12/9 ④初心者でも実践できる 競馬予想の教科書

3⃣

人気馬に従う時と、人気馬に逆らう時

購入する馬券の種類がワイド馬券と決まったら、続いて、どのように馬を選んでいくかについてご説明します。

  • 上位人気馬の傾向を見定める。

長年競馬をやっている人でも、意外に知らない方が多いのですが、中央競馬において、単勝1番人気から3番人気までの馬が3着以内に絡む確率は、90%程度あります。

じつはこの確率は、昔も今もほとんど変わっていません。どの年の競走データの統計を取っても、おおよそ90%~93%前後の確率で推移していると思います。

ですので、ワイド馬券を購入するうえで(というか、他の馬券を購入するときもですが・・・)、1番人気から3番人気の馬をすべて外すという行為は、非常にリスクを取ることを意味します。

この取捨選択には、自分の思いや感情を盛り込んではいけません。ただ、機械的かつルール的に「1番人気から3番人気の馬」を最低1頭は馬券に絡めるだけでよいのです。

オッズが低いという理由で、人気上位馬を嫌ってしまって馬券を買う方が非常に多いですが、ここは人気馬に逆らわずに、素直に馬券の対象として組み込むことを考えましょう。

人気上位馬3頭すべてを馬券に絡めないことは、(馬券的中)確率的には10%にも満たないとても非効率な行いだと認識しておいていただければと思います。

  • 上位人気馬3頭の中から軸となる馬を選ぶ。

上位人気馬3頭の馬券的な重要性は充分に理解いただけたかと思います。次にあなたが行うことは、その3頭の中からワイド馬券を購入するうえで軸となる馬を選ぶことです。

その選択基準として利用するのは、次の項目(ファクター)です。

投資競馬において、利用する項目(ファクター)は、【上がり3ハロン】です。

馬を選ぶ際の最重要項目として、これを用います。

  • 上がり3ハロンとは…

「上がり3ハロン」とは、レースの残り600mからゴールに達するまでに要したタイムのことを指します。

1ハロンは200mですので(計600mで)「上がり3ハロン」と呼ばれています。表記としては、ハロン「F」で表記され、競馬新聞や競馬場の掲示板などにも「3F」と表示されています。

重要なのは、「馬ごとの上がり3ハロンタイム」です。

上がり3ハロンには、「レース全体の上がり3ハロン」と、「馬ごとの上がり3ハロン」があります。

「レース全体の上がり3ハロン」とは、レースで先頭の馬が残り600mを通過してから1着の馬がゴールするまでのタイムを指します。一方で、「馬ごとの上がり3ハロン」とは、それぞれの馬が残り600mを通過してゴールするまでに要したタイムを指します。

投資競馬の予想で重視するのは、もちろん「馬ごとの上がり3ハロン」の方です。

余談ですが、そもそも、なぜ競馬新聞や競馬場の掲示板には、この上がり3ハロン(3F)のタイムが表示されているのでしょうか?

それは、馬の能力を判断するための「共通の判断材料」として、この上がり3ハロンが適しているからだと判断できます。

競走馬が全力で走ることができる時間は約40秒と言われており、「上がり3Fのタイム」=「その馬の全力での走破能力」と捉えることができます。

つまり、上がり3ハロンのタイムが速い馬は、走る能力が高い馬、すなわち、強い馬となるわけです。あくまでも強さを示す「目安」であり、絶対的な指標ではありませんが、競走馬という動物の能力を判断するものとしては有効だと思います。

「馬の能力を判断する材料としては、コースの走破タイムや通算の着順成績など、上がり3ハロン以外にも様々ありますが、コースの長さや馬の特性などに関係なく、「共通の判断材料」として使える、この「上がり3ハロン」があちこちで使われているわけです。

なお、レース終了後(確定後)には、着順や走破タイムとともに、各馬の上がり3ハロンタイムも正式に掲載されますので、このデータを元に次のレースの予想を組み立てていきます。

