4⃣
レースの取捨選択が勝負の分かれ目
3⃣で示した予想の軸となる項目「後半上がり3ハロン」のデータの最大効果を狙うためには、投資するレースの取捨選択が欠かせません。そこで本書では、次のようなルールを提案します。
それぞれ補足しながらご紹介していきます。
レースを取捨選択するためのルール(目安)
- 1500m以下の距離のレースには投票しない。
距離の短いレースの場合、スタートを出てすぐのスピードの速さ(競馬用語でテンの速さ)を活かして、そのままゴールまで押し切ってしまうパターンが頻繁に発生するので、本書で予想の軸としている(推定)後半3ハロンデータが活かし切れないという判断で、馬券購入の対象外としてい
ます。
- ダートのレースには投票しない。
ダートのレースは、芝のレースと比べると、馬ごとの3ハロンのタイムの差が少なく(出にくく)、推定後半3ハロンデータを最大限に生かし切れないという判断で、馬券購入の対象外としています。
- 障害レースには投票しない。
障害レースは、馬の走力(スピード)だけでなく、障害を飛越する馬の能力や、馬を操る騎手(障害レース専門の騎手がいます)の力量によって、結果が大きく左右されます。馬ごとの3ハロンタイムだけでの判断が困難なため、馬券購入の対象外としています。
- 新馬戦には投票しない。
新馬戦は、その馬にとって初めてのレースであり、スタートの出遅れや、道中のイレ込み、最後の直線での斜行(斜めに走ること)など、不確定な事象が最も起こりやすいレースとも言えます。また、競走データがない中での推定後半3ハロンタイムとなるため、予想(的中)効率が悪く、馬券購入の対象外としています。
- ハンデレースには投票しない。
ハンデレースは、騎手の斤量に違いを設けることによって、各馬の競走能力の違いを均等化し、すべての馬が一直線に並んでゴールすることを目標として(想定して)行われるレースです。ですので、他のレースに比べて、推定後半3ハロンタイムの影響が出にくいレースだと言えます。
接戦となるケースが多く、趣味競馬としては楽しめますが、投資競馬的にはメリットが少ないため、馬券購入の対象外としています。
- 馬場状態が「重」または「不良」のレースには投票しない。
馬場状態が重または不良のレースの場合、レース全体のタイムはもちろん、馬ごとの3ハロンタイムも大きく下がります。馬によって、馬場に対する適性(重馬場が得意な馬などもいます)が異なるため、推定後半上がり3ハロンタイムによる予想が難しくなり、判断が困難になるため、馬券購入の対象外としています。
以上6つのルールをふまえていきます。なお、この6つはあくまでも基準であり、目安です。
これ以外にも自分なりのルールを付加しても構いませんし、その反対に、6つのルールの中のどれかを削ってしまっても構いません。どのルールを設定することがもっとも効率が高くなるのかは、年によっても変動しますし、今後のJRAの動きによっても変わってきます。
たとえば、現在のJRAは、スピード重視(=上がり3ハロン重視)のコース整備・レイアウトを行っていますが、JRA自体の方針が、スピード重視ではなくスタミナ重視に変わった場合、当然、このルール設定自体も変えていく必要があります。
一概にこのルールだけでずっとOKという判断は難しく、実践をしながら柔軟にルールのメンテナンスを行う習慣を身に付けておくことが、継続的に投資競馬をやっていくためには必要かと思います。
もし、具体的にどんなルールを設ければよいのかわからないという場合は、初めのうちは、本書で示した6つのルールの内容をそのまま利用してください。
投資競馬を続けることで、徐々に自分なりのレースの見方や判断力が培ってくると思いますので、その際には、柔軟にルール内容を見直し、メンテナンスすることを目指していただければと思います。
JRAの取り組みが変わったり、競走馬自体のスピード能力が高くなるとともに、あなた自身の競馬予想スタイルやルール設定も少しずつ変化(進化)していくことが理想です。
5⃣
軸馬・相手馬の決め方(除外するパターン含む)、レースの選び方がわかったら、次は実際に馬券の購入です。馬券の購入の仕方としては次の手法を推奨します。
