第3章:トレンドは出来高でも確認されなければならない
この出来高とは取引されている総量の事で、これが多ければ多いほど値動きにも大きく影響するという考え方が元となっています。
出来高を考える上で大事なことは、上昇している局面でしっかり出来高を伴っているかどうか?を確認することです。
相場が上昇してるのに出来高が大してない場合は、買いたい人が多いというよりも、売りたい人は少なく、相対的に買いたい人が多いだけだということがあります。
だからこそ出来高がしっかり確認できる上昇は勢いがあり、信頼できるトレンドだと言えるのです。
しかし、これはダウ理論の中で唯一FXで応用を利かせるのは本当に難しくあまり効果が少ない話と言えます。
では具体的に出来高について見ていきましょう。
◆「トレンドは出来高でも確認されなければならない」を原文で確認する
ではFXで応用を利かせるのが難しい理由をウィキペディアの原文から見てみましょう。
トレンドは出来高でも確認されなければならない
市場の終値の変動をダウは重視するが、同様にトレンド発生の確認手段として出来高の推移も重視する。
例えば上昇局面においては値上がり時に出来高が増加し値下がり時には出来高が減少、下降局面においては逆になる。主要トレンドに従って取引する投資が多数派であり、二次トレンドや小トレンドで利益を得ようとする投資家は少数派であると考え、それが出来高の多少に反映するとする。引用元:Wikipediaダウ理論
例えば上昇局面においては値上がり時に出来高が増加し値下がり時には出来高が減少、下降局面においては逆になる。
まずここで言っているのは、上昇している場面でただ上昇しているのではなく、出来高が一緒に増えていることでトレンドの信憑性が高まるということです。
主要トレンドに従って取引する投資家が多数派であり、二次トレンドや小トレンドで利益を得ようとする投資家は少数派であると考え、それが出来高の多少に反映するとする。
また、この部分で言っていることは、二次トレンド(主要トレンドの調整局面)が終了して、値動きが主要トレンドの方向に揃うポイントも、ただチャートパターンで転換が確認できるだけではなく、出来高の増加が確認できればその転換の信憑性が高い、ということです。(この辺りの主要トレンド・二次トレンドについては後で図を使って詳しく説明します)
さて、このように単にチャートの形で上昇や転換を確認するのはもちろん大事なのですが、ここに更に出来高が伴っていれば、その上昇、転換の信憑性が高い、ということなのです。
◆FXで出来高を確認する方法は?
ただ、残念ながらFXの世界では、世界中のすべての取り引きの出来高をリアルタイムで把握することはできません。
ダウ理論で前提となっている株式の世界では、売買される場所が全て一つの取引所(日本だと東京証券取引所)を介して行われるため、全ての注文は日本であれば東京証券取引所を介さなければ注文売買することができません。
全ての取り引きが一つの取引所に集まるから「どれだけ取引されたのか?(出来高)」がリアルタイムで把握できます。
しかしFXの取り引きは、世界にたった一つの取引所があって、全ての取り引きがそこを介して行われているわけではありません。
FXは世界中の銀行や証券会社が直接ドルや円の売買を、お互いが納得する金額で決めて取引を行っている(相対取引)ので、全てのデータをリアルタイムで集計するのが難しく出来高を正確に把握できないのです。
では、この出来高分析によるトレンド判断は諦めなければならないのか?と言われればそうではありません。
世界中の取り引きの出来高は把握できませんが、各証券会社が自社の客が保有しているポジション量を計算して出しているところがあります。
日本で有名なのはOANDAです。OANDAで提供されているデータはOANDAグループ全体のものなので、日本はもちろん海外の顧客のデータも反映されています。
こちらのページからドル円のポジション保有状況を把握することができます。
(オープンポジション)の比率(%)をみて、現在の値段とショートの人、ロングの人を見比べることで、含み益、含み損を抱えている人がどのくらいいるのか?を見ることができます。
もしショートで含み損を抱えている人が多ければ、含み損を決済するロングが入り、上昇する可能性が高い、という分析ができます。
他にもこの出来高の考え方を応用できるのが、オシレーターによる買われ過ぎ、売られ過ぎのテクニカル分析を使用する事で反転の目安にする事はできるのですが、かなり経験がものを言うテクニックなので、慣れていないと難しいです。
この出来高取引量を自分のトレードに活かすのはなかなかレベルの高いことなので、明らかにコストパフォーマンスがいい他の法則を参考にすることがおすすめです。
そして慣れてきて値動きがつかめるようになってきたら、徐々に出来高取引量も意識して分析してみてください。
ただし注意点があり、このようなオープンポジションのデータは、提供しているブローカーの統計情報を基にしているので、全世界の取引の実態を示しているものではないという点です。
さて、ここからがダウ理論のメインとも言える「トレンド」について、トレンドとはどういうものなのか?様々な特徴を徹底的に解説していくパートに入っていきます。
