2/9 ②競馬予想の考え方やコツをマスターする方法

第3

“圧倒的に期待値が高い馬”と“狙い方”

前では、最も予想がしやすく、的中率の向上も見込める条件について述べましたが、こちらでは、より具体的な内容に踏み込んでいきます。

芝、ダートを問わず、逃げ・先行馬が有利であることは、統計データで実証済みですが、その中でも、“ハイペース志向”の逃げ・先行馬が、“圧倒的に期待値が高い馬”になります。

1.逃げ・先行馬が有利な理由

逃げ先行馬が有利な理由は、主に以下の4つです。

(1)状態の良い馬場を選択して走れる

(2)コースロスがなく、最短距離で走れる

(3)進路が狭くなることや芝や砂が目に入るリスクが少ない

(4)ゲートの出が早く、序盤で優位にレースを進めることができる

逃げ・先行馬の場合、後続馬が迫ってくるプレッシャーはあるものの、他の脚質に比べ、様々な面で有利なことが多いため、好走します。

2.全出走馬の競演でつくり出される“ペース”

様々な脚質の馬が競い合うことによって、ペースは決まります。

一般的に、逃げ・先行馬が多ければハイペース、差し・追込馬が多ければスローペースになりがちです。

ペース判定はレース後に行われますが、出走馬の脚質によって、おおよそのペース予想は可能です。

複数の逃げ・先行馬が積極的に前へ行った場合、後続馬も離されないように追って行くため、“ハイペース”になります。

一方、差し・追込馬が多数出走するレースでは、レース中盤までゆったりと流れることが多くなるため、ゴール前の末脚勝負になりがちです。

このようなレースでは、“スローペース”や“ミドルペース”が多い傾向にあります。

すべてのレースに当てはまるわけではないのですが、ハイペースでは差し・追込馬、スローペースでは逃げ・先行馬が有利といわれています。

3.“ハイペース志向”の逃げ・先行馬とは

一般的な逃げ・先行馬の場合、スローペースのゆったりとした流れの中、レース前半で後続馬を突き離し、ゴール前で失速しながらも逃げ切るパターンがほとんどですので、展開が向かないと勝てません。

一方、“ハイペース志向”の逃げ・先行馬は、展開不問で好走します。

スローペースでは圧勝し、ハイペースの厳しい流れでも逃げ切れるので、全幅の信頼を置ける存在です。

“圧勝的に期待値が高い馬”だけに、人気になっていることがほとんどです。

ただ、条件戦も含め、人気薄となっている場合もありますので、その馬を見逃さないようにすることがポイントです。

4.“ハイペース志向”の典型例

典型例として挙げたいのは、“レシステンシア”です。

自らがつくり出したハイペースを逃げ切るのが“勝ちパターン”で、スピードとスタミナを併せ持っています。

【ハイライト】

京都11RファンタジーS2歳OP芝1400m牝馬齢2019年11月2日(晴れ)口-良-

1着4枠6番レシステンシア6番人気

②②-①先行1分20秒7(上がり:34秒9)

2着7枠12番マジックキャッスル1番人気

⑪⑨-②差し1分20秒9(上がり:34秒6)

3着8枠14番差し1分20分9(上がり:34秒9)

~◆ペース判定:ハイペース

阪神11R阪神JF 2歳OP 芝 1600m 牝 馬齢2019年12月8日(曇り)口-良-

1着2枠4番レシステンシア4番人気

①①-①逃げ1分32秒7(上がり:35秒2)

2着5枠9番マルターズディオサ6番人気

③②-②先行1分33秒5(上がり:35秒9)

3着5枠10番クラヴァシュドール3番人気

⑧⑧-③差し1分33秒5(上がり:35秒5)

~◆ペース判定:ハイペース

阪神11R 桜花賞 3歳OP 芝 1600m 牝 定量 2020年4月12日 ロロ-重

1着5枠9番デアリングタクト2番人気

⑬⑫-①差し1分36秒1(上がり:36秒6)

2着8枠17番レシステンシア1番人気

②②-②先行1分36秒3(上がり:38秒2)

3着2枠3番スマイルカナ9番人気

①①-③逃げ1分36秒6(上がり:38秒6)

~◆ペース判定:ハイペース

ハイペースの厳しい流れでも好走できているのは、スピードだけでなく、スタミナも豊富であることの証です。

“レシステンシア”のような一流馬でなくても、似通った特性の馬を見抜ければ、プラス収支も夢ではありません。

5.“ハイペース志向”の見つけ方と狙い方

(1)見つけ方

①競馬新聞の馬柱を確認

過去の成績が掲載されている馬柱は、“紛れもない事実”のみですので、すべて有益な情報です。

②アルファベットの“H”に注目

“H”と記載されていれば、“ハイペース”。

SスローペースMミドルペースHハイペース

③道中の“位置どり”に注目

“ハイペース”のレースで、10-002-1など、好位をキープしたままゴールした馬が狙い目になります。

一般的な逃げ・先行馬とは異なり、ゴール前で失速していないのが特徴です。

特に、“ハイペース”の1400m〜1600m戦を逃げ切った馬が、“激アツ”。

~◆1200m戦の場合、ほとんどが“ハイペース”のため、参考外

(2)狙い方

①昇級戦の場合

“ハイペース志向”の逃げ・先行馬は、能力が高い場合が多いので、昇級即通用の可能性があります。

人気薄になっていれば、これを見逃してはいけません。

【好走条件】・距離短縮・おおむねコンマ5秒差以上の圧勝(前走、もしくは近走)・逃げ・先行のわりに早い上がり(前走、もしくは近走)

