものの、複雑なので非常に監視がしづらいのが特別会計と捉えておけばいいでしょう。

利権を持っている省庁などが、巧みにカムフラージュして、お金の出入りがよくわからないようにして、特別会計に繰り入れるのです。

特別会計も形式的には国会で審議されますが、そもそもどのお金がどうなっているのかがわかりにくいので、まさに「形式的に」国会を通過してしまいます。

そして、利権を持っている省庁の裏金となって、自由に使えるようになるのです。「中国人富裕層がカジノで行っているマネーロンダリングのようなことが、特別会計に繰り入れることで、できてしまうのです。

カジノでのマネーロンダリングを監視する機関が、実は自分たちも特別会計によってマネーロンダリングしているという、笑うに笑えない事態が起こるのです。

カジノ運営企業から、法人税等とは別にお金を徴収するのであれば、「納付金」などという表現はやめて、はっきりと「税」とすべきでしょう。

「税」と書かないのは、特別会計に組み込まれて、利権者たちが自由に使えるようにするためではないかと勘繰られても仕方がありません。

◆そもそも日本でカジノを開いて儲かるのか

推進派のカジノ解禁の論理は「日本でカジノをやれば儲かる」という大前提に立っています。

つまり、いままでいろいろと反対意見を挙げてきましたが、そもそも論として「日本でカジノをやっても儲からない」ことが立証できれば、それだけでカジノ推進派のカジノ解禁の論拠、根拠はすべて崩れ去ることになります。

まず、先ほど述べたように、厚生労働省の提言に従って、日本人のカジノへの入場を禁止した場合、利益は大幅に減ることになるでしょう。

また、観光客がカジノで大金を使うのかというと、これまでも見たように、ジャンケットのようなシステムを取り入れたり、マネーロンダリングの仕組みを黙認しないと、「絶対に儲かる」とは言い切れないのではないかとの疑念も大いに湧いてきます。

「中国ビジネスホットライン」、2014年7月1日付の記事に「マカオから見た、日本で「カジノ」が成功しないこれだけの理由」というものがあります。やや日本語に難がある文章ですが、引用してみます。

(前略)

  • マカオにおけるカジノの役割

マカオと言う地域に於いて、カジノはマカオ経済の非常に大きなけん引力になっている事は疑いの無い事実だ。年に四兆円もの収入を生み出し、元手は建物と人件費のみ。日本のパチンコの方が遥かに手間暇かかっている。しかしそれ故に法律で厳しく縛らないといくらでもグレーゾーンが発生してしまう。そういう事を嫌う政府が施行しているカジノに関する法律は非常に厳しい。

またカジノに対する税金も始〜1%と非常に大きく、早い話、他の税金と併せ、二兆円の売り上げに対して一兆円近くは政府の懐に入る。まさに”カジノ様々。である。

しかしその一方でマカオ居民からの監視の目は厳しく、それをかわす為か一般の法人に対しての税金は極めて少ない。

日本で言うところの中小零細企業の法人税はほぼ無税。ビジネス書やインターネットでは6〜2%等と書いてあるが、実際はこの三年ほどは完全にゼロである。個人の所得税などは、ほぼ無いに等しい金額で、そういう意味でマカオ市民は大きな恩恵を受けている。

  • マカオのカジノの収益を支えるVIP倶楽部

マカオ政府はジャンケットという職業を確立させ、グレーゾーンに潜りがちだったそれらのエージェントを公的なものにした。このジャンケット/VIP倶楽部が支えているカジノ収入は全体の半分以上を占める。

VIP倶楽部はゲームに掛ける金額もそれなりに大きく、それぞれ3000、5000、1万MOP(注:マカオ・パタカ=マカオの通貨単位)となっている。(換算するとそれぞれ、約3万8000円、6万4000円、2万8000円)

