はじめに
多くの競馬ファンの最終目標は、プラス収支ではないでしょうか。
的中率、回収率ともに高ければ、何の問題もないのですが、現実は甘くありません。
堅い決着であったとしても、簡単に的中するものではありませんし、的中したとしてもほとんどが低配当です。
低配当であれば、馬券を高確率で的中させ続ける必要があり、非現実的といえますので、的中率よりも回収率にこだわった方が得策です。
つまり、“穴狙い”です。
穴狙いであれば、“ときどき”、もしくは“たまに”高配当の馬券が的中するだけで、大幅な収支改善が見込めます。
“人と同じことをしていては、人と同じ結果しか得られない”という言葉を聞いたことはないでしょうか。
競馬も同じで、多くの競馬ファンに支持されている人気馬ばかりに目を奪われていれば、プラス収支は夢に終わります。
競馬予想の段階では、一切の先入観を持たず、フラットな状態で馬柱を眺めることで、最高の結果が得られると考えています。
高配当の馬券的中を目指す際の基本的な“考え方”だけでなく、実践的な“コツ”についても独自見解を述べていきます。
第1
競馬予想の“考え方”や“コツ”
競馬予想をする際に最も重要なのは、“競馬は人気どおりに決着しないもの”と意識することです。
1〜3番人気の馬同士で決着することもありますが、稀です。
また、人気馬2頭が馬券に絡む堅めの決着であったとしても、1頭は人気薄ということが多いように思います。
つまり、どのような決着であったとしても、馬券を的中させること自体が難しいのです。
的中が難しいのであれば、“穴狙い”に徹した方が、プラス収支に近づくのではないでしょうか。
1.“穴狙い”にこだわる理由
人気馬を中心に馬券を購入すると、的中率は上がりますが、回収率は下がります。
つまり、高い期待値を得ることと引き換えに、プラス収支は遠のくということです。
期待値が高ければ、馬券が不的中になった時のショックが大きく、精神的なダメージを受けますが、“穴狙い”に徹した場合は、楽な気持ちでレース観戦ができるだけでなく、プラス収支に近づくチャンスがあります。
“穴狙い”に徹することによって得られるメリットには、主に以下の3つが挙げられます。
(1)“穴狙い”でプラス収支を達成
堅い馬券でプラス収支を達成するには、的中させ続ける必要があり、非現実的。
的中率を度外視した“穴狙い”の方が、プラス収支に近づく可能性大。
(2)精神的に楽
“穴狙い”の場合、期待値が高くないため、楽な気持ちでレース観戦ができて楽しい。
(3)費用対効果が高い
堅い馬券の場合、配当を多く得ようとして、馬券の購入金額が増えがち。
一方、“穴狙い”の場合、少額で高配当を狙えるため、費用対効果が高い。
2.非常時の“心理”と“行動特性”
火災等の災害に直面し、生命が危険におびやかされるような状況下では、不安や恐怖等によって、理性的判断による行動や思考を制御することができず、本能や感情等にもとづき、危険から避難しようとして衝動的な行動になりがちです。
群衆はもともと一人ひとりの結びつきのない未組織集団であるため、混乱時には頼るべき者がいなければ、きわめて暗示にかかりやすい雰囲気にあり、共通する潜在的な不安から、一般的にデマ情報や間違った指示にも従いやすい状態になります。
また、非常時の“行動特性”の中には、“追従性”というものがあります。
“自らは、避難する方向を決める判断をしないで、避難先頭者や大勢の人の後について、ただやみくもに追従して避難する傾向”のことをいいます。
一見、競馬とは無関係のようですが、“オッズ”に惑わされ、“危険な人気馬”が過剰に支持される状況に似ているように思えてなりません。
馬券発売の締め切り時間に追われ、冷静な判断ができないまま、多くの競馬ファンが支持する人気馬を何となく選んでいるのではないでしょうか。
“オッズ”に惑わされることなく、冷静に、信頼できる“人気馬”(軸馬)と狙うべき“穴馬”を選ぶことが重要です。
3.高配当を得るための“逆張り”
“株”の売買でも同様だと思うのですが、多くの人が評価するものには価値がありません。
人気の“株”を高値で買うと、暴落する危険性と隣り合わせです。
一方、評価されていない“株”を底値で買うことができれば、高値で売れることもあります。
これを競馬に当てはめると、“株”は“馬”や“馬券”になります。
絶対的な存在である、“超一流馬”を除き、多くの競馬ファンに評価される“馬”や“馬券”に価値はないのです。