チャートがたくさん出てくることもあり、ボリュームも多くなります。
ただ安心してほしいのですが、模式図や実際のチャートを使ってわかりやすく解説していきますので、自分のトレードに活かすべく、何度もしっかりと読み込んでもらえればと思います。
第4章:トレンドは明確な転換シグナルが発生するまでは継続する
まず最初に話をしたいのは、そもそものトレンドの考え方です。
今の相場でトレンドの把握が出来ると、「上か?」「下か?」「横か?」の目線を固定が出来、トレンドが継続しているとわかればポジションを長期保有して利益を最大化することが出来ます。
では、実際にトレードで活かすために、トレンドとはどういうことのものを言うのか?具体的に説明していきます。
ここではあまり難しいことは考えずに、以下の図のように高値と安値が切り上がっていればアップトレンド、高値と安値が切り下がっていればダウントレンド、と考えてもらえれば大丈夫です。
そして、このトレンドについてダウ・ジョーンズさんはとても重要な決まりごとを作りました。
それがこの法則のテーマでもある、トレンドは明確な転換シグナルが発生するまでは継続する、ということです。
どういうことなのか、ウィキペディアの原文から見て行きましょう。
トレンドは明確な転換シグナルが発生するまでは継続する
現在の市場で発現しているトレンドは、明確にトレンドの転換シグナルが現れるまで継続し続けるとする。トレンドに従った売買によって多くの投資家は利益を得るのであり、トレンドに逆らった売買で利益を得るのは難しい。(引用元:Wikipediaダウ理論)
ダウ理論が優れている理由の一つとして、トレンドが出ている出ていないの基準がどのテクニカル分析よりもわかりやすくはっきりしていることです。
実際、これから説明するダウ理論の方法で一回下降トレンドと判断されたなら、どんな形で上がろうと、決めたラインまでは下降トレンドとして考えるところです。
極端な例ですが、以下のチャートの様に400pips上昇しているところでも、下降トレンド中と考えるのです。
目先の値動きだけで判断すれば、「上昇トレンドで見るべきでしょ」と声を大にして言いたくなる場面もありますが、頑固おやじの様にシグナルが出るまでは、早々に覆さないのがダウ理論によるトレンド判断なのです。
もちろん、このダウ理論によるトレンド判断が絶対で完璧ではありません。上記のチャートでも400pipsではなく結果的に1000pips以上上昇トレンドになる事もありえるでしょう。
ダウ理論が重宝されるのは、トレンドが出ている時はその方向に動く事が多いだけではなく、上なのか?・下なのか?、の目線を固定する事によって無駄な損失トレードを減らしてトータルでプラス収支を出す事に繋がるからなのです。
それが原文にある「トレンドに従った売買は利益を得る」と示している事なのです。
それでは、どの様にトレンドの「転換シグナル」を見極めるのか説明をしていきましょう。
まず、上の図で示している上昇トレンドと下降トレンドは必ず「トレンド崩壊」の状態を経て転換または、再度同じ方向に発生します。
分かりやすく伝えると、以下の法則が大前提にあります。
下降トレンド発生トレンド崩壊(発生していない)上昇トレンド発
そして、全ての相場はこの3つのどれかに必ず該当をします。ということは、「ちょっと上昇トレンド」なんてものは絶対に無いし、「上昇トレンド」からいきなり「下降トレンド」に変わることもありません。
必ず、「トレンド崩壊」を経て、「上昇トレンド」や「下降トレンド」に変わって行くものです。
つまり、「転換シグナル」とは、「上昇トレンド」から「トレンド崩壊」の段階と、「トレンド崩壊」から「下降トレンド」の段階の2段階を合わせたものを言うのです。
他の書籍やサイトに書いてある内容によっては、「トレンド崩壊」の段階を使わず、上昇トレンドが終わった瞬間に下降トレンドが発生する見方だったり、トレンド崩壊の範囲を狭めた見方もありますが、このサイトでは安全かつ確実な利益を上げる為に最も確実な考え方で説明をします。
その区分けを模式図で表すとこんな感じです。
この様に、2段階を経てトレンドは転換をしていきます。
そして、トレンド発生後のトレンド継続についてもシグナルがあります。
トレンドの継続は、アップトレンドであれば高値に引けるラインを上に抜けたら、ダウントレンドであれば安値に引けるラインを下に抜けたら、トレンド継続と判断します。
図にすると・・・
で、最初にも話したことですが、これらトレンドの転換やトレンドの継続において重要なことは以下の2つです。
・上か下か、横か、目線を固定する
・トレンドが継続しているうちは利益を最大化するためにポジションを長く保有する
これらを基本原則として考え、まずはトレンドが出ていることを確認して、その方向に絶好のタイミングでエントリーする。そしてそのポジションの利益を最大化する。
今話したトレンド方向への絶好のエントリーポイントはどこなのか?そして利益を最大化するために、どこまでポジションを保有すればいいのか?については、次に説明をするダウ理論の原則の考え方から導き出すことができるので、これから順番に話していきます。
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