12/6 ③初心者でも実践できる 競馬予想の教科書

2⃣

馬券が当たらない人の半分以上がハマっている悪循環

本当に稼ぎたいなら、狙う選択肢はこの1つだけ。

ここからは、実際にどの馬券を狙うことが競馬において「最適解」となるのかを説明していきたいと思います。馬券がなかなか当たらない人の約6割が、このパターンに陥っていると言えます。

馬券が当たらないことには、投資金額や配当金額のことをいくら考えても意味がないですので、まずは、当てることに注目していきましょう。

馬券が当たらない原因は、JRAの中央競馬の歴史とともにあるといえます。

2002年から2004年にかけて、中央競馬において、とても大きな変革がありました。それが、「3連系馬券」の登場です。

3連系馬券の一つ、3連複の正式名称は、「馬番号三連勝複式勝馬投票法」。2002年に登場しました。3連複は、1着、2着、3着となる馬の組み合わせを的中させる馬券です。着順通りでなくてもよいので、馬を選びやすく(=買いやすく)、単勝や馬連などの馬券に比べても高配当を期待できることから、登場以来、人気のある馬券といえます。

競馬を始めたばかり人でも、3着以内でいいならば・・(当てられるかも)と考えがちなので、初心者にもベテランにも、非常に購入しやすい馬券だといえます。

さらに、中央競馬では、2004年より「3連単」の発売もスタート(当初は後半4レース限定でした)。2008年からは、全レースで「3連単」の発売を開始しました。

3連単馬券は、3連複よりもさらに高配当が期待できることから、こちらも発売開始直後から非常に人気のある馬券といえます。

3連複と3連単の馬券が、実際にどのくらいの人気があるのか。実際の売り上げデータで比較してみましょう。

■日本ダービーにおける「馬券別」売り上げ比率(2018年度)

1位 3連単 37.1%

1位3連単44.3%

2位 3連複 19.5%

3位 馬連   16.3%

4位 単勝    6.3%

4位 馬単  6.3%

6位 ワイド 6.2%

7位 複勝    4.9%

8位 枠連    3.4%

3連系2つの馬券が上位を占め、売り上げの半分以上(全体の約56%)を占めています。データをもう一つご紹介します。

■ジャパンカップにおける「馬券別」売り上げ比率(2018年度)

1位 3連単  44.3%

2位 3連複  16.9%

3位 馬連    11.3%

4位 馬単     7.3%

5位 ワイド  6.1%

6位 複勝     6.0%

7位 単勝     5.8%

8位 枠連     2.3%

こちらのジャパンカップに至っては、3連複と3連単だけで全体の売り上げの6割以上を占めています。4位以降の馬券は順位に変動があるものの、上位の2つは、やはり3連系馬券となっています。そして、この傾向は特定のレースだけのものではなく、年間のレース全体をみても同様です。

■「馬券別」売り上げ比率(天和元年・JRA事業報告書より抜粋)

1位 3連単  31.0%

2位 3連複  20.5%

3位 馬連    13.8%

4位 複勝     8.8%

5位 ワイド  8.8%

6位 馬単     6.4%

7位 単勝      6.4%

8位 枠連     2.9%

9位 WINS 1.2%

【参考】JRA事業報告書(元和元年度)https://www.jra.go.jp/company/about/financial/pdf/houkoku01.pdf

3連複と3連単の馬券を合わせると、51.5%。

じつに馬券を買う半分以上の人が、3連系の馬券を購入していることになります。

3連複や3連単の人気が高い理由としては、(難易度は高いものの)「配当が大きい」ことが第一に考えられます。また、難易度が高ければ高いほど、的中したときの達成感や幸福感が大きいことなども、人気の理由の一つになっているかもしれません。

友人や競馬仲間に自慢するときに、「複勝を当ててさぁ」とはなかなか言わないと思います。やはり、「3連単を当ててさぁ」と自慢して、「すごい!」と言われたいと思うのが、人間の心理というものです。

3連複や3連単の人気が高いということは、それだけ、「ハマっている人が多い」ということを意味しています。そして、3連系の馬券にハマっている人に共通することがあります。