  • なぜ、「上がり3ハロン」を重視するのか。

競走馬に関する情報がたくさんある中で、なぜ「上がり3ハロン」を重視するのか。

その理由には、中央競馬の主催者であるJRAの方向性が関係しています。

日本の競馬、とりわけJRAが主催する中央競馬においては、競走馬の「スピード(速さ)」に重きが置かれています。

記憶に新しいところでは、2018年のジャパンカップ(GIレース)で、「アーモンドアイ」がたたき出した2400mの世界レコード「2分20秒6」が、まさに日本競馬(中央競馬)のスピード競馬を象徴しているといえるでしょう。

それまでの2400mの世界記録は、2分21秒98(1999年・サンイシドロ競馬場・アシデロ)ですから、その記録を一気に1.3秒も上回る驚愕のタイムを、日本の3歳牝馬がたたき出したことになります。

アーモンドアイがたたき出したこのタイムは、日本国内はもちろん、世界中の競馬関係者にも衝撃を与えました。

しかしながら、アーモンドアイの強さを賞賛する一方で、そのタイムがあまりにも速かったために、馬の故障を心配する声や、スピードが出過ぎるというJRAのコース設計の在り方に対して、疑問や批判的な意見も挙がる結果になりました。

普段競馬をやらない人でも名前は知っているであろう、日本のトップジョッキーのあの騎手でさえも、過去に自身の公式ホームページのなかで、東京競馬場の芝コンディションについて「時計の速さは異常」とコメントしたことがあります。

通常であれば、芝が荒れてタイムが落ちる傾向のある開催終盤を迎えたコースでも、レコードクラスの時計が連発したことに対しても、「過去にも例がない気がします」と、あまりにもスピード重視に偏り過ぎているJRAのコース設計を危惧していました。

コース設計の方向性が良いか悪いかの判断は別として、世界的にみても、JRAが主催している中央競馬の芝コースは、スピード重視であり、上がり3ハロンのタイムが結果にも大きく関係しているのです。

  • どのデータを活用するか

日本の(JRAの)競馬の結果には、上がり3ハロン(のタイム)が大きく影響を及ぼすことはわかった。

とはいえ、レース前に、そのレースにおいて、どの馬が(上がり3ハロンが)速いのかは、誰も知ることはできません。あくまでも、馬券を購入する段階では、レースにおける各馬の3ハロンタイムを「推測する」しかないのです。

私も以前、出走馬の過去のレースを参考にしながら、今回のレースの上がり3ハロンのタイムがどのくらいになるのかをシミュレーションしたことがありますが、1頭2頭ならまだしも、18頭など全頭の分析となると、とにかく多大な時間を要します。

さらに、それぞれのレースは、馬場状態やレース展開、他の出走馬との力関係などによって状況や状態がまったく違ってくるので、単純に上がり3ハロンのタイムだけを比べても意味はなく、タイムを補正したり調整したりする必要も出てきます。

上がり3ハロンのタイムが重要な項目であることは間違いないのですが、この項目を馬券予想に利用するためには、多大な手間と時間がかかってしまうのが現実なのです。

そこで、推定タイムとして「3ハロンのタイム」を提供している媒体を一つご紹介します。

それは、「ハイブリッド新聞」という媒体です。http://blog.cyber-mm.jp/

「ハイブリッド新聞」が提供している「推定(後半)上がり3ハロン」というデータを利用することで、自分で分析・集計する時間や手間を省略し、競馬予想を効率的におこなっていきます。

ハイブリッド新聞では、2種類の(推定)3ハロンデータを掲載しています。

一つは、今まで話してきた、レースの残り600mからゴールに達するまでに要したタイム、「(推定)後半3ハロン」です。そして、もう一つは、スタートから600mに達するまでに要したタイム、「(推定)前半3ハロン」です。

推定「前半」3ハロンのデータも、レースの種類によっては機能しますが、本書で重視しているのは、(推定)「後半」3ハロンのデータです。

もちろん、ハイブリッド新聞が掲載している3ハロンタイムも、あくまでも「推定」のものであり、実際のレース結果における上がり3ハロンのタイムとはズレが生じることもあります。

しかし、同じように3ハロンタイムを推測して取り扱っている他の媒体と比べると、データ量も豊富で活用しやすいことから、総合的に判断して、本書ではこのハイブリッド新聞の情報を利用することにしています。

