4.2020年の競艇界を振り返って
2020年も競艇界では色々な出来事がありました。
「水上の格闘技」
とまで表現される競艇は、命がけの競技の一つでもあります。
2020年には競技中に命を落とされたレーサーもいたほどの競技になります。
他にもいろいろな話題がありましたので、まとめてみようと思います。
第1:上半期(1~6月)の出来事
①元選手の不正レース関与
これは大きなニュースになったので、知っている人が多いと思います。1月8日にモーターボート競走法違反容疑で逮捕、起訴された元選手。
不正の方法というのが、場内に持ち込んだスマホ。前検時の持ち物検査で、外部と連絡を取れるような通信機器は開催終了まで持ち込み禁止が基本です。
これは競艇だけではなく競馬においても同様で、情報漏えいを防ぐという観点からの対策です。この出来事により、前検時の持ち物検査は、より厳格に時間をかけて行われるようになりました。
②松本勝也選手、殉職
2月9日の尼崎近畿地区選手権4日目9Rで、松本勝也選手が亡くなりました。
2着争いを繰り広げていた1周2マークで振り込んで失速したところを後続艇が避けきれずに接触。
意識を失い落水し、大量の水を飲んでしまったと思われています。死因はのちに溺死と発表され、通算では31人目の死亡事故となってしまいました。
SGやG1タイトルはありませんが、通算優勝回数は42回でAIとして活躍していた選手でした。人望も厚く、48歳という若さで亡くなってしまったのが残念です。
ご冥福をお祈りいたします。
この時の優勝戦出走選手インタビューで、太田選手、白石選手の目が涙でにじみ、意気消沈状態だったのがとても印象深かったです。
③無観客開催の実施
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、2月28日以降のレースが無観客で行われました。全場で有観客開催が再開されたのは7月17日でした。
④瀬尾達也選手引退
「デジタルスターター」
との異名を持つほど、スタートの速さには定評のあった瀬尾選手が、還暦を迎えた3月13日の誕生日に引退。
2020年の平均スタートは0.12と、衰えを感じさせないスタートを切っていました。
現役最後の優勝を2019年4月に地元である鳴門競艇場で挙げています。
この時は、6戦6勝のパーフェクト優勝を飾っていて、59歳1か月という史上最年長での記録となりました。
SGタイトルを生涯獲得することはできませんでしたが、11回のG1優勝を含む通算優勝57回を挙げています。
まだまだ活躍が期待されていた選手だったので突然の引退は非常に残念でした。
⑤上瀧和則選手、現役復帰
2012年に選手会長に就任した上瀧選手。
SG4勝を挙げている選手で、徹底したイン取りをする選手の一人です。
2014年8月に選手会長在任のまま、レースにも出走しました。選手会役員に就任した選手はレースに出走しないのが通例だったので、異例の出走でした。
そして、2020年5月から、会長兼任のまま本格的に現役に復帰しています。復帰前と同じように、コース取りに動くことが多く、レースをより一層盛り上げてくれています。
⑥史上二組目・兄弟SGレーサー誕生
コロナの影響により、無観客で行われたSGボートレースオールスター。優勝を飾ったのは篠崎仁志選手で、これがSG初制覇となりました。
この優勝により、既にSGを2勝挙げている兄・篠崎元志に続いての兄弟SG優勝という快挙を成し遂げました。これは佐賀の松尾兄弟(泰宏・幸長)以来、49年ぶりの記録になっています。
⑦史上初!夫婦同日優勝
5月17日、尼崎競艇場、桐生競艇場にて優勝戦が行われ、それぞれ鎌倉涼選手、深谷智博選手がいずれもイン逃げで優勝しました。鎌倉選手と深谷選手はファンなら知っている人も多い
「美男美女」
といえる夫婦になります。競艇の始まりから今まで160組以上の夫婦レーサーが存在していますが、おそらくはこれが史上初の夫婦同日優勝だと思われます。
また深谷選手はこののち、10月に大村競艇場で行われたSGボートレースダービーにてSG初優勝を挙げています。
⑧登録5000番台選手で初優勝!畑田太一選手
2021年現在、若手の選手の中でも目を見張るほどの活躍を見せているのが畑田太一選手です。2020年5月、江戸川競艇場で登録番号5000番台の選手として初優勝を飾りました。
その優勝の仕方も圧巻で、向かい風9メートルの荒れ水面の中、インの深井選手を同体スタートながらツケマイで沈めてのものでした。
第2:下半期(7月~12月)の出来事
①興津藍選手が5節連続優勝
7月~9月にかけて5節連続優勝をやってのけたのが興津選手。
7月14日~:唐津
7月26日~:下関
8月16日~:鳴門
8月24日~:若松
9月10日~:鳴門
このうち、唐津での優勝のみが4コースからのまくりでの優勝で、残る4節は予選トップの王道Vでした。
2020年、興津選手はトータルで7回の優勝を飾っており、自己最多記録となりました。
②佐藤翼・土屋南が結婚
10月に結婚を発表したのが佐藤翼、土屋南の両選手。
人気の高い女子レーサーの一人である土屋選手の結婚発表とあって注目度は高く、ヤフーニュースのトップに取り上げられた程でした。
初優勝も飾ってこれからという時に産休に入った土屋選手。
それに対して佐藤選手は好調モードで、大村で行われたダービーではSG初優出となり、優勝戦では3着に食い込みました。
③大ベテラン・今村豊、鵜飼菜穂子選手が引退
1981年、48期生としてデビューした大ベテランの今村豊選手と、女子レーサーの第一人者として活躍した鵜飼菜穂子選手が引退しました。
今村選手の引退理由は男子の最低体重が51から52kgに引き上げられたというものでした。
生涯成績は
勝率:7.71、優勝:142回、SG7勝、生涯獲得賞金:約29億円
という素晴らしいものでした。対する鵜飼選手は
「インの鬼姫」
と呼ばれるほどの強さを誇っていましたが、近年はなかなかうまくいかず、選手会の規定である4期トータル勝率3.80を残せなかったため引退となりました。
生涯成績は
勝率:5.78、優勝:56回、生涯獲得賞金:約7億円
というものでした。
39年間という長い期間を選手として過ごしてきた二人には心から、お疲れ様と言いたいです。
第3:2020年年間
①総売上
日本モーターボート競走会が発表した2020年次総売上は
1兆9014億8760万2100円
で、利用者は3億5033万7951人。
コロナの影響で競艇の開催自体どうなのかといった時期もありましたが、無観客開催でテレボート(ネット投票)が増えたことが幸いしたようです。
利用者は前年比-2.0%となりましたが、売上は前年比+23.9%と大きな伸びを見せました。
この総売上ですが、競艇の開催が始まってから、史上5位の売上金額となっています。
ちなみに歴代1位は1991年に記録された
2兆2200億1044万5800円
となっています。
②史上初!5冠達成は峰竜太選手
令和2年の優秀選手表彰選手が発表され、主要5部門
最優秀
最多賞金獲得
最高勝率
最多勝利
記者大賞
を峰竜太選手が完全制覇しました。
まさに快挙といえる出来事で、峰選手の強さが際立った結果となりました。
ちなみに最優秀新人賞は前田篤哉選手、優秀女子は平高奈菜選手がそれぞれ受賞しています。
第4:まとめ
2020年も1年間色々なことがありました。競艇が命がけで行われている競技であり、そのために命を落としてしまった選手もいました。
また、色々な記録も生まれ、大きく飛躍した選手たちもいた年でもありました。2021年も手に汗握るレース展開、楽しい競艇を期待しています。
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