“価値がある”=“穴馬”、“穴馬券”という考え方に慣れることが、プラス収支への第一歩にといえるでしょう。
多くの競馬ファンが評価していない、“穴馬”や“穴馬券”にこそ、価値があるのです。
いわゆる、“逆張り”こそが競馬予想の真髄といえるのではないでしょうか。
4.“荒れるレースのメカニズム”と“馬券の組み立て方”
(1)人気馬の凡走
1番人気が凡走するだけで、堅い決着のわりに意外と高配当になることがあるくらい、人気馬の凡走と配当には深い関係があります。
よって、危険な馬が人気になっているようであれば、“荒れるレース”と考えていた方が良いでしょう。
危険な人気馬に気づいた時は、ひよることなく、狙いたい穴馬を軸に据えるような勇気も必要です。
(2)穴馬の好走
人気馬の1頭が馬券に絡み、残りの2頭がいずれも穴馬ということもあります。
その穴馬が2頭とも2ケタ人気ということも珍しくありません。
費用対効果が高い穴馬券でおすすめしたいのは、“3連複2頭軸総流し”です。
堅軸の1頭と穴馬の1頭をピックアップし、残りの1頭を総流しする方法です。
堅軸と穴馬がいずれも馬券圏内に残れば、自動的に的中となり、時に、人気馬-穴馬-穴馬のような馬券の的中も可能になります。
堅軸の1頭が馬券圏内に残ると仮定すれば、穴馬の1頭のピックアップに成功するだけで馬券が的中します。
しかも、フルゲートの場合でも1600円で済むので経済的です。
堅い決着の馬券を外したとしても、数日経てば忘れますが、高配当を逃した時は、なかなか忘れることができず、後悔することになります。
迷った時は、“穴狙い”に徹し、高配当の馬券選択をおすすめします。
無理に人気馬を軸に据えた結果、人気馬が凡走し、狙っていた穴馬同士で決着するようなこともあります。
5.“人気馬”と“穴馬”の評価
(1)“人気馬”の評価
人気になるだけの理由がありますので、プラスの側面のみにフォーカスしがちです。
その結果、“死角”に気づくことなく軸馬に据えて、不的中になることがあります。
“好走するに違いない”というような思い込みをしないよう、“減点方式”で厳しく評価することが求められます。
(2)“穴馬”の評価
競馬新聞の馬柱に記載された、“印”を意識しすぎるのではなく、“参考”程度と考えた方が良い結果につながります。
過去に全く無印で好走した穴馬は、数えきれないくらい存在しています。
“印”を意識しすぎると、無印の馬が過小評価されることになり、高配当を得ることができなくなります。
“穴狙い”に徹し、無印の馬から優先して精査するくらいの方が、バランス良く評価できます。
穴馬の場合、何らかの短所があることは間違いないのですが、“印”が少ない分、長所が見逃されがちです。
よって、“加点方式”で甘く評価することをおすすめします。
“人気馬”には厳しく、“穴馬”には甘く評価することにより、バランスに優れた馬券の組み立てになります。
第2
競馬予想で重要な“不確定要素”の排除
前では、的中率を度外視した“穴狙い”のメリットを述べましたが、プラス収支を達成するには、馬券が的中しないことには始まりません。
競馬は、“不確定要素”が多いため、堅い決着であろうとなかろうと、馬券はなかなか的中しないものです。
よって、馬券に絡む好走馬を見抜くには、不確定要素の排除が不可欠になります。
これから、馬券の的中率を上げるための基本的な考え方(芝・ダート共通)について、述べていきます。
1.“不確定要素”とは
排除すべき“不確定要素”の中でも代表的なものを4つ挙げます。
(1)騎手
騎手にロマンを求めることを否定しているわけではありません。
応援したい騎手が1人くらいはいた方が、楽しくレース観戦ができると思いますし、感情移入により、感動も倍増します。
ただ、競馬予想においては、あまり役に立つ存在ではないでしょう。
好騎乗によって、馬券に絡むこともありますが、基本的には、レース結果に影響を及ぼすことは稀です。
野球に例えると、“野手と野手のど真ん中に飛んだ鋭い打球を毎回キャッチできますか?”という話です。
リーディングトップの騎手であっても、たまにスーパープレイが飛び出す程度ですので、騎手によって馬券が的中しやすくなるということは、ほぼありません。
唯一の例外として、長距離のレースが挙げられます。
長距離の場合、どこでスパートをかけるかが重要になるので、騎手の技量もレース結果に影響します。
ただ、この点についても、思い描いたとおりのレース展開になるとは限らず、確定要素とはいえません。
~◆騎手は考慮しなくてよい
(2)ゲート