それは、購入点数(買い目)が圧倒的に増えることです。3連系の馬券を買うとなると、気付けば20点買い、30点買い程度は当たり前。3連単ともなると、50点、100点と買う人も少なくありませ

3連系は当たれば配当が高いので、多くの点数を買ってもすぐに取り戻せるという思考になり、あっという間に買い目が増えてしまいます。

3連系を買っている人の頭の中には、このとき、次のような魔法の言葉が駆け巡っています。

「当たれば…」

「当たれば」購入点数がこれぐらい多くても充分儲かる。「当たれば」これまでの負け分を一気に取り返せる。

すべては、「当たれば…」という何も根拠のない思いが出発点になっています。

当たり前のことですが、馬券で「稼ぐ」ためには、馬券を「当てる」必要があります。3連系で一気に稼ぎたい気持ちは百も承知ですが、まずは、「当てる」ことを優先させていきましょう。

買い目を増やす=馬券が当たるわけではありません。あくまでも、予想が当たる=馬券が当たるわけです。

馬券が当たらない限りは、100点買おうが200点買おうが300点買おうが400点買おうが、馬券は紙くずになってしまうわけですから、まずは、「当てる」ことを第一に考えましょう。できるだけ少ない投資で、できるだけシンプルに「当てる」ことを考える。

考えるのはそこからです。

結論から言ってしまえば、自分の思いや雰囲気に流されずに、とにかく、当たりやすい馬券を買うこと、これしかありません。そこで、もう一度、先ほどの馬券別の売上データをご覧ください。

■「馬券別」売り上げ比率(元和元年・JRA事業報告書より抜粋)

1位 3連単  31.0%

2位 3連複  20.5%

3位 馬連    13.8%

4位 複勝      8.8%

5位 ワイド   8.8%

6位 馬単      6.4%

7位 単勝      6.4%

8位 枠連      2.9%

※WIN5は馬券形式が大きく異なるので、ここでは除いています。

WIN5を除く8種類の馬券について、的中確率の面から掘り下げていきます。

 

16頭が出走した場合(16頭立て)の各馬券の「的中確率」について

16頭が出走するレース(1枠に2頭ずつ、8枠構成)でそれぞれの馬券の的中確率を考えてみましょう。

■単勝(売り上げ順位6位) 

16通り 

的中確率6.25%(16分の1)

1着のみが的中となるのが単勝馬券です。シンプルな馬券ですが、出走馬の実力が拮抗しているときは的中させるのが難しく、その反対に実力差があり過ぎると、オッズの旨みがない(強い馬は、1倍台などオッズも低くなる)といったケースも多々あります。

■複勝(売り上げ順位4位)

16通り

的中確率18.75%(16分の3)

複勝馬券は、8つの馬券の中で最も的中確率が高い馬券です。選んだ競走馬が、1~3着以内に入れば的中ですが、当たりやすい馬券だけに、配当は低くなります。人気上位馬であれば、当たっても1.1倍、ときには1.0倍(元返し)というのもザラにあるのが複勝馬券です。

■枠連(売り上げ順位8位)

36通り

的中確率2.78%(36分の1)

枠に入った馬(16頭立ての場合だと、1枠に2頭ずつ配置)が1、2者になれば的中となる馬券です。(注意8頭以下だと発売されません)単勝や複勝と比べて、的中率は下がりますが、「枠」単位の馬券なので、狙っていた馬が仮に外れても同枠に入った馬が1、2着になれば的中になるという一種の「保険」が通用する点が、他の馬券とは大きく異なります。

■馬連(売り上げ準備3位)

120通り

的中確率0.83%(120分の1)

1着と2着になる馬を予想するのですから、シンプルでわかりやすい馬券だと言えます。着順は関係なく、とにかく選んだ2頭が1着、2着に入れば的中となるわけですから、イメージ的には当てやすい馬券に映りますが、的中率は1%を切っており、1点で的中させることはなかなか難しい馬券です。

■馬単(売り上げ6位)

240通り

一的中確率0.42%(240分の1)

先ほどの馬連と同じく、選んだ2頭が1着、2着となれば的中ですが、着順通りに的中させなければいけないので、難易度は馬連よりも2倍難しくなります。馬連同様、1点での的中はかなり難しいでしょう。