②現級の場合

“ハイペース志向”の逃げ・先行馬が着外の場合は、惜敗が多いので、次走以降の巻き返しに期待が持てます。

【好走条件】

・距離短縮

・おおむねコンマ5秒差以内の惜敗(前走、もしくは近走)

・出遅れや道中の不利など、敗戦の原因が明確(前走、もしくは近走)

6.実例

馬柱を注意深く眺めることで、人気薄となっている“ハイペース志向”の逃げ・先行馬の存在に気づけることがあります。

4つの具体例を挙げ、臨戦過程や着眼点等を解説していきます。

(1)パーティナシティ

阪神7R 4歳上1勝クラスダート1400m 定量 2020年4月4日(晴れ)口-稍重

1着8枠11番パーティナシティ1番人気

②②-①先行1分24秒3(上がり:37秒3)

2着6枠7番ミスターウインディ11番人気

⑥⑦-②差し1分24秒6(上がり:36秒5)

3着 8枠 10番 ダノンインパルス 3番人気

④④-③先行1分24秒7(上がり:37秒4)

~◆ペース判定:ハイペース

京都 12R 4歳上 2勝 クラスダート 1400m 2020年5月9日(曇り)口-良-

1着 3枠 5番 エイシンポジション 2番人気 

④④-①先行1分23秒9(上がり:37秒3)

15着 4枠 6番 パーティナシティ 1番人気 

⑥⑧-⑮差し1分26秒8(上がり:39秒8)

~◆昇級戦で1番人気に推されるも、先行できず大敗

【着眼点】

・前々走は、“ハイペース”で先行押し切り勝ち。

・前走の昇級戦は、先行できなかったことが敗因で度外視。

・前々走のレースが再現できれば期待十分で、“距離短縮”(1400m→1200m)も後押し。

新潟12R4歳上2勝クラスダート1200m定量2021年4月18日ロロ-不良-

1着 3枠 4番 シンシティ 1番人気 

①①-①逃げ1分10秒5(上がり:37秒6)

2着 6枠 11番 パーティナシティ 9番人気

③③-②先行1分10秒9(上がり:37秒7)

3着 4枠 7番 ココロノイコロ 5番人気

③③-③先行1分10秒9(上がり:37秒6)

~◆“スピード”と“スタミナ”を活かし、連対確保

【払戻金】

ロ複勝:680円

(2)ジュノー

新潟 3R 3歳未勝利 芝1400m 馬齢 2021年7月25日(晴れ)口-良-

1着 7枠 15番 ジュノー7番人気 

③③-①先行1分20秒9(上がり:35秒1)

2着 3枠 5番 マイヨアポア 1番人気 

⑦⑦-②差し1分21秒0(上がり:35秒0)

3着 5枠 9番 ショウナンガニアン 2番人気

③④-③先行1分21秒1(上がり:35秒3)

~◆ペース判定:ハイペース

【着眼点】

・“ハイペース”で見事な逃げ切り勝ち。

・逃げたにもかかわらず、上がりは2位となる“35秒1”。

・ペースが緩めば、昇級即通用の可能性あり。

中京12R3歳上1勝クラス芝1400m定量2021年9月12日(曇り)口-良-

1着 5枠 10番 エルカスティージョ 3番人気

⑬⑬-①追込1分21秒1(上がり:33秒7)

2着 8枠 18番 ミッドサマーハウス 13番人気

⑯⑯-②追込1分21秒1(上がり:33秒5)

3着 3枠 6番 ジュノー 8番人気

①①-③逃げ1分21秒3(上がり:35秒0)

~◆ミドルペースを逃げ切り、昇級戦で馬券圏内を確保

【払戻金】

ロ複勝:500円

(3)ルモンド

阪神12R4歳上2勝クラスダート1400m定量2021年2月14日(晴れ)口-良-

1着 4枠 6番 リュウノゾロ 7番人気

②②-①先行1分24秒7(上がり:37秒7)

2着 8枠 14番 メラナイト 6番人気

⑥⑥-②差し1分24秒7(上がり:37秒2)

3着 5枠 8番 ルモンド 3番人気

③③-③先行1分25秒0(上がり:37秒8)

~◆ペース判定:ハイペース

阪神12R4歳上2勝クラスダート1400m定量2021年3月14日(晴れ)口-稍重

1着 5枠 9番 オーロラテソーロ 3番人気

②②-①先行1分23秒7(上がり:37秒0)