もし、既にあなたがどこかの媒体(情報)を利用していて、そこにも同じような上がり3ハロンデータが掲載されているならば、そちらのデータを利用しても構いません。

ハイブリッド新聞のデータしか利用してはいけない、という意味ではないので、本書が推奨する媒体の一つとして「ハイブリッド新聞」というものがあるということを把握していただければと思います。

  • 上がり3ハロンを基準に決める

上位人気馬3頭の中で、ハイブリッド新聞が提示している推定後半3ハロンが最も速い馬を軸馬に定めます。シンプルですが、軸馬の決め方はこれだけでOKです。

また、相手馬についても、原則、推定後半3ハロンタイム上位の馬が対象となります。推定後半3ハロンタイム1位~3位までの馬が、相手の第一候補です。次点は、4位、5位の馬となります。(軸馬となった馬は除く)

相手馬を選ぶ基準としては、原則、推定後半3ハロンタイム1位が最有力となり、5位の馬が最下位となります。ただし、順位だけで決めるのではなく、オッズとの関連性をみます。

具体的には、推定後半3ハロンの順位と、馬券の売れている順位(人気)とのギャップ(差)がより大きい馬を優先的に相手として選んでください。

例えば、推定後半3ハロンタイムの順位が2位で、馬券の人気も2位の馬と、推定後半3ハロンタイムの順位が3位で、馬券の人気が7位の馬がいた場合は、後者の馬を優位に取ります。

もちろん、推定後半3ハロンタイムがより上位で、馬券の人気がより下位の馬の方が、馬券的妙味はアリといえます。

このあたりの選択は一概には言えないのですが、馬の競走能力(予想)がほぼ互角と判断できる場合は、より回収率が期待できる馬の方を優位に取っていきます。

あくまでも確率ですので、どのレースにおいても、必ずしもそうなるとはなりません。競馬が不確定要素を持っている以上、常により高い回収率を狙っていくことが馬券購入における最善手となります。

また、取捨選択の判断が難しいときには、無理に馬券を購入せずに、見送ることも重要です。例えば、推定後半3ハロンタイムの順位が2位~5位の馬のタイム差がそれぞれ0.1秒程度しかなく、しかも、馬券の人気も2位~5位程度で単勝オッズも拮抗しているときなどです。

可能性がある馬すべてをワイド馬券の相手として(この場合では4点)馬券購入するという選択肢もありますが、無理にそういったレースに投票するのではなく、見送るという判断を下すことも重要となってきます。(レースそのものの取捨選択については、次でご説明します)

以上が馬の選び方となりますが、馬を選ぶ際に1点だけ注意していただきたいことがあります。

それは、対象となる馬に乗る騎手についてです。先ほどの基準で選んだ馬に乗る騎手が次の2つに当てはまるような場合は、馬券対象から除くこととします。

  • 該当馬に騎乗する騎手の複勝率が、2割2分(220)に満たない場合
  • 該当馬に騎乗する騎手が、その馬に騎乗するのが初めての場合

投資競馬においては、事前に排除できるリスクは極力取り除いた上で臨みます。それは、軸馬に対しても相手馬に対しても同様です。

この2つのどちらかに該当した場合は、単勝オッズ1倍台の人気馬であっても逆らって、馬券購入の対象外としています。

一般的に、競馬のレースにおいて、馬の能力が及ぼす影響度は「7」、騎手の能力が及ぼす影響度は「3」と言われていますが、この2つに当てはまる場合は、騎手の能力が(よりマイナスに)影響すると判断し、馬券購入は控えることとしています。

補足として。

各騎手の複勝率については、ネットで検索すればすぐに調べられますので、参考にしてみてください。

馬の選び方、そして、騎手による判断基準を示しました。あともう一つ、重要なポイントがあります。

それは、レースの選別です。JRAが主催している中央競馬は、1日に2~3つの競馬場で、計24~36レース実施されることがほとんどです。それらのレースすべてを投資対象としていたら、いくら資金があっても足りません。

そこで、どのレースを投資対象とするのか?どのレースを狙うことが最も投資効率が良いのか?

いくつかの基準を設けて、レースを選択していきます。そのルールを次でご説明します。

 

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