第2章平均は相互に確認されなければならない
「平均は相互に確認されなければいけない」というのはFXの世界に当てはめるなら、ある通貨ペアでトレンドが発生したときに、関連性の高い通貨ペアやインデックスでも同じようにトレンドが確認できれば(同期していれば)、より根拠のある確かなトレンドだと判断できる、ということです。
これにより「目の前のトレンドを信用していいのか?」「この動きはダマシじゃないか?」という不安を払拭でき、より正確にトレンド判断ができるようになるので、それだけ利益を伸ばせるという事でもあります。
すなわち、トレードにおいてトータルでプラス収支にしやすくなります。
「関連性の高い通貨ペアってなに?」
「関連性の高い平均指数(インデックス)ってなに?」
という部分も詳しく解説していきます。
◆原文からわかる関連性の高さと平均の意味###
その前に、この「平均は相互に確認されなければいけない」についてウィキペディアに書いてある原文を簡単に確認しておきましょう。
平均は相互に確認されなければならない
複数の平均的指標が存在する場合、その両者に同じシグナルが見られないなら明らかにトレンドとして捉えることは出来ないと考える。もっともシグナルが同時期に出現する必要はないものの、直近においてシグナルが発生していればトレンドとして捉えるべきであり、且つ可能な限り同時期に近ければ確定的としている。
ダウが活躍した時代のアメリカでは、工業生産が盛んになると共に製品を輸送するための鉄道が整備された時期であった。工業生産の好調・不振は即座に鉄道業の経営に影響したことから、ダウが創刊した『ウォールストリート・ジャーナル』ではダウ・ジョーンズ工業平均株価と運輸株平均をチャート形式で掲載している。
引用元:Wikipediaダウ理論
この中で注目してほしいのは、
・工業生産の好調・不振は即座に鉄道業の経営に影響した
・ダウが創刊した『ウォールストリート・ジャーナル』ではダウ・ジョーンズ工業平均株価と運輸株平均をチャート形式で掲載している。
この2箇所です。
まずダウ・ジョーンズさんは、関連性の高い業種とはなにか?の問いに対して、工業生産のものを作る会社の業績と、鉄道業の業績には関連性が高いことを見抜いたのです。
これは単純な話ですが、ものを作っている会社は、ものを作るだけではなく作ったものを販売店に配送する必要があります。
当時のアメリカでは配送の手段として鉄道を使うことが主流だったので、ものを作る工業生産の会社の業績が悪くなると、配送する商品がなくなるので、鉄道業者の売り上げも落ちます。
こう考えると工業生産の会社と鉄道業者の関連性が高いのは納得ですね。
現代でいうとAmazonと宅配業者で考えるとわかりやすいですね。ものを売るAmazonの業績が上がれば上がるほど、配送する商品が増えるので宅配業者の業績は良くなります。
そしてダウ・ジョーンズさんは、さらにそこから一歩踏み込んで、1社1社の業績の関連性よりも、複数の会社の業績を合算して出した平均同士の方が関連性が高いことを見抜いたのです。
「工業生産の会社と鉄道会社を一社一社見ても、業績の良いところと悪いところで差があるから、それぞれの平均を見たほうがいいのでは?」と思い至ったのです。
そこで、これらの有効性を確認した後、自身が創刊したウォールストリート・ジャーナルでは工業株の平均と運輸株の平均を掲載して、相場分析の際の判断材料にしていたのです。
では原文はこのくらいにして、実際にFXでは「平均は相互に確認されなければいけない」この法則をどう使っていけばいいのかを見ていきましょう。
為替相場においてこの考え方は視点を少しずらす事で十分に使えます。
◆ポンドドルとユーロドルのブレイクアウトを相互に確認する
先ほども話しましたが、FXにおいては関連性の高い通貨ペアやインデックスを見ることで、「目の前のトレンドを信用していいのか?」「この動きはだましじゃないか?」という不安を払拭でき、より正確にトレンド判断ができるようになります。
実際にどういうものを見ていけばいいのか?をチャートを使って説明していきますね。
為替相場においては、トレードする通貨ペアにUSドルが含まれているなら、他の通貨ペアでUSドルが含まれているものを見比べます。
USドルが含まれる通貨の中でも同じような動きをする通貨はある程度決まっているので、動きの関連性の強い通貨ペアを一緒に見ることで、トレンドが出ているかどうかを確認することができるのです。
ここではまずユーロドルとポンドドルのチャートで説明していきます。ユーロドルとポンドドルの通貨ペアはどちらもUSドルが含まれており、とても相関が高い通貨として有名です。
相関が高いということは、似たような動きをしやすいということです。実際のチャートで説明しましょう。
ユーロドルとポンドドルが同じように下がって行く形になっているのが見てわかります。このように似たような動きをする通貨ペアのことを相関が高い、といいます。
そして、注目してほしいのはチャートの中でも拡大させている、ラインブレイクをして下に落ち始めた部分。よく見ると時間差で起こっているのがわかるでしょう。
上記の図で言えば、20時の時点でのユーロドルのブレイクのダマシの可能性は低く下に行く可能性が高いと分析が出来るのです。なぜなら先にポンドドルが同じ日の13時にラインをブレイクしているからです。
この様に、相関の強い複数のチャートを見て目先の方向性の動きに確信を高めて行く事が、ダウ理論でいう「平均は相互に確認されなければならない」の意味になるのです。
相関性が高い通貨ペアの組み合わせは他にもあるし、それこそ2つではなく3つ4つと複数チェックするのもよいでしょう。
ただ、これはあくまでの目安であって今回のようにポンドドルがブレイクしたからユーロドルもブレイクするはずだ、と決めつけてエントリーするのはやめたほうがいいです。
絶対的なものではなく、他の要素と合わせて参考にする事で活かせるものです。
では次に、もう一つ関連するチャートを紹介しましょう。
◆ドルインデックスとユーロドルのブレイクアウトを相互に確認するそれは…
ドル関連の通貨ペアと関連性の高いドル指数(ドルインデックス)円関連の通貨ペアと関連性の高い円指数(円インデックス)です。
この○○指数とは複数の主要通貨に対する、為替レート(相場)を指数化したものをいい、先ほど紹介した組み合わせの通貨ペア以上に似たような値動きをします。
ここではドルインデックスとユーロドルで比較して見ていきます。
今回の例は、5分差で連動してブレイクしているので、スキャルピングやデイトレードのスタイルならかなり参考になる場面ですね。
具体的には上の図に書き込んでいますが、先にドルインデックスが1:1にブレイクして、その後を追いかけるように、5分後にユーロドルもブレイクしています。
これらの指数チャートを確認できるMT4(証券会社による)は限られてるものの、表示する価値は高いものです。
「ドルインデックス」と検索すればブラウザ上でチャートが無料で回覧できますので確認してみてください。
このように、似たような動きをするチャートを合わせて確認する事で、トレンドが出たか否かはもちろん評価そのものをより正確に判断する事ができるものです。
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