10着 7枠 14番 ルモンド 1番人気

⑥⑦-⑩差し1分25秒1(上がり:37秒8)

~◆1番人気に推されるも、先行できず大敗

東京12R4歳上2勝クラスダート1600mハンデ2021年5月9日(晴れ)口-良-

1着 2枠 2番 ニュートンテソーロ 2番人気

⑧⑥-①差し1分36秒7(上がり:36秒8)

10着 4枠 4番 ルモンド 4番人気

①①-⑩逃げ1分39秒1(上がり:39秒6)

~◆4番人気に推されるも、距離延長が向かず大敗

【着眼点】

・3走前では、“ハイペース”を先行し、馬券圏内を確保。

・近2走の大敗は、敗戦の原因が明確。(“先行できなかったこと”と“距離延長”)

・3走前のレースが再現できれば期待十分で、“得意な条件”(1400m)での巻き返し必至。

中京12R3歳上2勝クラスダート1400m定量2021年9月19日(曇り)口-重

1着 8枠 16番 メイショウマサヒメ 5番人気

②②-①先行1分23秒0(上がり:36秒4)

2着 8枠 15番 スズカカナロア 8番人気

⑯⑮-②追込1分23秒4(上がり:35秒4)

3着 2枠 4番 ルモンド 11番人気

⑦⑦-③差し1分23秒5(上がり:36秒3)

~◆“得意な条件”に戻り、好走

【払戻金】

ロ複勝:1,410円

(4)セキフウ

中京5R2歳新馬芝1400m馬齢2021年9月11日(曇り)口-良-

1着 6枠 7番 ウナギノボリ 4番人気

⑧⑥-①差し1分22秒3(上がり:34秒8)

6着 1枠 1番 セキフウ 6番人気

⑩⑨-⑥追込1分23秒4(上がり:35秒7)

~◆追い込むも、着外

中山1R 2歳未勝利 ダート1200m 馬齢 2021年9月25日 (曇り)口 – 良 –

1着 7枠 11番  パスポートチェック 1番人気 

①①-① 逃げ1分12秒0(上がり:37秒8)

2着 3枠 4番  ピンクダイヤ 3番人気

 ④③-② 先行 1分12秒4(上がり:37秒8)

3着 3枠 3番  セキフウ 2番人気 

⑨⑧-③差し1分12秒5(上がり:37秒3)

~◆ダート戦に変わり、上がり最速で馬券圏内を確保

阪神2R 2歳未勝利 ダート1400m 馬齢 2021年 10月10日 (晴れ)口 – 良 –

1着 8枠 13番  セキフウ 1番人気 

④③-① 先行 1分25秒4(上がり:37秒4)

2着 5枠 6番  カフジテトラゴン 9番人気

②②-②先行1分25秒5(上がり:37秒8)

3着 4枠 4番 メイショウキッド 2番人気

①①-③逃げ1分26秒0(上がり:38秒4)

~◆ペース判定:ハイペース

【着眼点】

・2走前、ダート戦に変わり、上がり最速で馬券圏内を確保。

・前走のダート戦では、ハイペースを先行したにもかかわらず、上がり最速で未勝利勝ち。

・ダート適性の高さは明らかで、昇級即通用の気配。

阪神8R2歳1勝クラスダート1400m馬齢2021年10月24日(晴れ)口-良-

1着 2枠 2番 セキフウ 5番人気

⑪⑨-①差し1分25秒0(上がり:37秒2)

2着 5枠 9番 レイワホマレ 4番人気

⑨⑨-②差し1分25秒0(上がり:37秒5)

3着 2枠 3番 コンクパール 1番人気

③③-③先行1分25秒1(上がり:38秒5)

~◆3戦連続となる上がり最速で豪快な差し切り勝ち

【払戻金】

ロ単勝:1,620円、複勝:350円

 

あとがき

競馬予想において、最も理想的な能力を持ち、“圧倒的に期待値が高い馬”こそが、“ハイペース志向”の逃げ・先行馬です。

典型例として、“レシステンシア”を挙げましたが、これは理解を促すためのものであり、似通った特性の馬であれば、多数存在しています。

人気薄に限定すれば、1日に数頭といったところでしょうか。

競馬初心者の頃は、上がり3ハロンこそが、好走馬を見抜くファクターと考えていました。

近代競馬においては、スローペース症候群といわれるくらい瞬発力勝負が多発していますので、上がり3ハロンに注目することは間違ってはいません。

ですが、末脚が発揮されるか否かは、その時の状況次第というところがあり、全幅の信頼には値しないと感じていました。

試行錯誤の結果、注目したのが、“ハイペース志向”の逃げ・先行馬です。

“前に行ったにもかかわらず、バテない馬”

これこそが最強の馬だと思いませんか?

自力でピックアップした穴馬が好走した時の喜びは格別です。

あなた自身の新たな気づきの一助になれば、これに勝る喜びはありません。

一緒に馬券力を磨いていきましょう!!

 

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