出遅れによって、致命的な不利を負うことは珍しくありません。
長距離戦であれば、出遅れてもあまり影響はないのかもしれませんが、それでもゲートは互角に出たいところです。
短距離戦の出遅れは致命的、長距離戦でも何らかの影響は受けますので、出遅れ癖のある馬は割引です。
ゲートが上手な馬であっても、出遅れはありますので、ゲートも不確定要素といえます。
~◆出遅れ癖のある馬は避けた方が無難
(3)2100m以上のレース
2000m以下のレースであれば、芝、ダートを問わず、出走馬の脚質や持ち時計によって、どの馬が有利になるか、ある程度の予想が可能ですが、2100m以上のレースになると、騎手の駆け引きが発生し、展開が読みづらくなります。
騎手の腕の見せ所という見方もできますが、その一方で、予想を難しくしているともいえます。
展開や持ち時計で予想がしやすいのは、2000m以下であり、距離が短くなるほど考慮すべき要素が少なくなるので、不確定要素は減ります。
~◆距離が短いほど予想はしやすい
(4)差し・追込馬の末脚
かつての名馬、“ディープインパクト”のような末脚不発の馬であれば、予想がしやすいのですが、末脚が発揮されるか否かは、その時の状況次第というところがあります。
逃げ・先行馬はゲートの出が早く、前に行こうとするため、勝ち負けは別として、予想どおりのレースになることが多いのですが、差し・追込馬については、道中でスタミナ切れを起こしたり、進路が確保できなかったりして、末脚不発ということも珍しくありません。
よほど圧倒的な末脚がなければ、レース展開に左右されるため、全幅の信頼を置くことはできません。
~◆末脚不発を考慮する
2.“不確定要素”の排除
馬券が的中しない理由は、“不確定要素”が多いことによるものですので、競馬予想の段階では、できるだけ不確定要素を排除し、的中率の向上を目指すべきです。
不確定要素を排除すると、自ずと狙うべき条件が浮かび上がってきます。
“極論”にはなりますが、以下の条件が最も予想がしやすく、的中率の向上も見込めるものと考えています。
(1)短距離戦(1200m~1400mのイメージ)
短距離戦では、騎手の技量が介在する要素が極めて少ないため、馬の資質で勝敗が決まります。
馬場レベルによって、走破時計にバラつきはあるものの、極端に中盤が緩むような流れにはならないため、走破時計の比較が可能です。
また、比較対象となるレースが多く、走破時計による優劣の判断もできるので、予想がしやすくなります。
長距離戦になると、騎手の駆け引きによって、極端に中盤の流れが緩むようなこともあるので、たとえ同じような馬場レベルであっても、走破時計の比較が無意味なものになりがちです。
~◆短距離戦は好走馬の仮説が立てやすい
(2)逃げ・先行馬
脚質としては、逃げ・先行馬がおすすめです。
逃げ・先行馬は、出遅れが少なく、有利な位置どりでレースを進めることがほとんどですので、勝ち負けは別として、逃げたり、先行したりすることは、ある程度、確定要素といえます。
~◆逃げ・先行馬は、有利な位置どりでレースを進めることがほとんど
(3)“芝”よりも“ダート”
逃げ・先行馬を狙う場合は、芝よりもダートの方が期待値は上がります。
ダートは、上がりに上限があるため、差し・追込馬が鋭い末脚を発揮しても、差せそうで差せないことが多く、前に行った馬が有利になる傾向にあります。(東京コースだけは例外で、差し馬の台頭に注意)
~◆ダートは、基本的に逃げ・先行馬が有利
(4)“芝”の“高速馬場”
芝の場合でも、開幕週にありがちな“前が止まらないような高速馬場”では、逃げ・先行馬が有利になります。
芝の状態が良好な場合、逃げ・先行馬も早い上がりが使えるため、後続馬が前に行った馬を捉えることができず、“前残り”が発生します。
~◆芝の高速馬場では、逃げ・先行馬が有利
(5)距離短縮
逃げ・先行馬を狙う際の懸念点は、レース前半にスタミナを消耗することによる、ゴール前の失速です。
距離短縮での出走であれば、スタミナに余裕が生まれるため、失速するリスクの低減につながります。
逃げ・先行馬であれば、400m以上の極端な距離短縮であっても、追走に苦労することは稀です。
距離が短くなれば、ペースは早くなりますが、レース序盤でペースに戸惑うことはあっても、中盤では、有利な位置どりでレースを進めていることがほとんどです。
~◆距離短縮によって、失速するリスクが減る
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