■ワイド(売り上げ4位)

120通り

的中確率2.5%(120分の3)

予想した馬2頭が、1着から3着までに入れば的中となる馬券です。単勝、複勝を除いた、いわゆる「組み合わせ馬券」の中では、もっとも的中しやすい馬券です。

■3連複(売り上げ2位)

560通り

的中確率0.18%(560分の1)

選んだ3頭が1着から3着に入れば的中となる馬券です。3着までに入る馬を着順に関係なく予想すればいいので、意外に当たりそうな雰囲気もありますが、的中確率は0.18%と極めて低く、複数の買い目でやっと当たるというのが現実です。

■3連単(売り上げ1位)

3360通り

的中確率0.03%(3360分の1)

種類別の馬券売り上げでは見事1位になっている3連単馬券ですが、的中確率だけをみると、気が遠くなるほど的中確率が低い(0.03%)馬券であることがわかるかと思います。

余談になりますが、0.03%というのは、自分が誰かに殺される確率と同じだそうです。これを聞いただけでも、3連単馬券の的中率がいかに低い確率であることがわかるかと思います。

以上が、各馬券の的中確率です。馬券を的中確率順(高い順)に馬券を並べてみると、次のようになります。

■「馬券別」的中確率の順位

1位 複勝   18.75%(売り上げ4位)

2位 単勝     6.25%(売り上げ6位)

3位 枠連     2.78%(売り上げ8位)

4位 ワイド  2.50%(売り上げ4位)

5位 馬連     0.83%(売り上げ3位)

6位 馬単     0.42%(売り上げ6位)

7位 3連複   0.18%(売り上げ2位)

8位 3連単   0.03%(売り上げ1位)

このような順位になります。

ここでもう一度、この第2章の冒頭で話した内容を思い出してください。馬券が当たらない原因は、JRAの中央競馬の歴史にあると述べました。

7位と8位をみてください。的中率では、他の馬券と比べて圧倒的に確率が低く、最下位争いをしている3連系の2つの馬券が、売り上げベースでは1位、2位と3位以下を大きく引き離しているのです。

つまり、現在の日本競馬(中央競馬)において、競馬をやっている多くの人が、最も当たりにくい馬券を、最も積極的に購入しているのです。

(2002年に)3連系馬券を導入したJRAにとってみれば、狙い通りの展開と言えるでしょう。もちろん、JRA側からしてみれば、どの種類の馬券が売れたとしても、その全てがJRAの売り上げに繋がるわけですから、馬券の種類は関係ないと言えば関係ありません。

しかしながら、3連系馬券が(的中率が極めて低いにもかかわらず)他の種類の馬券よりも売れているということは、それだけ、競馬にハマっている人が多いことを意味しています。JRAの目的は・・・

そうです。1⃣でも触れた通り、「競馬をやる人をいかに増やしていくか」ですから、3連系の馬券が売れるということは、自分たちの目的を達成するうえで非常に理想的な展開であり、JRA(団体)としての事業活動が順調であることを証明しているのです。

そういった状況を理解した上で、さらに、掘り下げます。次に、馬券の種類別の「平均配当」を見ていきます。

■「馬券別」平均配当について    ()内は的中確率

単勝 1,030円(6.5%)

複勝 340円(18.75%)

枠連 2,020円(2.78%)

ワイド 1,980円(2.50%)

馬連 5,860円(0.83%)

馬単 11,810円(0.42%)

3連複 23,350円(0.18%)

3連単 152,120円(0.03%)

それそれ、このような平均配当額になります。馬単馬券と3連系の馬券は、1万円を超えていずれも高配当になりますが、だからといって的中確率を無視するわけにはいきません。投資競馬で重要なのはあくまでも「的中率」と「回収率」のバランスです。

以上のような状況・データを認識したうえで、どの種類の馬券を狙っていけばよいのか?答えは一つです。

それは、「ワイド馬券」です。

■ワイド馬券

的中確率 2.5%(16頭立ての場合)