  • VIP倶楽部を成立させる送金システムの確立が課題

現在、中国から持ち出せる現金は一人あたり2万元(約$万円)。当然この金額ではホテルに泊まり、食事をし、ちょっと遊んだところでお金は終わってしまう。

そこで各地域にあるVIP倶楽部オフィスが重要な役割を果たす。が、しかし見方によっては地下銀行以外の何物でもない。

その昔、まだカジノの仕事に関わる前に不思議な景色を見た。マカオの隣、中国広東省は珠海市の国境近く。ほぼ新車と思えるベンツやBMW、Audi等の高級車がズラ〜っと並んだ中古車屋を見つけた。どれもこれも新車の様だ。そのすぐ隣にはマカオのカジノホテルやジャンケットのオフィスが並ぶ。

つまりこう言う事だ。クルマでマカオの隣、珠海に乗りつける。そこでクルマを担保に入れて数百万円を借り受ける。そのまま、ジャンケットのオフィスに入金され、あとは手ぶらでマカオへ入国。

クルマを担保にしたカジノで遊ぶ資金はすでにカジノ側にセットされ、心行くまでカジノを満喫する。運が良ければ帰りは自分のクルマ+戦利品(キャッシュ)。運が無ければ徒歩か別のクルマを買って帰るのか…。

いずれにしてもこの様な客の売り上げが、例えば2014年1月から3月期のカジノ収入の8%(650億MOP/約8300億円)を占めている…これだけは紛れの無い事実です。

税金だけでもお%(3320億円)近いので、確かに日本国政府が色めき立つのも分からなくもない。が、その税収の元の軍資金はどうやってその地に運び込まれるのか?と言う観点から考えると、かなりちぐはぐな話しになってしまうのは容易に想像できるではないか?と、思う。

まさかカジノに来る高額な客を順番に外為法で逮捕する訳にもいくまい。「最近では持ち出し制限をかい潜る為、銀聯カードを利用した現金引き出しが横行し、現在、それらのシステムを停止する方向で動いている。

いずれにしても、(1)カジノを作る→(2)人が集まる→(3)お金を使って遊ぶ!→(4)収益があがる→(5)税収が増える。と言う流れに期待しているのは分かるし、誰であろうが期待する。が、しかし問題は(2)と(3)の狭間に存在する。

まさか100万円を中国人に持って来させわずか5分でゲームを終わらせてすぐに帰国させる訳にもいくまい。しかし今の日本人が論議しているカジノ法案の先に出来るカジノ像はこう言うモノなのである。

そんなところに人が行くだろうか???

意外な事に、現段階での日本では例えカジノがあったとしても、その敵対するものは、外為法、なのだ。そこが論議されているだろうか?

従って私はこの日本で進んでいるカジノに向けての準備は結果的にいつものハコモノ行政”と呼ばれているものに帰着する事は明らかだと思っている。

問題は『何を作るか?』と言う事では無く、『どうやって持続的に回転させるのか?』と言う事がポイントだと考える。

(中略)

公立病院での出産は無料。10歳までの子供の医療費は無料。重病などの場合はまた割合に応じて有料になる。正規システムの学校に行っている小中学生も同様である。これらの予算は当然ながら税収で賄っており、その大半はカジノから、と言う事であろう。そう考えると、たしかにマカオはカジノで市政が上手に機能している事が証明されている。

しかし、では例えばこれをそのまま東京に当てはめたらどうだろうか?お台場にカジノが出来る。都民の所得・住民税に加え、そこにある企業の法人税が無料になる。保険料もいらない。

しかし今までと同じサービスを受けられる。あり得ますか?私はあり得ないと思う。

もしかしたら日本から見たら、この天国の様なマカオのシステムは、それが機能する適正なスケール(サイズ)があるのではないか?と仮説が立てられます。

(後略)

まず、ジャンケット(VIP倶楽部)を「地下銀行」以外の何物でもないと切り捨て、その怪しさを強調しています。

まさに「地下銀行」とは言い得て妙、というか、そのものでしょう。

そして、人が集まるからといって、お金を使うかどうかは別問題と、核心を突きます。「やはり、ジャンケットのような「地下銀行」がないと、VIP客といえども、カジノで大金を使うことはできないということです。

なぜなら、外為法(外国為替及び外国貿易法)で、100万円を超える現金を日本に持ち込む場合、身分証明書の確認を求められるなど、煩雑な手続きが必要になる(原則的に、現金の持ち込みを認めない)からです。