リスクを抑えた効率型馬券購入方法
「分散投資+転がし」
- 分散投資について
分散投資とは、手持ちの投資金額(軍資金)を分散して、いくつかのものに投資する手法のことです。
1つ(1回)のものに投資してしまうと、なんらかの理由で投資対象の価値が下落した場合、投資資金がほとんどなくなってしまうので、そうしたリスクを軽減するために行われる投資手法のことです。
運用に関する有名な言葉として、「卵を1つのかごに盛るな」というものがあります。
すべての卵を1つのカゴに入れておいた場合、もし何らかの理由でカゴが落ちてしまえばすべての卵が割れてしまいます。しかし、複数のカゴに分けて入れておけば、仮に1つのカゴを落としてしまっても、卵全部が割れてしまうことはありません。
つまり、投資の対象を複数に分けておくことで、仮にそのうちの1つが失敗しても、他のもので挽回することができ、全体のリスクを下げておくことができるかもしれません。
これが「分散投資によるリスク軽減」という考え方です。馬券購入においても、この分散投資の考え方を参考にして馬券購入を組み立てていきます。
- 資金額について
推奨する月々の資金額としては、最低で1万円、最高では30万円程度です。1万円よりも少ない資金になってしまうと、分散したときの1回当たりの賭け金が安くなってしまうため、資産を増やしていくのが難しくなってしまいます。
また、資金が30万円よりも多くなってくると、(特に競馬初心者の方は)余計なプレッシャーがかかり、冷静な判断ができなくなってしまう可能性があります。
おすすめの資金額としては、10万円~20万円ですが、各自無理のない範囲で、自分の資金額を定めていただければと思います。1ヵ月の資金額を20万円として説明していますので、各自それぞれの資金額に換算して参考にしてください。
- 分散について
分散について、本書では次の設定を基準とします。
・所持金を「20分割」したものを、1回の賭け金とします。
つまり、資金20万円の場合、1回の賭け金は、1万円となります。
1回につき1万円の購入を、20回繰り返せるわけですが、この20回はあくまでも1ヵ月間での回数であり、1日のうちに購入する回数としての設定ではありませんのでお間違いなく。
なお、20分割するのは、競馬予想は100%当たるものではないという前提のうえに設定しています。重要なのは、的中する前提で考えるのではなく、「的中しない」(ことが続く)前提で競馬を考えることが重要です。
※巻末の「競馬法について」を必ずお読みください。
- 「転がし」について
馬券の買い方の一つで、あるレースで的中した払戻金を、そのまま次の(別の)レースの馬券購入資金にして賭ける方法です。さらに的中したら、また次のレースに…というように、雪だるまを転がすように賭けていく買い方から、このように呼ばれています。
メリットとしては、少ない資金でも大きな金額を得る可能性があること。また、失敗しても最初に購入した馬券の金額のみを失うだけなので、通常の買い方に比べてリスクが低いことです。デメリットとしては、予想が一度でも外れてしまうと成立しないことです。
理論上は(あくまで理論上ですが)、転がし続ければ、飛躍的にお金は増えていくことになります。
転がし続けるということは、イコール「的中し続ける」ということですので、2回、3回程度は運良く転がせたとしても、5回、6回と続けて転がすとなると、実現性は非常に難しくなります。
- 転がす回数について
目的はあくまでも「継続的に」利益を出すことですので、無理な転がしはそもそも実行しません。推奨する転がし回数の基準としては、(特別な理由がない限り)
・原則、転がすのは「1回」までと定めます。
最初の馬券購入で的中したら、その払戻金をそのまま(全額)次の購入へ(転がし1回目)。次の購入で的中したら、その時点で終了となります。その次(転がし2回目)は目指さずに、ここで「利益」を確定とさせます。
- 狙う馬券のオッズについて
先に挙げた分散投資のところで、20分割することをお伝えしました。所持金(軍資金)が20万円の場合は、1回当たりの賭け金は、1万円となります。