平均配当 1,980円

売り上げ順位 4位

的中確率 4位

それには、いくつか理由があります。

  • 理由その1リスクを最小限に抑えられる

「投資競馬」においては、一か八かの馬券購入は行いません。できる限りリスクを抑えた上で、最も狙いやすい馬券を購入し、最も効率よく利益が出せる手段で馬券を購入していきます。

前出の趣味競馬であれば、3連系の馬券や、馬連、馬単など、高配当を求めて、資金をつぎ込んで勝負を挑むこともありですが、投資競馬においては、それはナシです。

投資競馬では、あくまでもバランスを重視します。的中率と回収率、その両方をみながら馬券購入します。

ここで、すごく当たり前のことを言います。

「資金がなくなってしまえば、勝負は終わってしまいます」

潤沢な資金があって、いくら負けようがまったく問題ないという方であれば、何も考えずに無計画に馬券購入を進めてもよいでしょう。しかし、そうでない人が大半だと思います。

ですので、しっかりと考えて、計画的に進めましょう。リスクを抑えること。競馬で勝つためには必要不可欠な要素です。

そこそこの的中確率と、そこそこの配当金額を兼ね備え、8種類の馬券の中で最も(的中率と回収率の)バランスが良く期待できるのがワイド馬券だといえます。

なかには、先ほどの順位をみたときに、「枠連」馬券の方が的中確率も高いし、平均配当も高いから、バランスが良いのでは?と感じる方もいるかもしれません。

確かに枠連馬券は、ワイド馬券よりも、的中確率が0.28%だけ高く、平均配当金額も40円ほど高い傾向があります。その2つの要素だけをみれば、枠連馬券がベターな馬券となりますが、しかし、ワイド馬券には枠連馬券にはない特長があります。それが次に挙げる、理由その2です。

ワイド馬券を選ぶ理由

  • 理由その2無駄な馬券が少ない

それは、購入した「複数の馬券」が的中対象となる可能性があるからです。仮に、3つの異なる馬券を購入したときでも、そのすべてが的中になる場合があるからです。

例:ワイド馬券「12」「1-3」「2-3」を購入し、結果:1着に1番の馬、2着に2番の馬、3着に3番の馬が入った場合、3つの馬券すべてが的中となる。

これは、ワイド馬券ならでは特長といえます。

複勝馬券も同じような特長を持っていますが、複勝馬券の平均配当額は340円であり、ワイド馬券の平均配当額(1,980円)の約6分の1に過ぎないわけですから、購入対象としては旨味がありません。

馬券を購入したことがある方ならわかると思いますが、馬券を「1点買い」で的中させることは、かなり難しい作業になります。単勝馬券であってもです。

1点買いでも確実に的中できるだけの予想スキルがあれば話は別ですが、常識的に考えても、1点買いでの馬券購入は的中させるのが難しく、継続的に利益を出していくという(投資競馬の)目的からは適さない手法です。

(各レースの状況、出走馬にもよりますが)やはり、2~3点程度は馬券を購入することをあらかじめ想定しておく必要があります。その際にワイド馬券であれば、1点目の馬券以外は紙くず・・となることを防ぐことができます。

2点目、3点目を購入したとしても、それらの馬券も合わせて的中となる可能性を残せるのです。これが、ワイド馬券ならではの利点であり、私が購入する馬券としてワイド馬券を中心に選んでいる理由です。

ワイド馬券は、3連複、3連単、馬単などよりも的中させやすく、単勝や複勝よりも高い配当が期待できる。

3連単や馬単のように、着順通りでなくてもいい。さらには、馬連、馬単、枠連のように、2着以内でなくてもいい。

3連系の馬券の場合、2頭までは買えたけど、残りの1頭が抜けた、といったケースが多々あります。また、馬連や枠連の場合、狙った2頭が、1着と3着、または、2着と3着で、惜しくも外れたということもよくあります。

そういった状況をクリアし、的中率・回収率ともにバランスよく狙える可能性が高いのがワイド馬券なのです。

配当が安いから、地味だからと、ワイド馬券を毛嫌いする前に、ワイド馬券のバランスの良さに目を向けましょう。最終的に勝つことがもっとも重要なのですから、派手さや話題性は二の次にしておくべきです。

 

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