カジノ解禁で大幅に緩和される可能性もありますが、それでも、一定の枠を嵌められることは間違いありません。

ここでも、ジャンケットを導入するのか否かの重大な選択を迫られることになるのです。

また、少し論点はずれますが、カジノで成功し、市民生活にまでしっかり還元できているところは、それが機能する適正なサイズだからではないかとの仮説を立てています。

つまり、小さな都市的国家(マカオ、シンガポール、モナコ)だからこそ、カジノの収益を十分に庶民に還元できるのであって、日本のような大きな国(都市でも同様)ではマカオなどのようにはならないのではないかということです。

仮にある程度の収益が出たとしても、庶民に還元するには、日本という国は大きすぎるのです。

やや古い記事ですが、2012年2月3日付の「日経ビジネスONLINE」には、以下のような記事が載っています。

ただ、カジノが「打ち出の小槌」となるのは、国際競争に勝った時のみである。解禁となったとしても、日本はアジアでは後発だ。マカオやシンガポール以外にも、ベトナムやフィリピンなど多くの国で、中国人富裕層などをターゲットにした大型施設の開発計画が進む。

法を整備し、カジノを作れば終わりではない。利益を出すには、巨大な宿泊・商業施設、テーマパークなどの観光インフラなどとの相乗効果が必要となる。最近のカジノ施設では、投資規模は数千億円規模が当たり前だ。

投資を回収するには安定した集客が前提となるが、重要なのは人数だけでない。利益の源泉は、それこそ、大王製紙の井川意高・前会長のような「ハイローラー」と呼ばれる少数の大口顧客だ。カジノは「ジャンケット」と呼ばれる仲介業者に手数料を支払ってでもVIPに来てもらい、満足させることでリピーターとなってもらう必要がある。

実は法人税などと同様、カジノも税率を競っている。カジノの収益に対する税率ではマカオが8%なのに対し、シンガポールは一般客5%、VIP客は5%。ラスベガスのある米ネバダ州は6.75%だ。

海外の有力カジノ運営業者を誘致するには税率を下げた方が有利だが、その分期待できる直接の税収は下がる。逆に税率を高くすれば、カジノとしての競争力が落ちる。

(抜粋)

やはり、「ジャンケット」の活用と税率がカギだと述べています。ジャンケットをうまく活用できなかった場合(活用できた場合には、前に述べたような弊害が出ます)や税率を上手に設定できなかった場合、日本のカジノは思ったような収益を上げることができないということになります。

ここに引用した2つの記事は「マカオやシンガポールのカジノが儲かっているから、国の規模から言って日本ならもっと儲かる」などと言っているIR議連の人にぜひ読んでいただきたいものです。カジノの収益に「国の規模」は関係ありません。

VIP客にお金を使わせるための、きちんとした仕組み作りができるかどうかが問題なのです。

カジノという箱だけ作って、あとは打ち出の小槌を振るだけだと思っていると、あとでとんでもなく痛い目に遭うことになるでしょう。

◆韓国カジノの失敗

アジアの国々では、カジノがことごとく成功しているかのように思われがちですが、実は韓国には成功していないカジノがあります。

韓国のカジノは、1カ所を除いて、自国民の立ち入りを認めていません。カジノは外国人専用です。その自国民の利用を認めたカジノ周辺の都市の衰退が激しいといいます。2014年7月1日付けの日本経済新聞には、こうあります。

韓国に1カ所あるカジノの一つ、同国北部の江原道にある「江原ランド」は炭鉱廃止で衰退した地域経済を立て直すため、2000年に開業。同国のカジノでは唯一自国民が利用できることから集客に成功し、売上高・入場者数はともに国内のカジノ全体の半分以上を占めている。