最初に購入するワイド馬券のオッズの目安は、4.5倍以上です。また、そのワイド馬券が的中して、転がしをするときも、次に購入するワイド馬券のオッズは、4.5倍以上のものを目安とします。
所持金(軍資金)20万円
最初のワイド馬券購入:1万円×4.5倍
的中した場合、4万5000円の払い戻し。
次のワイド馬券購入:4万5000円×4.5倍(転がし)
的中した場合、20万2500円の払い戻し。
つまり、資金(20万円)を20分割した金額(ここでは1万円)で、
4.5倍以上のワイド馬券を購入し、転がしを1回成功(2回的中)させるだけで最初の資金(20万円)を上回ることになります。
リスクを最小限に抑えながら、早い段階で負けのない状況(投資金を回収する)を確保し、それ以降の馬券購入は、すべて利益につながる状況をつくる。
「分散投資+転がし」では、この状況を作りだすことを目指します。
補足として。
先ほどの説明では、ワイド馬券を購入する際の目安オッズとして「4.5倍以上」を掲げていましたが、このオッズは、所持金を20分割したときの資金で、2回的中すると(=1回転がすと)最初の所持金を上回る倍率として設定しているものです。
ですので、たとえば、1回目の馬券購入では、もう少し高いオッズのワイド馬券を狙い、的中した場合の次の馬券購入では、低いオッズのワイド馬券を狙って、最初の所持金を上回るという狙い方も考えられます。
例:1回目7.0倍のワイド馬券1万円購入→的中した場合7万円-2回目2.9倍のワイド馬券7万円購入→的中した場合20万3000円
といったパターンです。また、その反対に、1回目は低めのオッズのワイド馬券を購入し、的中した場合、2回目は高めのオッズを狙う、といった方法を取ることも同様です。
4.5倍以上というのは、2回の馬券購入を同率でみた場合のオッズの目安ですので、ご参考までに取り上げておきます。
いかがでしたか。
これまで漠然と競馬新聞を購入し、漠然と勝ち馬を予想し、漠然と購入金額を決め、漠然と馬券を購入していた方にとってみれば、本書の内容は敷居が高いように感じるかもしれません。
しかし、ここで改めて確認です。あなたが競馬をやる一番の目的は何ですか?
「純粋に競馬を楽しみたい。」もし、趣味競馬として取り組むならば、馬券の収支には一切目を向けないで、好きな馬や血統などに注目しながら競馬を楽しむべきだと思います。
「競馬で少しでも稼ぎたい」もし、投資競馬として取り組むならば、これまでの競馬予想や馬券購入方法に対するイメージはいったん捨てて、内容を参考により戦略的に、より投資的に競馬に取り組んでみることをオススメします。
学ぶことは「真似る」ことから始まります。
「学ぶ」(まなぶ)の語源が「まねぶ」(学ぶ)であり、「真似ぶ」(まねぶ)も同じ語源であると言われています。(諸説あります)
日本の文化として歴史を重ねている武道や芸事においては、まず、師匠から基本となる「型」を教えてもらい、その型を真似してみることから始まります。それが、学びのスタートです。
武道や芸事に限らず、仕事や技量が求められる場面でも、「先輩の動きをよく見て、真似て、(技を)盗め」などと言われます。
真似ることによって、自分以外の「型」(考え方や動き方)を感じ取ることができます。その「型」の内容と、自分が持っている考え方を混ぜ合わせることによって、さらに洗練されたオリジナルの「型」が生み出されていきます。
まずはあなた自身の馬券購入の「型」をつくることを目指していただければと思います。そうすることが予想効率をアップさせ、さらには、的中率アップ・回収率アップに繋がっていくことと思います。
競馬で勝つために重要なのは、資金力ではありません。また、情報量でもありません。
いかにJRAの運営の本質を理解し、何に重きを置いているのかを読み取り、その活動内容に着目しながら、失敗することを恐れずに競馬予想と馬券購入を展開していくことを継続できる人こそが、さらなる収入アップにたどり着けるのだと思います。
あなたの投資競馬スタイル確立に、少しでも力になることができれば嬉しく思います。
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