「だが、地元のチョンソン群の人口は開業翌年に5万人だったのが昨年は4万人を下回り、江原道関係者は「都市部への若者の流出は食い止められなかった」。

現地を視察した国会議員は「金を失った客が周辺をうろつき、すさんだ雰囲気。『こんな街ではなかった』と悔やむ住民も多かった」と話す。

どうやらカジノ施設への集客は成功しているようですが、それにもかかわらず、地域経済の活性化や都市の再生にはまったくつながっていないようです。

いや、それどころか、都市自体は衰退の一途をたどっているように見えます。

この記事でもう一点、注目したいのは、7カ所あるカジノの売上高、入場者数の半分以上が、この施設1カ所で占められているという点です。

1カ所を除いて自国民が利用できないということは、韓国のカジノは外国人観光客を集めるために作られたということです。

しかし、外国人専用カジノは6カ所が束になっても、韓国国民利用可のカジノに及びません。つまり、韓国はカジノで外国人を呼ぶことに失敗しているのです。

これはまさに、「カジノを作れば外国人観光客が喜んでやってくる」という楽観的な予測を覆す反証となりえます。

なぜ、韓国はカジノで外国人を呼び込むことに失敗したのでしょうか。ここまで読まれてきたあなたなら、すぐに答えはわかることでしょう。そうです。

VIP客の取り込みに失敗したからです。ジャンケットのシステムを活用できなかったから、もっと言えば、マネーロンダリングができるようになっていなかったからです。

日本でも、「日本人立ち入り禁止」にすべきと厚生労働省がコメントしていますが、そうなればジャンケットやマネーロンダリングといった毒を飲み込まない限り、間違いなく、韓国のカジノと同じように、自国民利用可のカジノの6分の1以下の売上、入場者数しか見込めなくなるでしょう。

「自国民が利用できるカジノは集客には成功するかもしれませんが、儲けは外国企業に行きますから、地域経済の活性化になど、まるっきり貢献しないでしょう。

「地域経済活性化どころか人口は減り続け、博打に負けた人たちが街の周辺をうろつき、すさんだ街になってしまいます。韓国カジノは、日本の将来を先取りして見せてくれているかのようです。

そこから学ばず、豪華で派手できらびやかなカジノの外観部分にしか目がいかないとしたら、非常に愚かなことです。

 

最後に

「カジノ解禁は時間の問題」であるかのような雰囲気が作られつつあるようです。

国民間のきちんとした議論を経た結論ならいいのですが、「カジノ解禁ありき」で話が進んで行ってしまうことには大きな違和感を覚えます。

こちらでは、一応、賛成意見、反対意見の両方の側面から考えてみました。両方を客観的に述べるように努めるつもりでしたが、言葉の端々に私自身の考え方も出てしまったかもしれません。

ただ、それも含めて、議論のための材料にしてもらえれば、意見を出した意義があったと言えるだろうと思います。

こちらで書きましたが、賛成意見は基本的にすべて「お金」に集約されます。

それに対して、反対意見の要素は「お金には換えられないもの」「お金にしてしまったら取り返しがつかないもの」です。

あるいは、経済学用語で「外部効果(外部不経済)」と呼ばれるようなこともあるかもしれませんが、いずれにしてもお金にしてしまったら取り返しがつきません。

つまり、カジノを解禁すべきかどうかの論点は、突き詰めて行けば「お金を優先させるか、お金に換えがたいもの(治安など)を優先させるか」ということになるのでしょう。

賛成派の人の中には「日本のチャレンジ精神が試される」などと言う人もいますが、それとて、お金を儲けるためのチャレンジですし、そもそも「害がある」と最初からわかっていることをやるのが「チャレンジ」だとは思えません。

皮肉なことに、カジノを解禁すること自体がギャンブルだと言えるのかもしれません。「おそらく儲かるはずだ」と踏んで、カジノ解禁という「目」に賭けるかどうかです。結果的に儲かるかもしれません。

ただし、その代償も小さくないでしょう。しかも、その代償はお金では元に戻すことはできません。それでも「おそらく儲かるはずだ」という「目」に賭けるかどうか。それを判断するのは、ごく一部の政治家、官僚ではなく、私たち国民でなければなりません。

ぜひ、多くの人にカジノ解禁とはどういうことかを理解していただき、議論を深めていってほしいと思います。

 

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました